在庫管理がうまくいかず、商品の過剰在庫や品切れで困っていませんか? 中小企業にとって、効率的な在庫管理は効率化と業績向上のカギとなります。本記事では、在庫管理システムの導入がどのようにビジネスに貢献するのか、検討/選定の際の注意点とともに、初期準備、選定、導入まで「導入プロジェクト」をスムーズに進めるためのポイントをご紹介します。
目次
在庫管理システムの基本と導入効果
在庫管理システムとは、自社が保管する「在庫」を適切に管理するためのITシステムです。以下より、「在庫管理システム」の基礎と機能、メリット、導入と活用で得られる効果を簡単に解説していきます。
●在庫管理システムとは何か
在庫管理システムは、自社の持つ商品や資産の在庫について、入庫から出荷まで正しく管理するITシステムまたはソフトウェアのことで、さまざまな業界や業種に特化した種類があります。
「在庫」の扱いは業界や業種によってさまざまで、製造業や販売業における部品や物品、商品のようのな物理的なものから、デジタル情報、Webサイト向け広告のようなデジタルデータもあります。これらの在庫を情報として追跡し、管理し、最適化するのが役割です。
●在庫管理システムの役割とビジネス効果
在庫管理システムは、「在庫情報」や「棚卸」など、在庫管理業務に必要なデータの管理が可能です。在庫管理システムの導入により、例えば「人的エラーを防ぐ」「在庫状況をリアルタイムで可視化する」などを実現し、在庫管理業務の効率化と標準化を進め、併せて、経営者や管理者の適切な意思決定につながります。
在庫管理システムの導入でどんな効果を望むか。多くの企業が挙げる上位3つは以下の通りです。
- 在庫の最適化
- 作業効率の向上
- コスト削減
何より「在庫を最適化」できること。在庫管理システム、過去の在庫、入出庫、販売や仕入れの実績を蓄積して詳細にデータ貸します。これらの情報とともに、場合によっては曜日や時間帯、季節、天気、時事的事象のような情報も活用し、「需要や注文に対する予測」を立てられるようになります。
在庫管理システムには、在庫管理作業の効率化も大きく期待されます。例えば、「バーコードでスキャンするだけで情報がシステムへ登録され、データはリアルタイムに反映される」などがあります。効率化はもちろん、入力ミスや遅延のような人的エラーも防止できます。
「過剰在庫を減らし、在庫不足も防ぐ」。このことは、無駄な在庫に対する仕入れや製造にかかる費用、保管時の維持費といったコストを削減できます。欠品で販売の機械を逃すことも減ります。結果として売上の最大化が期待できます。
【中小企業向け】在庫管理システム導入の「事前準備」
在庫管理システムの検討を始めるにあたり、企業のプロジェクト担当者はまず何を準備しておくとよいでしょう。どの規模、業種の企業にも該当する「事前準備」のポイントを3つ紹介します。
- ビジネス要件を明確にする
- 予算の設定
- 関係者を巻き込む
(1)ビジネス要件を明確にする
まず、在庫管理システムが解決すべき課題や目標を、じっくり明確に定義していきましょう。
在庫管理について「自社は、改めてどんなビジネスフローなのか」と、「自社にはどんな課題や目的があるのか」を理解し、できるだけ多く棚卸ししていきましょう。そして、それらに対して「どう改善したいか、効果を望むか」が明確になるよう整理していくと、それが「要件」としてまとまっていきます。これを文書化していきます。
「要件の出し方」の参考として、例えば以下のようなフローを想像してみるのはいかがでしょう。
会社にとって極めて重要な資産、それは「データ」です。在庫管理システムのキモも「正確なデータ」にあります。新システムの導入で得るデータだけでなく、既にデータとして蓄積しているものも多様にあります。「データの品質が低いと、システムの信頼性が損なわれ、正確な在庫情報が得られなくなってしまう」。そのため、導入前/後の「データの統合はどう行うか/きちんと行えるか」「新旧のデータ品質と整合性を正しく保つにはどうするか」などが要素として浮かんできます。
要件を明確にしておくことで、後の選定作業をスムーズに進めることができるでしょう。
(2)予算の設定
システムの導入(初期コスト)と維持(ランニングコスト)に必要な費用を見積もり、予算を設定します。
これにより、選定作業時に適切なシステムを選ぶ基準の1つに据えることができます。
(3)関係者の巻き込み
在庫管理に関わるすべての関係者、例えば経営層、総務・IT部門、業務・製造部門、営業部門、倉庫管理者などを巻き込み、彼らのニーズ、および期待することを理解しましょう。そして、彼らを巻きこんだ導入プロジェクトとして計画していきましょう。
