CRM(Customer Relationship Management/顧客管理システム)の導入を検討中の企業にとって、クラウド型は低コストで導入しやすい選択肢です。インターネット上で顧客情報を管理でき、営業効率を高めるだけでなく、チーム全体での情報共有がスムーズに進みます。本記事では、クラウド型CRMの基本的な仕組みから、導入のメリット、選定時のポイントまでを解説します
目次
クラウド型顧客管理の基本とは?
クラウド型の顧客管理システム(CRM)は、インターネットを通じて顧客情報の一元管理ができるシステムです。クラウド型では、データがクラウドサーバーに保存され、どこからでもアクセス可能なため、営業活動の効率化や顧客満足度向上が期待できます。ここでは、クラウド型顧客管理の基本やオンプレミス型との違いについて詳しく見ていきます。
顧客管理とは
顧客管理とは、顧客に関するさまざまな情報を一元化し、適切に管理することです。氏名や住所、連絡先といった基本情報に加え、購入履歴や問い合わせの内容、商談の進捗状況のような顧客に付随する、関連する情報もひも付けて記録して管理します。これを営業チームやカスタマーサポート部門など、部署や部門を隔てず、だれもが常に同じ情報にアクセスできるようにします。
このようなデータ管理基盤を整えることで、まず各部門での連携がスムーズになります。リアルタイムでデータを更新できるクラウド型では特に、誰でも、いつでも、どこにいても最新情報へアクセスできることにもなるため、確実性、利便性とともに、スピード感や多様性も高めることが大きく期待できます。
こうして顧客情報の管理が一元化され、運用が徹底されることで、顧客一人ひとりのニーズに合わせたきめ細かい対応(パーソナライズ対応)がしやすくなります。例えば、過去の問い合わせ内容をもとに適切なアドバイスを提供したり、購買履歴から関心の高い商品を提案したりすることで、顧客満足度をさらに向上させることができます。顧客管理は顧客との関係構築を円滑にし、リピーターの増加につながります。
おすすめ 顧客管理はなぜ「営業活動に重要」なのか?
クラウド型とオンプレミス型の違い
クラウド型の特徴
- インターネット環境があれば、どこからでも利用可能
- 自社でのサーバー保有や管理が不要
- システムのメンテナンスやアップデートは提供元が実施
- 初期費用や運用費用が抑えやすい
- 専任の管理担当者がいなくても運用可能
オンプレミス型の特徴
- 自社サーバーにシステムを構築し、管理
- 高いカスタマイズ性があり、企業独自のシステムに対応
- 導入に大きな初期投資が必要
- セキュリティ対策やメンテナンスは自社で実施
- 大規模企業や特定のセキュリティ対策が求められる企業に向いている
クラウド型顧客管理のメリット
クラウド型の顧客管理システム(CRM)は、比較的低コストで導入でき、運用が柔軟なため、特に初めてCRMを導入する企業にとって取り入れやすい選択肢です。導入によって業務効率化や顧客との関係強化など、さまざまなメリットが見込めます。ここではクラウド型CRMの特徴的な利点を解説します。
オンプレミス型と比べて導入コストを抑えられる
クラウド型は、オンプレミス型とは異なり、企業が独自のサーバーやインフラを構築する必要がありません。導入時の初期費用が低く、運用費用も抑えられるため、IT予算が限られた中小企業に特に向いています。サーバーやシステムの維持管理も不要で、ソフトウェアのインストールも必要ないため、管理コストを軽減できます。
また、クラウド型はユーザー数に応じた柔軟な料金設定が可能なケースが多く、無駄なコストを抑えやすいのも特徴です。コストの見通しが立てやすく、長期的な費用管理も容易です。
迅速な導入と利用開始を実現する
クラウド型CRMは、アカウント作成後すぐに利用を開始できるため、導入にかかる時間が短いのが特徴です。専用システムを社内に構築する必要がなく、シンプルな手続きで導入が可能です。また、システムの自動更新機能により、メンテナンスの手間が減り、導入後の運用がスムーズです。こうした特性から、クラウド型CRMは初めてCRMを導入する企業や、スピーディに業務に取り入れたい企業にとって有効な選択肢と言えます。
マルチデバイスでの利用を可能にする
クラウド型CRMは、PCやスマートフォン、タブレットなど、インターネットに接続できるデバイス全般で利用できます。このため、オフィス外でも顧客情報にアクセスでき、外出先やテレワーク中でもリアルタイムで情報を確認しながら、迅速な対応が可能です。営業や出張先でもすぐにデータを確認・更新でき、チーム内で情報を共有しやすくなります。リモートワークやモバイルワークといった働き方の多様化にも対応しやすく、業務運用を支援する環境が整います。
常に最新機能を利用できる
