会議での名刺交換や展示会後に持ち帰った大量の名刺情報が、引き出しや名刺ケースの中で放置されっぱなしになっていませんか?
ビジネスシーンで慣習的に行われる名刺交換ですが、それぞれ個別で持っている名刺をデータ化して一元管理すれば非常に有効な顧客情報リストになります。また、社員それぞれの人脈が顧客管理リストとして可視化できれば、さらなるビジネスチャンスも見えてくるでしょう。
この記事では、名刺をデジタル化するメリット、名刺管理ソフトを使った実施方法、名刺情報をデータ化する際の注意点を分かりやすく紹介します。
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名刺をデータ化する主な方法
紙の名刺情報をデジタル化するには、Excel(エクセル)などでの管理や、名刺管理アプリを活用するなど多種多様な方法があります。では自社単位ではどんなスキャン方法を取ればよいのでしょう。デジタル化の方法について、代表的なものをメリットとデメリットと一緒に紹介します。
エクセルなどの汎用表計算ソフトへ入力して管理する
表計算ソフトにデータ入力するメリットとデメリットは以下のとおりです。
メリット | ○ 初期費用がかからない
○ 操作方法も分かっており、手軽に始められる |
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デメリット | × 名刺数が増えることで、データ入力と管理が手間になる
× 手動入力のためヒューマンエラーが起こりやすい |
スキャナーや複合機を使って「画像データ化」する
スキャナーや複合機を活用して名刺情報をPCに取り込む方法のメリットとデメリットは以下のとおりです。
メリット | ○ 既にスキャナーや複合機があれば、名刺管理ソフトの導入による追加コストが発生しない
○ 名刺の視覚的な情報(色やデザイン)もデジタル化され、保存できる。名刺スキャナーによってはOCR機能を使ってテキストデータ化も可能 |
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デメリット | × スキャナーや複合機がない場合、名刺管理の導入費用が発生する
× テレワーク環境などオフィス外では名刺の管理に適さない場合がある × 名刺の画像はテキストに比べて検索性に劣り、情報把握には不向き。テキストデータも保存するにはOCR機能が必要 |
無料の名刺管理アプリを利用する
名刺管理アプリのメリットとデメリットは以下のとおりです。
メリット | ○ スマートフォンを利用することで手軽に名刺管理ができ、外出先でもデジタル名刺の交換や活用が簡単
○ スマホのカメラとOCR(光学文字認識)技術によって、名刺を撮影するだけでデータ化および名寄せが可能 |
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デメリット | × OCRの効率と読み取り精度はアプリによって差がある。誤認識によるデータ修正作業が必要となることがある
× 会社管理の届かない端末、例えば個人所有のスマホで使うのは、重要な名刺情報の取り扱いに際しセキュリティリスクとなる |
代行業者に依頼する
データ入力代行業者へ依頼するメリットとデメリットは以下のとおりです。
メリット | ○ 入力を専門とするオペレーターがデータ化作業を行うため、一般的に名刺データ化の精度は高い
○ 膨大な名刺情報があっても自身に手間がかからず管理が楽 |
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デメリット | × スキャンされた名刺の数やデータ入力項目等に応じてコストが発生する
× 時間もかかる × 第三者が名刺情報を扱うため、セキュリティ面のリスクが残る |
GoogleドライブのOCR機能を用いてデータ化する
GoogleドライブのOCR(光学文字認識)機能を使うメリットとデメリットは以下のとおりです。
メリット | ○ Googleドライブに標準で備わっている機能(2024年12月時点)であり、比較的手軽に利用できる
○ 名刺情報をOCR機能で読み取ったデータをGoogleスプレッドシートへ引き渡すなど、Googleサービスとの連携が可能 |
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デメリット | × 専門の名刺管理ツールと比較すると文字認識の精度は低い傾向で、データの確認・修正など管理に時間がかかる
× この機能は名刺管理や検索だけを目的としたものではないため、専用の名刺管理ソフトや名刺管理アプリと比べると使い勝手が劣る |
法人向け名刺管理システムを利用する
名刺管理システム、または名刺管理ソフト/名刺管理アプリを使用するメリットとデメリットは以下のとおりです。
