シフト管理システムは、従業員の勤務シフトをクラウド上で一元管理できるシステムです。シフト作成・調整にシステムを導入すれば、労働基準法違反を防ぎながら従業員が希望するシフトを組めるようになるなど、シフト管理にかかる手間の削減と法令違反のリスクを回避できます。
今回はシフト管理システムで利用できる主な機能と、導入にともなうメリット・デメリット、おすすめ製品7選(2024年9月時点)をご紹介します。
シフト管理システムの主な機能
シフト管理は、店長や管理者の重要な業務です。担当者は従業員の希望を叶えるシフトを組めるように頭を悩ませていますが、システムを導入し以下の機能を活用することで、希望を反映するシフトを効率よく作成できます。
シフト作成/自動化機能
シフト管理システムでは、従業員が提出した希望シフトを集計し、店舗内の状況を考慮したシフトを自動生成できます。適切な人数を配分するだけでなく、スタッフの役職やスキルなどを反映させたシフトも作成可能です。
また、多くの製品は、連続勤務日数や高校生の勤務禁止時間帯といった労働基準法の準拠を軸に、その他関連する法令なども考慮して設計されています。気がつかないうちに法令に違反しているというリスクを避けられます。
希望シフト提出機能
従業員側からの希望シフト提出もシステムで受け付けられ、専用のWebページやアプリを通じて希望シフトを提出できます。近年ではLINEから提出できるシステムが増えており、従業員側に負担をかけずに希望シフトを受け取れるようになりました。
期日までに希望シフトを提出していない従業員には自動的にリマインドをしてくれるため、提出率の向上も期待できます
シフト調整機能
提出された希望シフトから自動生成されたシフトは、その時点ではまだ仮の状態です。希望シフト提出後に寄せられる追加の希望や、繁忙期・閑散期などの兼ね合いなどを考慮した微調整が可能です。システムによっては、グループ店舗からのヘルプスタッフ手配も可能です。
シフト共有機能
調整終、シフトが確定するとシステムが自動的に従業員へシフトを送信します。送信にはメールやアプリ、LINEなどが利用できるため、従業員はスマホ上で確認が可能です。店舗のバックヤードに掲示するプリントアウトの内容も、日別・週別・従業員別などのパターンに分けて印刷できます。
シフト管理システムの導入効果と主な管理機能
ここまで解説した機能を含め、シフト管理システムでは以下の機能が利用できます。シフトの管理だけでなく労務管理機能も多く含まれています。
機能 |
説明 |
勤怠管理機能 |
従業員の出勤記録、シフト状況を記録・管理 |
給与計算機能 |
従業員の出勤日数を基準に給与を計算 |
タイムカード管理機能 |
従業員の出退勤をアプリやLINEで登録 |
就業形態管理機能 |
従業員の就業形態を管理 |
レポート作成機能 |
従業員の勤務状況を集計しレポートを作成 |
セキュリティ |
ツールへのアクセス制限や従業員向けアプリのアカウント管理など |
シフト管理システムは、店舗に所属する従業員の勤怠管理を中心に、給与計算から就業形態まで従業員のシフトに関する情報を一元管理できます。また、従業員の勤務状況や人件費推移など、エリアマネージャーや本社に提出するレポートの作成も可能です。従業員が退職した後のアクセス権限変更など、情報漏洩を防ぐセキュリティ機能もシフト管理システムに含まれます。
シフト管理システムのメリットとデメリット、向く業種
手作業で行うと煩雑な従業員の勤怠管理は、シフト管理システムの導入で自動化・効率化が期待できる一方、すべての面においてプラスになるとはいえません。システムの導入には、具体的にどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
シフト管理システムのメリット
シフト管理システムの導入により、シフト管理にかかる時間や担当者の手間を大幅に削減できます。また手作業では発生しがちなミスも減らせます。システムの自動化やアラート機能により、ミスを防止する仕組みになるからです。
また、一定のルールを設定したシフト管理システムなら、人員を過剰に配置するようなシフト作成を防げますので、人件費の削減も期待できます。