クラウド型CRMでは、提供元のベンダーがシステムの更新を自動で行うため、常に最新の機能やセキュリティ対策が反映されます。システム管理者が手動でアップデートする手間がかからず、新しい機能も迅速に活用できることが魅力です。また、セキュリティ機能も自動的に強化されるため、安全にシステムを使用でき、システム維持にかかる手間やリスクが軽減されます。追加費用なしで新機能が利用できるため、コストを抑えながら新技術を取り入れられるのも利点です。
業務効率を向上させられる
クラウド型CRMは、データが一元管理されるため、リアルタイムで必要な顧客情報にアクセスでき、迅速な意思決定が可能です。自動化機能を使えば、繰り返し作業の手間が省け、作業効率が向上します。また、チーム全体で情報が共有されることで、情報の重複や抜け漏れを防ぎ、スムーズな連携が図れます。顧客対応のスピードも上がるため、顧客満足度の向上にもつながります。このようにクラウド型CRMは、業務全体の効率化を図るための重要な役割を果たします。
おすすめ CRMマーケティングの具体的な実践方法 基礎から導入ステップまでを徹底解説
クラウド型顧客管理システム(CRM)を導入時に検討すべきポイント
クラウド型顧客管理システム(CRM)は、業務効率の向上や顧客管理の精度を高めるために導入されるケースが増えています。しかし、CRMシステムは企業ごとに求められる機能や使用目的が異なるため、自社のニーズに合ったシステムを選ぶことが重要です。導入を検討する際の基本的なポイントについて解説します。
自社の課題に合った機能が搭載されているか
クラウド型CRMの導入では、まず自社の業務内容や課題に沿った機能があるかを確認することが大切です。営業活動の効率化、カスタマーサポートの強化、マーケティング活動の改善など、どの分野での業務効率化が必要かを見極めましょう。例えば、見込み顧客を管理し、適切なタイミングでフォローアップする自動化機能が求められる場合、メール配信やリマインド機能などの活用が役立ちます。また、顧客の問い合わせ対応に力を入れる必要がある企業では、チャットサポート機能や問い合わせ管理機能があるCRMが有効です。
さらに、導入時に優先する機能を絞り込んでおくことで、不要なコストを抑えつつ、効率的なシステム導入が可能になります。将来的な事業拡大やニーズの変化も視野に入れ、追加機能を柔軟に組み込めるシステムを選ぶと、長期的に活用しやすくなります。
操作性と定着のしやすさ
CRMの操作性は、日常的に使用する社員にとって使いやすいかが重要なポイントです。複雑な操作が必要なシステムは運用が難しく、定着しにくいため、シンプルな画面設計や直感的に操作ができるかどうかを確認しましょう。無料トライアル期間が用意されているシステムも多く、実際に操作してみることで、使い勝手を事前に確かめられます。
社内での定着を図るには、特にツールに不慣れな社員にも配慮する必要があります。シンプルでわかりやすいインターフェースを持つシステムは、導入後に社員がスムーズに操作を習得でき、社内での利用促進が期待できます。新しいツールを積極的に使ってもらうためには、わかりやすさと操作のしやすさを重視してシステムを選びましょう。
外部システムとの連携性
CRMは、他の業務ツールと連携することで、より効果的に活用できるシステムです。会計ソフト、メール配信ツール、グループウェアなど、現在使用中のツールと連携できるかを確認することが重要です。連携性の高いCRMを選ぶことで、顧客情報の一元管理が可能となり、データの重複入力や手動管理の手間を削減できます。
特に、顧客管理と営業、マーケティングのデータを統合することで、顧客への対応をより迅速に行うことができ、精度の高いマーケティング戦略の立案にも役立ちます。連携する際の手順が複雑すぎず、特別な設定が不要なシステムであれば、導入後もスムーズに利用を開始できます。
セキュリティの強度
顧客データを扱うCRMには、セキュリティ対策が不可欠です。クラウド型のシステムでは、データがインターネット経由で管理されるため、情報漏洩のリスクに対する対策がしっかりしているかを確認しましょう。暗号化や認証制度など、データが安全に管理される仕組みが整っているかも確認しておきたいポイントです。
アクセス制限やデータ持ち出し防止機能が備わっているシステムは、万が一の際にも情報が漏れにくく、安心して利用できます。また、システムの利用ログを監視する機能があると、どのデータが誰によってアクセスされたかを追跡しやすくなり、セキュリティ事故の早期発見に役立ちます。さらに、トラブル発生時に迅速な対応が可能かどうか、提供元のサポート体制も確認しておくと良いでしょう。
無料でIT製品選びをお手伝いします
無料プラン・無料トライアルを用意するクラウド型顧客管理システム(CRM)15選
クラウド型IT製品の大きな利点は「試せる」こと。無料プランや無料トライアルのある、あるいは低コストで利用できるCRMツールは、特に初めてCRMを導入する企業にとってリスクを抑えながら実際の運用に適しているかを見極める手段として有効です。気になる製品に「無料版」があれば、ぜひ遠慮なく試していきましょう(製品名abcあいうえお順/2024年12月時点)