メリット | ○ 名刺管理がそのまま顧客管理に直結・連携され、名刺管理システムを自社の機能として従業員に提供できるようになる
○ CRM(顧客関係管理)システムやSFAとの連携により、個人だけでなく法人向けや社内、部門・グループ単位での名刺情報や顧客情報の一元管理、共有を実現し、営業活動を効率化できるようになる |
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デメリット | × システムやツールを導入し、運用するには、初期費用・維持運用費用が発生する
× 導入範囲によっては相応のシステム導入計画や時間も必要で、成果を見据えた計画を立てなければコストが無駄になる可能性がある |
このように、コストや導入の簡単さ、リスクなどを考慮しても、紙の名刺をデジタル化して活用する方法は多様です。
名刺の数が少なければ、費用をかけずに名刺情報を管理し、活用する方法としては、Excelを使用した手動入力や複合機を用いたスキャン、無料の名刺管理スマホアプリを利用する方法もあるでしょう。
しかし、名刺管理は単なる「もらった名刺コレクション」ではなく、名刺情報は潜在的な商談機会を含む「重要な顧客情報」なのです。この情報を個人だけでなく、チームや社内で共有し、活用することのメリットを考えていきましょう。
名刺を重要な顧客情報として扱う。これをもとに営業活動の効率化に役立てる──。このようにビジネスで活用していくことを見据えるならば、数ある方法の中でも「法人向け名刺管理システム」がおすすめできます。
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名刺をデータ化するメリット
アナログで名刺を管理するのではなく、スキャンやOCR機能を活用して名刺をデジタル化すると、名刺情報の検索や情報の共有が効率化されるなど、多くのメリットがあります。ここでは「名刺管理アプリ」の利用を中心に、名刺をデータ化することで得られるメリットを紹介します。
- 検索性が向上する
- 情報の共有がしやすく、場所を問わず確認できる
- 物理的な保管スペースを確保する必要がなくなる
- 情報の検索、追加や修正を行いやすい
- 顧客情報と管理を一元化し、共有できる
- 従業員の営業活動やネットワークを可視化できる
検索性が向上する
紙の名刺をそのまま管理する場合、一枚の名刺を探し出すのに時間がかかることがあります。しかし、名刺スキャナーや複合機を使用して名刺情報をデータ化することで、担当者の名前や会社名、連絡先などから簡単に目的の名刺を検索でき、業務効率を大幅に改善します。
特に、管理する名刺の数が多い法人向けには一元管理のメリットが大きいと言えるでしょう。
情報の共有がしやすく、場所を問わず確認できる
アナログ管理では、名刺情報を受け取った担当者だけが情報を確認できます。しかし、名刺情報をデジタル化し、クラウドで管理すれば、社内の他の社員とも情報を迅速に共有できます。
さらに、クラウドを活用すれば、営業担当者が外出先でもスマホから顧客情報にアクセスでき、商談に役立てることができます。
物理的な保管スペースを確保する必要がなくなる
大量の名刺を紙ベースで管理していると、デスク周りやオフィスの収納スペースを徐々に圧迫していきます。探す手間がかかるだけでなく整理整頓にも時間を使ってしまいます。
そこで名刺をデータ化し、名刺管理ソフトやクラウドサービスを活用することで、物理的な保管スペースは必要なくなります。保管場所や名刺管理方法にも悩むことがなくなり、スペースの有効活用が図れます。スキャナーや名刺スキャナーを利用して名刺情報を取り込み、デジタル化するのが効果的です。
情報の追加や修正を行いやすい
紙の名刺はメモを追記するスペースに限りがあり、顧客情報に変更があると手書きで修正したり、新しい名刺をもらったりすればさらに管理が煩雑になりがちです。
名刺管理アプリや名刺管理ソフトを使うことで、商談の進捗や顧客の性格傾向といった営業活動に関わる情報をデジタルで簡単に追記できます。まさに顧客情報管理の一元管理が実現されます。製品によっては、AIを活用し、異動や転職などで名刺情報が変わると、自動的に更新される便利な機能もあります。
顧客情報と管理を一元化し、共有できる
名刺を紙ベースで保管していると、情報共有はメモ書きやコピーといったアナログな方法になり、効率的ではありません。しかし、名刺情報をデータ化し、SFAやCRMと連携することで、顧客リストやデータベースとして一元管理可能になります。これにより社内での情報共有もスムーズになり、営業活動の効率化を図ることができます。名刺情報がクラウドに保存されることで、スマホやタブレットからもアクセス可能となり、情報の取り扱いがより便利になります。