シフト管理システム導入のデメリット・注意点
シフト管理システムの導入には、初期費用や毎月の利用料など一定の費用が発生します。小規模店舗向けの安価な製品もありますが、機能が増えるほどコストも引き上がる傾向があります。また、企業や店舗独自のルールや特定の従業員への配慮をシステムが反映しきれない場合もあるため、期待している通りの成果を出せない場合もあるでしょう。
また、費用やルールの面をクリアし導入した後には従業員に使い方を教えるための教育コストが発生することも注意点の1つです。
シフト管理システムの早期導入が向く業種
シフト管理システムは、特に以下の業種、企業への導入に適しています。
これらの業種には、さまざまな勤務体系/雇用体系の従業員がおり、一般的に夜勤や早番・遅番などの交代シフト制が導入されていることが多いです。全従業員が同じ勤務時間ではなく、休日も一定ではないため、毎月のシフト管理は非常に煩雑になりがちです。
またパートタイマーやアルバイトなど、従業員によって雇用条件も大きく異なります。各従業員の希望を考慮したシフトを組むためにも、仮シフトの自動作成や画面上でのシフト調整が容易なシフト管理システムの導入がおすすめです。
おすすめのシフト管理システム5選
(製品名abcあいうえお順/2024年10月時点)
esTIME
マネーフォワード クラウド勤怠
初期費用 |
無料 |
月額費用 |
・法人向け:基本料金(2980円~)+従量課金(従業員1名あたり300円~) |
主な機能 |
・勤怠管理
・シフト管理
・ワークフロー
・異動履歴管理
・休暇管理
・アラート機能
・打刻丸め機能
・インポート・エクスポート機能 |
特徴 |
・マネーフォワードクラウド給与などとの連携可
・勤怠状況の確認・集計・分析
・各種手続きをシステム上で申請・承認可
・働き方改革対応機能で長時間労働などにアラート発出 |
無料トライアルの有無 |
あり |
ポイント |
マネーフォワード クラウド勤怠は、従業員の勤怠情報を確認・集計・分析可能な勤怠管理システムです。シフト作成・管理はもちろん、従業員の異動履歴や休暇管理など、労務情報を総合的に管理できます。マネーフォワードクラウド給与と連携し、勤務シフトに応じた給与計算を自動的に行えます。 |
ベンダーのWebサイト |
https://biz.moneyforward.com/attendance/ |
【無料プランあり】【個人事業主~小規模ビジネス向け】おすすめのシフト管理システム2選
法人向けのシフト管理システムに対し、個人事業主~小規模ビジネス向けは機能を絞りつつ、従業員も手軽に使えるようシンプルな構成となっています。ここでは個人事業主向けのシフト管理システムを2製品ご紹介します。
Microsoft Teams/Shiftsアプリ
初期費用 |
無料 ※Microsoft Teams内機能 |
月額費用 |
無料 ※Microsoft Teams内機能 |
主な機能 |
・スケジュール機能
・グループ機能
・タイムクロック(出退勤)機能
・リクエスト(休暇等申請)機能
・シフト追加機能
・共有機能 |
特徴 |
・Microsoft Teams内機能のため、Teams有料プラン利用者は追加費用なし |
無料トライアルの有無 |
なし |
ポイント |
ShiftsはMicrosoft Teams有料版で利用できるシフト管理システムです。シフト作成機能や出退勤管理、休暇申請といった一般的な機能に加え、メンバーをチーム単位で管理するグループ機能やスケジュールのチーム共有機能など、小〜中規模の管理に役立つ機能が搭載されています。Teamsアプリをインストールすれば、スマホを使ったコミュニケーションも可能です。 |
ベンダーのWebサイト |
https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-teams/group-chat-software |
スマレジ・タイムカード
初期費用 |
無料 |
月額費用 |
スタンダード:0円(30名まで)+110円 / 人(31名以上)
