中小企業が抱える問題のひとつが勤怠管理です。頻繁に行われる法改正や多様な勤務体系への対応などを要因とする管理コストの増加に対応するため、近年では勤怠管理システムを導入する中小企業が急増しています。
勤怠管理システムは出勤や休暇取得、残業の有無といった勤怠にかかる管理を自動化し、一元管理するためのシステムです。省コストや法令への対応といった面が期待できますが、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
今回は、中小企業へ勤怠管理システムの導入おすすめする理由と導入メリット、製品の選び方、おすすめ製品(全14製品/2024年8月時点)をご紹介します。
目次
中小企業の勤怠管理に見られる課題
中小企業が直面する勤怠管理の課題は多岐にわたります。まず、勤務状況の把握がしにくい問題が挙げられます。従業員が手作業で出勤や退勤の時間を記録する方法では、月末の勤務データを収集するだけで手間がかかり、「昨日の」や「リアルタイムの」といった即時の確認はそもそも困難です。結果として労働時間の把握が十分でない状況となっています。
従業員の負担も大きいです。紙ベースのタイムカードや手入力するシステムでは、出勤や退勤のたびに記録する手間がかかります。直行直帰できるのに、タイムカードを押すためだけに出社を強られることもあります。また人的ミスや不正のリスクも無視できません。手作業での記録はミスが発生しやすく、不正な記録改ざんの可能性も残ります。労働時間が正しく計算されなければ従業員は適正な賃金を得られません。企業として「正確性」「信頼性」観点の課題が根強く残ります。
最後に近年は労働に関わる法改正が続いていることも課題に挙がります。労働基準法や働き方改革関連法などの法改正へ企業として対応するために、最新の情報を正確に把握し適切な対応を取る必要があります。しかし、これを手作業のまま、従来型フローのままで行うのは大掛かりな作業や人手が都度必要となるでしょう。もし対応が困難なので後回しにしているとなると、企業として、企業活動をする上で社会の一員として、法令やルールを順守できていないことになります。
こうした課題を解決するために多くの企業で、上記の理由で中小企業も特に、効率的で正確な管理を実現する勤怠管理システムの導入が進んでいます。
中小企業が勤怠管理システムを導入するメリットと注意点
改めて勤怠管理システムとは、従業員の勤務時間、休暇、残業などの勤怠状況をデジタルで管理し、効率化を図るIT製品/ITツールです。打刻方法の多様化やシフト管理機能を備え、業務の自動化と効率化に貢献します。また労働時間の適正な把握によって、法令順守や労働環境の改善にも寄与します。
勤怠管理システムの導入は、中小企業に大きなメリットを生む一方、注意して導入しなければ別の問題を引き起こすリスクもあります。メリットと注意点の両方を意識し、適切なシステムの導入を検討していきましょう。
中小企業が勤怠管理システムを導入する主なメリット
中小企業は、勤怠管理システムを導入することで以下の効果が期待できます。
- 効率化
- 法令順守
- コストカット
- 変化に対応できる
業務の効率化に役立つ
これまでバックオフィス担当者が手作業で行っていた勤怠管理を自動化できるため、作業や確認のための時間を削減できるようになります。システムによっては給与計算や経費精算といったほかのシステムと連携ができるようになるため、バックオフィス業務全体の効率化が可能です。
また、勤怠管理のルールが法令やシステムに準拠した運営になるため、特定の担当者に属人化する作業を減らすことができます。
法令を順守した労務管理を行いやすい
中小企業が勤怠管理システムを導入することで、法令を順守した労務管理が容易になります。
労働基準法や労働時間管理に関する規制は年々厳格化しており、企業として適正な労働時間の記録や超過勤務の管理が求められています。従来のような手作業での管理はミスが発生しやすく、個々の労働時間を把握できていないならば範囲を超えた時間外労働労働を強いているかもしれず、記録や保存・管理体制も的確でない可能性も高いため、法令違反となるリスクがあります。
勤怠管理システムによって、出勤・退勤時間の自動記録や休暇・残業の申請・承認プロセスがデジタル化され、正確性が向上します。また、システムは法改正にも迅速に対応できるため、常に最新の法令に準拠した管理が可能です。これにより労務トラブルの防止やコンプライアンスの強化が図れ、企業の信頼性も向上します。
コストカットが期待できる
システム化により業務が効率化すると、コスト面にもよい影響が生まれます。目に見えてわかりやすい影響が、人的コストの削減です。月末月初の勤怠の締め日に発生していた長時間労働を減らすだけでも、長期的に見れば大きなコスト削減につながります。
また、システム化により紙の勤怠表やタイムカードが不要になりますので、紙資源の購入にかかっていた費用や管理のための場所の確保といった面のコストも削減できるでしょう。
事業規模の拡大や人員増加などの変化に対応しやすい
中小企業は、成長過程で事業規模の急拡大や人員増加といった変化がひんぱんに起こります。一気に急成長する可能性を秘めている中小企業ならではのシーンです。
クラウド型/SaaS型の勤怠管理システムであればこうした変化にも柔軟に対応することができます。手作業管理のままでは人数が増えるにつれて管理が煩雑になり、ミスや遅延のリスクもそれだけ増えますが、システムを活用した効率化・自動化されるプロセスにより管理の負担、そしてこの心配ごとを大きく軽減できます。
さらに多くの勤怠管理システムには、従業員の増加に伴う新しい勤務形態やシフトパターンにも柔軟に対応できる機能が備わっています。
システムのスケーラビリティも相応に高ければ、自社の成長に合わせて機能を拡張していくニーズにも応えてくれます。こういった運用面の効率化とともに、経営資源をより戦略的な業務へ集中させることも可能となるでしょう。