例えば、新しい営業戦略を立てる際には、名刺管理ソフトを活用し、一元管理された名刺情報や顧客リストをスキャンとフィルタリングすることで、ターゲットとなる顧客を素早く抽出できるようになります。紙ベースの管理を行う場合には、データ入力に多くの時間がかかるデメリットがあります。
「顧客に関する情報はすべてここにある」という状態を整備することにより、必要な時に即座に情報を確認することが可能です。
従業員の営業活動やネットワークを可視化できる
名刺をデジタル化し、データ化することは営業活動や人脈の可視化にとても有効です。例えば、一元管理された顧客情報から誰がどの顧客との商談や名刺交換を行っているのかを把握できれば、営業の重複を回避したり、顧客情報の社内での共有が容易になるため、社内の連携がスムーズになります。
営業活動は顧客との関係構築のために外回りが多い特性上、社内から見るとブラックボックスとなりがちな業務です。しかし、名刺をスキャンしデータ化して全体で共有し、人脈や活動状況を可視化できれば「属人化の防止」に繋がります。これにより管理者側においては、適切な従業員の業績評価を行うためのポイントにもなります。
名刺をデータ化するポイントと注意点
個人情報が含まれる名刺については、デジタル化する過程での取り扱いに注意を払う必要があります。ここでは、名刺情報をデータ化する際に注意すべきポイントを紹介します。スキャナーによる読み取りの精度やOCR機能の活用、さらに無料も含めたツールやアプリの利用方法を考慮し、データのクラウド上での安全性を確保することが求められます。
名刺の裏面や関連情報もデータ化する
名刺をデジタル化する際は、名刺の表面だけでなく裏面や関連名刺情報も忘れずに含めるようにしましょう。名刺の裏面には、支店や関連会社の一覧、注力している商材など名刺交換の際に受け取った重要な情報も記載されていることがおおいです。また、名刺交換の日付や用件も関連情報として一緒に記録しておくことも大きなポイントです。どのタイミングで出会った顧客かが分かりやすくなり、営業活動における後日の連絡がスムーズになります。
紙の名刺を破棄する際は情報の取り扱いに注意する
名刺情報をデータ化したら、紙の名刺は不要になります。しかし、名刺には個人情報が記載されているため破棄にも極めて注意が必要です。
シュレッダーやハサミで細かく裁断する、あるいは大量にある場合には重要書類の廃棄を専門とする業者に依頼するなど、自社が定めた方法で適切に管理・実施しましょう。会社としても、名刺の保管期間や破棄方法に関する社内規定を設定し、社員全員がルールを順守する体制を設けることが大切です。
データ化によるセキュリティリスクを確認する
名刺情報のデジタル化によるセキュリティリスクも考慮する必要があります。名刺管理ソフトや名刺管理アプリは、情報をクラウド環境に保管し活用することが一般的です。
このため対策の一例として法人として刺管理サービスを利用する場合、提供元がプライバシーマークを取得しているか、IP制限をかけて不正アクセスを防げるかなどの確認とともに利用することが求められます。顧客情報の一元管理や効果的に名刺を活用するために、デジタル名刺の対応機能の確認もポイントです。
プライバシーマークとは、名刺や顧客情報などの個人情報を適切に保護し、従業員教育を実施している事業者に付与される認証です。名刺管理ソフトや顧客管理ツールを導入する前には、このマークの有無や自社のセキュリティ対策の状況を最低限チェックすることが重要です。
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名刺のデータ化を「DX」推進の第一歩に
名刺のデータ化は、単に名刺情報をデジタル化することだけではありません。顧客情報を一元管理することで「部署、チーム、全社」単位で情報共有がスムーズに行えます。これにより、アナログ管理の非効率的な時間を短縮し、業務の効率化にもつながります。名刺管理ソフトやCRM(顧客関係管理)システム、SFA(営業支援システム)と連携して、顧客ニーズの把握や効果的な営業戦略の立案が可能になります。
今後のビジネスにおいては「DX(デジタルトランスフォーメーション)」が不可欠とされています。DXとはDigital Transformationの略で、データやテクノロジーを活用して新たな価値を生み出すビジネスを確立することを意味します。
DXを推進する際に、大掛かりなITシステムの導入や刷新は困難で、時間やコストもかかる可能性があります。しかし、名刺の電子管理であればそれほど困難ではありません。特にDXに取り組む第一歩として、比較的取り組みやすい名刺のデータ化から始めることをおすすめします。名刺管理をデジタル化することで、DXの糸口を見つけましょう。
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