このことは、システムが「実際の自社の業務に適合する」ためにとても重要なステップです。
【中小企業向け】在庫管理システムの「選定」
続いて、システム、製品の「選定」ステップに移ります。選定ステップは以下の通りです。
- 市場調査、製品候補のリストアップ
- 評価と比較
- デモと試用
●市場調査、製品候補のリストアップ
利用できそうな「在庫管理システム」をリストアップし、それぞれの機能、価格、サポートメニュー、ベンダーの体制などの項目を調査しましょう。
このステップは、相場感を理解しつつ、選択肢を広げながら最適なシステムを見つけるための情報を得ることが目的です。ベンダーの製品サイトに載っていない情報や料金プランも、「資料請求」することで得られることがあります。積極的に活用していきましょう。
こうした調査をもとに「製品、機能○×表」のような資料にまとめます。承認者などの第三者も理解しやすくなります。
●評価と比較
ビジネス要件、予算、ユーザーレビュー等に基づき、リストアップした製品を評価・比較します。これにより、自社のニーズに適したシステムを絞り込んでいくのが目的です。
資料請求やベンダーへの検討相談ならば(大抵は)「無料」です。事前準備で「自社の要件を明快にしておいた」ことはここで生きてきます。ベンダーへの要件理解がスムーズに進めば、選定ステップはよりスピードアップします。
「これが要件・目的です」「こうしたい」「この要件・機能についての○×表を作りたい」など、遠慮なくベンダーに聞いて確認しましょう。一人で抱えず、コミュニケーションを取っていく。これが成功への近道といえます。
●デモと試用
候補に絞った製品やシステムについて、デモを見たり、試用版/無料トライアル版を使ったりして、具体的な操作感や機能、カスタマイズすべき要素や機能を確認していきます。
これは、システムが実際の業務に適合するかどうかを確認するとても重要な行程です。評価時と同様に、機能や操作感、どこまでカスタマイズが可能か/応えてくれるか、などを遠慮なくベンダーに聞いて、納得いくまで確認します。
これらのことに寄り合ってくれる/信頼できるベンダーかどうかなども見極めつつ、導入する製品を「決定」しましょう。
【中小企業向け】導入プロジェクト実行の手順
導入プロジェクト本格開始のステップに移ります。大まかな実行ステップは以下の通りです
- プロジェクト計画を定める
- システム設定とデータ移行を計画・実行する
- トレーニングとロールアウト
(1)プロジェクト計画を定める
導入スケジュール、責任者、タスクの割り当て、システム停止期間などを明確にしたプロジェクト計画を作成します。
プロジェクト計画は、目的を定め、プロジェクトの進行をスムーズにし、かつ期限内に導入を完了させる道筋を立てることが目的です。事前に準備していた「関係者の巻き込み」を踏まえた計画が肝要です。
(2)システム設定とデータ移行
新システムの設定を行い、既存のデータを新システムへ移行する行程があります。新しいシステムが既存の業務に無理なく適合できるようにするための、導入における「関門」となります。
この行程は大抵の場合、「既存システムやサービスの一時停止」といった、業務に影響する作業が発生します。業績や売上に直結するので、関係者すべてと密なコミュニケーションと綿密な準備が必要となります。焦らず、じっくりと実行していきましょう。
(3)トレーニングとロールアウト
関係者・利用者への通知、そして操作のトレーニングも十分に時間をかけて計画し、実行していきましょう。システムは、利用者が正しく使ってこそはじめて効果を生み出します。
システムを本番環境に展開したら、定期的なレビューと必要に応じた調整をしていきます。効果的な利用と継続的な改善を実現することができます。
また、稼働後はほとんどの場合、利用者の困惑や問い合わせが多数発生します。ユーザーフォローと対策や改善のフローも同時進行で進めましょう。
中小企業の「在庫管理システム導入」は、「関係者すべてを巻きこんで」計画しましょう
以上、在庫管理の効率化を強力に支援する「在庫管理システム」の効果と、実際に導入検討を進めていく上で準備しておくべきポイントを解説しました。
各ステップの「難易度」や「工数」は具体的なビジネス要件や自社組織の状況により異なりますが、流れと「やること/必要なこと」は大きくは変わらず、いずれにせよ相応の労力と時間を必要とするのも事実です。しかし、「会社やユーザーのありたい姿」を想像しながら、適切に実行し、正しく導入できれば業務効率化の大幅な向上が期待できます。
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