中小企業が勤怠管理システムを導入する際の主な注意点
勤怠管理システム、特にクラウド型の勤怠管理システムはとても楽に、場合によっては即導入できてしまう特徴もある一方、一切コストをかけずに導入できるわけではありません。費用、工数、時間それぞれにかかるコストに注意し、自社に必要なシステムの導入を検討しましょう。
×システムの導入・運用に費用が発生する
勤怠管理システムの導入には、一定の費用が必要です。近年の主流であるサブスクリプション型は、従業員数に応じた月額の利用料のほか、サービスによっては初期費用も必要です。
なお、サブスクリプション型は一般的にクラウド上でサービスが提供されます。システムは法改正にともなうアップデートが自動的に行われますので、気がつかないうちに違法状態になっていたとう事態にはなりにくいでしょう。
×導入前に業務フローの見直しと運用ルールの作成が必要になる
紙の勤怠表やタイムカードでの管理から勤怠管理システムへ切り替える際には、企業内の勤怠管理に関するルールを見直す必要があります。
有給休暇等の申請方法の見直しをすると同時に、社員側にも使い方をレクチャーしなければならないため、対応のための時間を確保しなければならないでしょう。
×システムによっては導入まで日数がかかる
勤怠管理システムのような全従業員が対象になるシステムならば、会社の規模によって導入プロジェクトが長期化することも想定しておきましょう。自社の事業内容や就業規則に合わせた調整、ベンダーとの打ち合わせなど、設計や検証のための時間も必要になります。
企業の規模によっては一度に全社へ導入せず、特定の部門から段階的に導入を進めるケースもあります。テストを繰り返しながら導入しなければならない場合には、全社の勤怠管理が統一されるまでに半年以上の時間を要することも考えられるでしょう。
中小企業におすすめの勤怠管理システム3選
(製品名 abcあいうえお順/2024年8月時点)
kincone
初期費用 | 0円 |
月額費用 | 200円 / 1ユーザー ※最低5名から |
利用可能な機能 | ・打刻(アプリ、ICカード、チャットなど) ・交通費自動登録 ・訪問先企業の自動登録 ・従業員の労働条件設定 ・打刻忘れ、承認待ちなどのアラート ・個人 / 部署単位での出退勤状況確認 ・自動集計 ・休暇タイプの設定・管理 |
無料トライアルの有無 | あり(最大2ヶ月) |
サービスの特徴 | ・1ユーザーあたりの費用が低コスト ・打刻機能がSlack、Chatwork、LINE WORKSなどチャットツールと連携 |
ポイント | kinconeは多彩な連携機能が魅力の勤怠管理システム。Slack、Chatwork、LINE WORKSなどメジャーなチャットツールと連携した打刻、Googleカレンダー、Outlook、Garoon(サイボウズ)と連携した交通費精算など、あらゆる手続きにかかる人的コストを削減します。ワークフロー構築もkintone(サイボウズ)やコラボフロー(コラボスタイル)と連携。給与システムや会計システムも外部ツールと連携し、業務や人事管理のスムーズな進行に貢献します。 |
ベンダーのWebサイト | https://www.kincone.com/ |
ジョブカン勤怠管理
初期費用 | 0円 |
月額費用 | 200~500円 / 1ユーザー |
利用可能な機能 | ・打刻 ※PC、モバイル、ICカード、GPS、LINE、Slackなど) ・出勤管理 ・シフト管理 ・休暇申請管理 ・工数管理・集計 ・超過労働対策(36協定対応アラート) ・外国語表示 ※英語、韓国語、スペイン語、タイ語、ベトナム語、中国語(簡・繁) |
無料トライアルの有無 | あり(30日間全機能利用可能) ※機能制限付きの無料版あり |
サービスの特徴 | ・出金管理・シフト管理・休暇申請管理・工数管理の4機能を自由に組み合わせて利用可能
・打刻が豊富で出先からでも安心 |
ポイント | ジョブカン勤怠管理は、多彩な打刻方法や柔軟なシフト管理に対応する勤怠管理システムです。あらゆる従業員の勤務形態や出退勤状況に応じた管理が可能であるため、一般的なオフィスワークから飲食業、製造業や医療業界など、さまざまな業態で利用できます。
必要な費用は1ユーザーあたりの月額料金のみ。利用機能の数に応じて料金が決まりますので、必要な機能だけを選べばランニングコストを抑えた勤怠管理が可能です。 |
ベンダーのWebサイト | https://jobcan.ne.jp/ |
マネーフォワード クラウド勤怠
初期費用 | 0円 |
月額費用 | 小規模事業者向け:2,980円 / 月 中小企業向け:4,980円 |
利用可能な機能 | ・勤怠管理 ・ワークフロー ・異動履歴管理 ・休暇管理 ・アラート機能 ・打刻丸め機能 ・就業形態対応 ・各種スマホ操作 |
無料トライアルの有無 | あり(1ヶ月) |
サービスの特徴 | ・マネーフォワード クラウドの各サービスと連携可能 ・法令改正や税率変更等へ無料アップデートで対応 |
ポイント | Money Forward クラウド勤怠は、出退勤から各種申請、異動記録まで勤怠に関するさまざまな管理機能を実装。社員の勤務状態を記録・確認するワークフロー管理を活用すれば、申請や承認がスムーズに進められます。Money Forward クラウドの各種サービスと連携すれば、社内業務システムの隅々まで連携が可能となり、各部署とスムーズでシームレスな管理業務が実現できます。 |
ベンダーのWebサイト | https://biz.moneyforward.com/attendance/ |
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