CRM(Customer Relationship Management)は、自社と顧客の良好な関係を維持・構築するために昨今多くの企業が導入するIT製品です。
本記事では、CRMの市場規模とシェア率から「なぜ多くの企業が導入を進めているのか。どんな製品を撰んでいるのか」を確認し、この上でCRMのビジネスメリットと選定ポイントを解説していきます。あなたの会社とビジネスに適するCRMを見つけるための一助となれば幸いです。
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目次
CRMの市場規模
社会情勢の変化に伴う顧客需要の変化、働き方改革、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)といった需要に伴って、CRMの重要性、そして需要は年々増加しています。
調査会社IDC Japanの市場予測(*1)によると、2022年の国内CRM市場規模は2174億4400万円(前年比17%増)で2022~2027年のCAGR(年間平均成長率)は 10.1%。2027年には3510億7400万円規模に達すると予想されています。
ちなみに世界のCRM市場はFortune Business Insightsの調査(*2)によると、2024~2032年のCAGRは12.6%、2032年に2627億4000万米ドル(約40兆4000億円/2024年6月時点の円換算)に達すると予想されています。
*2 出典:Fortune Business Insights「Customer Relationship Management [CRM] Market Size, 2032」(2024年6月)
CRMのシェア率
CRMを提供する企業は世界中に数多く存在しますが、その中でも高いシェアを占めるベンダーは以下の通りです。
CRMの世界シェア
- Salesforce(21.7%)
- Microsoft(5.9%)
- Oracle(4.4%)
- Salesforce(セールスフォース)
- 調査会社IDCによる2024年の調査結果「2024 Worldwide Semiannual Software Tracker」(*3)によると、2022年世界シェア、および11年連続で世界シェアトップ
- 搭載されているアプリケーションが包括的であることが特徴
- 顧客管理機能に特化している
- Microsoft(マイクロソフト)
- 組み込みをAIを利用できる
- Microsoftが提供する他サービスとの連携が可能
- 組織内の多くの部門との連携が期待できる
- Oracle(オラクル)
- 2023 Gartner Magic Quadrant for Sales Force Automationにおいて7年連続でリーダーベンダーに選出
- 機械学習ベースのCRM販売ツールを提供
- レコメンデーションシステムによって最優先の取引に集中できる機能
CRMの国内シェア
日本のCRM製品シェアについて詳細情報はありませんが、調査会社IDCによる2024年の調査結果「2024 Worldwide Semiannual Software Tracker」に基づくSalesforceのプレスリリース「Salesforce Ranked #1 CRM Provider for 11th Consecutive Year」(*4)によると、「日本およびアジア太平洋地域」のCRM市場シェアもSalesforceがトップを獲得したと謳っています。
CRMを導入するメリット
CRMを導入することで顧客に関する情報管理を効率化し、よりより質が高いサービスの提供を行うことができます。
ここからは、CRMの導入によって実現できることを具体的に解説します。
顧客情報の一元管理による業務の効率化
顧客情報を手作業や、複数のサービスによって管理する場合、どこに何の情報があるのか探したり、データ整理に時間がかかったりするというデメリットがあります。
そこで、顧客情報をひとつのサービス内でまとめて管理することにより、業務の属人化を防ぎ、情報へのアクセスが容易になるため、より高品質なサービス提供に注力できます。
顧客情報に基づくアプローチの実現
集まったデータをもとに顧客をプロファイリングし、特性に合わせた適切なアプローチが提示される機能を活かして、売上をさらに引き上げることができるでしょう。
CRMによっては、AIを導入して分析を行っているサービスもあり、データを蓄積することでより効果的な戦略を実行できます。
マーケティング戦略の最適化
リアルタイムでインサイトを可視化し、予測分析情報から取引につながるようなマーケティング施策を行うことができます。
また、AIが搭載されているCRMではデータの統合によって顧客プロファイルを作成し、適切な営業のタイミングを見極めることができます。
顧客満足度の向上
顧客の情報を蓄積することで、それぞれの特性に合ったアプローチを迅速に行うことができるため、顧客満足度の向上につながります。
たとえば、AIが搭載されているCRMでは、レコメンデーション機能やリアルタイム トリガーの生成によって、顧客の段階に応じて適切なコンテンツ配信を行うことができます。
CRMツールを選ぶ際のポイント
CRMには多くの製品が存在するため、それぞれの特徴を把握し、自社に合った製品を導入する必要があります。
ここからは、CRMを選定する際に押さえておきたいポイントを解説します。
自社に必要な機能の有無
製品によって機能や特徴が異なるため、自社の課題点に対してカバーできる製品を選ぶ必要があります。そのためには、自社の課題解決につながる機能が備わっていることが重要です。
CRMを検討するにあたって、まずは自社の課題を整理し、すでにシステムを導入している場合には何が足りていないのか見極めましょう。
サービス形態
CRMには、クラウド型とオンプレミス型があります。
クラウド型はサービスが提供しているサーバにアカウント等を登録して利用します。
比較的費用を抑えられるため、導入しやすい一方、システムの運用はプロバイダが担当するため、アップデートやセキュリティを自社で管理できないという特徴があります。
オンプレミス型は自社にあるサーバにシステムを構築して利用します。
独自のサーバを使用するため、セキュリティやカスタマイズ性が高い分、初期費用やランニングコストが高くなりやすいという特徴があります。
予算をはじめ、希望する機能やセキュリティレベルを考慮して選択しましょう。
サポート体制の充実度
製品によってさまざまなサポート体制が用意されています。
たとえば、無料トライアルやWebセミナーの実施、代行運用やコミュニティへの参加等が挙げられます。
とくに無料トライアルでは、実際に製品を導入した際に起こりうる課題を事前に把握することができるため、気になる製品でサービスが提供されている場合には試してみることをおすすめします。
外部ツールとの連携の可否
外部ツールとの連携も見逃せないポイントです。
導入後に起こりやすい課題として、既存システムとの連携があります。
既存システムと連携できず、データをまとめて管理できない場合、情報を一元管理するために導入したCRMが有効に活用できません。
また、複数の製品を検討している場合にも、一気に導入してうまく連携がとれるのか、チェックしましょう。
無料トライアルの有無
導入後にも、既存システムとの兼ね合いやシステムの定着など課題はつきものです。
無料トライアルを活用すれば、実際に製品を導入した際に起こりうる課題を事前に把握することができるため、気になる製品でサービスが提供されている場合には試してみることをおすすめします。
世界/国内のCRM シェア率はあくまで選定材料の1つ 自社に適する製品をじっくり見極めよう
CRM市場は世界的に拡大しており、CRMを用いた業務改善や効率化の流れは加速しています。その中でシェア率の高い製品は、選ばれる理由が多くあるためと推定できます。
しかし「それが自社にも適しているかどうか」は別の話です。シェア率は選定材料の1つとしつつも、あくまで自社の課題解決やビジネス目的、成果創出の目的・目標に沿って適切に製品を選定していくことが成功へつなぐ第一歩になります。
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