プレミアム:2420円(10名まで)+385円 / 人(11名以上)プレミアムプラス:4840円(10名まで)+495円/ 人(11名以上)エンタープライズ:7260円(10名まで)+770円/ 人(11名以上) |
主な機能 |
・勤怠管理
・シフト管理・休暇管理・マイナンバー管理
・人時売り上げ高集計
・日報管理・プロジェクト管理 |
特徴 |
・勤務管理のみのスタンダードプランは無料~
・4つのプラン選択で利用機能を選択
・GPS機能で不正打刻防止 |
無料トライアルの有無 |
あり ※アカウント作成から60日間 |
ポイント |
スマレジ・タイムカードは、クラウドPOSレジツールを提供する株式会社スマレジが提供するシフト管理システムです。管理する勤怠データを基に給与計算や年末調整が可能。プロジェクト管理や日報管理、人時売り上げ高の分析など、豊富な労務管理機能が利用できます。小規模事業者は最大30名の勤怠管理機能が無料で利用できるスタンダードプランから導入し、自社にあうかを確認するのがおすすめです。 |
製品詳細ページ |
https://itselect.itmedia.co.jp/product/110/ |
今すぐ資料請求できる「シフト管理システム」製品一覧
シフト管理システム導入までの流れ
シフト管理システムの導入は、これからご紹介する一連の流れに沿って行うのがおすすめです。導入したシステムを有効活用するためにも、十分な事前準備を行いましょう。
- 導入の目的を明確化する
- 導入のスケジュールを立てる
- シフト管理システムを比較、試用する
- シフト管理システム導入後 レビュー、改善を行う
Step1.導入の目的を明確化する
システムを導入する前に、どのような課題を解決するためにシステム導入が必要なのか、導入の目的を明確化しましょう。店舗におけるシフト管理負担が問題になっているのか、多店舗間での情報共有がトラブルの原因になっているのか。解決したい課題を明らかにすることで、導入するシフト管理システムに必要な機能がわかります。
Step2.導入のスケジュールを立てる
システムを導入する規模によって、導入完了までにかかる時間が異なります。少数店舗への導入ならば短期間で済みますが、組織が大きくなるほど意思決定や周知に時間が必要です。どの程度の時間をシステム導入と調整に使うのか、導入スケジュールを立てておきましょう。
ただし、選定したシステムの種類によっては想定したスケジュールどおりに導入が進行しない場合がありますので、柔軟に対応できるように導入期間には余裕をもたせておきましょう。
Step3.シフト管理システムを比較する
シフト管理システムは、店舗のシフト管理に特化したものや多店舗間の連携に強いものなど、製品ごとに強みが異なります。まずは自社の課題に適した機能をもつ製品を複数ピックアップし、その中から導入する製品を選択しましょう。利用できる機能は同じでも、使い勝手や導入にかかるコストに差があります。無料トライアルや無料版を試したうえで比較しましょう。
Step4.シフト管理システム導入後 レビュー、改善を行う
いくつかのツールを試して導入するシステムを決定したら、いよいよ導入です。導入時にいきなり全システムを切り替えると、予期せぬ不具合が発生した際に対処が難しくなります。1カ月程度は現行のシフト管理方法と並行させながら試験稼働させるとよいでしょう。
なお、システムの比較段階で早期にシステムの選定ができたなら、無料トライアル期間を試験稼働にあてられます。
シフト管理システムでシフト作成と管理の効率化を実現しよう
シフト管理システムは必要な人員の数や従業員のシフト希望、役職や経験などの条件を反映したシフトを自動生成できるシステムです。シフト制の職場の管理者が頭を抱えるシフト作成の負担を軽減し、業務効率化やコスト削減に貢献します。
シフト管理システムにはさまざまな種類があり、それぞれ異なる強みをもっています。店舗単位のシフト作成だけでなく、勤怠管理や店舗間の人員コントロールなど、利用できる機能はさまざまです。自社の課題を解決できるシステムを適切に選ぶためにも、自社の課題を明らかにしたうえで複数のシステムを比較検討するとよいでしょう。
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