ECサイトはとても多くの人に利用される「生活に欠かせないサービス」です。「ほしいときにすぐ買える」──。この消費者の需要を満たすECサイトの運営に欠かせないIT製品が「在庫管理システム」ではないでしょうか。
在庫管理システムを利用することで、商品の在庫状況をリアルタイムに把握して在庫切れや在庫過多を防ぎ、顧客の需要に合わせて適切にサービスを提供できます。また複数の販売チャンネルをまたいで──例えば自社サイトに加えて、アマゾンや楽天市場なども含めて在庫やサービス体制を一括管理できる機能とともに、効率的なEC店舗運営を実現することも成果向上、そして業務の効率化につながることでしょう。
本記事ではそんなECサイトの運営を例に、クラウド型在庫管理システムの導入に向けた基礎知識、選び方をじっくり解説していきます。
目次
ECサイトに適する在庫管理システムの基礎知識
在庫管理システムの概要、主な機能、得られる成果は以下の通りです。
在庫管理システムとは
在庫管理システムとは、商品の在庫状況をリアルタイムで把握し、適切な在庫数を維持する機能を軸に、それらをデータとして一元管理できるIT製品のことです。これを適切に利用することで売り逃しや在庫過多を防ぐことができます。
ECサイトが抱える在庫管理のよくある課題
(1)在庫不足と過剰在庫のリスクが怖い
欲しい人がいるのに在庫切れで販売できなかったら「売上の機会損失」になります。これが何度も続けば顧客の信頼を失い、二度と利用してくれなくなるかもしれません。
一方、在庫切れがリスクだからと在庫を過剰に抱えすぎてもいけません。資本に影響し、こちらも結果として機会損失や業績の悪化につながります。
このバランスをどう取っているのか。「管理者」「ベテラン」「専門スタッフ」「詳しい人、慣れた人」などが自身の経験、コツやカンを頼りにで行っているのではないでしょうか。
(2)人的ミスの可能性が要所にある
前述した仕入れ時だけでなく、入出庫時、検品時、ピッキング時、倉庫内での在庫移動時など、人力で行う作業にはどうしても人的ミスが発生する可能性があります。
「数字を間違えて仕入れすぎてしまった……」と原価以下で泣く泣く投げ売りすることになったシーンもネットではよく見かけます。
人的ミスに由来する過剰在庫の発生や販売機会の損失、注文に対する発送遅延が発生する可能性はできるだけ排除していきたいが、目の前のことが忙しいし、どうすればよいだろうか……が現状かもしれません。
在庫管理システムの導入で得られる成果
(1)効率的に在庫管理ができるようになる
在庫管理システムを導入することで、在庫の追跡、発注、販売予測などの行程を自動化できるようになります。手作業による人的ミスのリスクを減らし、業務効率を向上できます。
(2)販売機会を最大化できるようになる
在庫管理システムを適切に活用することで、適切な在庫量を維持できるようになります。商品の欠品による販売機会の損失を防ぎ、売上の最大化にもつながります。
(3)資本の最適化が可能になる
在庫を適切に管理することで、過剰在庫による資本の凍結も防げます。資本の効率的な利用が可能となるでしょう。
在庫管理システムの選び方
在庫管理システムを選ぶ際には、機能性、使いやすさ、コストパフォーマンスなどが基本の選定要件になります。基本ポイントは以下の通りです。
- 自社の業務フローをあらためて確認
- 自社に必要な機能、性能を持つかどうか
- 既存システムとの連携性はどうか
- コストは適切か
- サポートとアップデート体制に不足はないか
(1)自社の業務フローをあらためて確認する
在庫管理システムの選定においてまず重要なのは「要件をまとめること(要件定義)」です。
自社の在庫管理に関する業務フローを再確認し、どんな課題があるのか、その課題をどう解決したいのか、どれだけ売上を向上させたいのか、などできるだけ多くリストアップして、要素別に重要度順に順位付けをしましょう。
業務フローやニーズを改めて明確にしておくことで、必要となるシステム機能や要件を「具体的にベンダーへ伝えられ」ますし、「製品を探しやすく/候補を絞りやすく」なります。この要件定義をあらかじめしておくことが、より適切なシステム選定につながります。
「要件をどのように定めればいいのか分からない」
「自社に合う製品が分からない」
「時間をかけず効率的にサービスを検討したい」
\そんなときはITセレクトの相談専門スタッフが、ニーズに合った製品をご紹介します/
(2)自社に必要な機能、性能を持つかどうかを確認する
自社のビジネスモデルや運営規模に応じて、自社にニーズのある機能、必要となる機能、例えば「リアルタイム在庫管理」「マルチチャンネル対応」「自動発注システム」などがあるかどうかを確認しましょう。
併せて、将来的にビジネスが拡大した際にも対応できる性能、例えば「取扱商品数の上限」「需要に沿った処理速度」など備えているかどうかも考慮しておきましょう。
(3)既存システムと連携できるか
既存のECプラットフォーム、会計ソフト、CRM、物流管理システムなどとの連携が可能か、APIの提供や用意されている統合ソリューションの有無を確認しましょう。
また標準機能ではカバーできない特殊な連携が必要な場合、カスタム開発が可能かどうか、またその際のコストや期間も確認する必要があります。
(3)コストは適切か
システムの導入にかかる初期費用とランニングコストとともに、それらの投資に対してどれだけ成果を得るのかを試算しましょう。
クラウド型のIT製品は、パッケージ型などと比べると初期費用を抑えられる場合が多い半面、ほとんどは月額あるいは年額で支払うサブスクリプション型です。使い続ける限り一定のランニングコストが掛かり続けます。
それに対して、在庫の正確な管理による売上増加、過剰在庫や品切れによる損失の削減、作業効率の向上による人件費削減など、投資に対する成果をどう考えるかが大きなポイントになりそうです。
(4)サポートとアップデート体制に不足はないか
クラウド型製品は、セキュリティ対策の基礎対策をクラウドサービスベンダーに任せられる利点があります。しかし、重要な「商品」「お金」のデータを扱うシステムである以上、自社で何も対策せず/全部お任せ……ではいけません。製品側のセキュリティ対策だけでなく、自社内のセキュリティ意識や取り組み、体制の不備や不足も潜在的なリスク要因になります。
サポート体制/サポートメニューの幅は「製品や料金プランによって変動する」ことが多いです。例えば、低価格プランはWebヘルプのみ、企業向けプランは24時間電話受付やサポート専任者が付く、手厚いサポートメニューはオプションで別途用意、などです。
ともあれ、システムが定期的にアップデートされ、最新のセキュリティ対策や新機能が追加されるか。また、そのアップデートや保守期間が自社サービスの運用にどのように影響するかといった、「他人任せでは済まない」自社として正しく把握し確認しておくべきこともあります。不明点は製品を提供するベンダーに遠慮なく問い合わせましょう。
「ECサイト向け」おすすめ在庫管理システム 5選
ECサイト向け機能を備える在庫管理システムを5製品を紹介します。(製品名 abcあいうえお順)
CROSS MALL
特徴 | 商品登録・在庫管理・受注管理・発注・仕入れといった、ネットショップを運営するのに必要な業務をすべて一元管理できるASP製品 |
主な料金プラン | スーパーライトプラン:月5000円×サイト数(3サイトまで)
プラン1000:月9000円×サイト数(商品点数1000点まで) プラン3000:月1万4000円×サイト数(商品点数3000点まで) |
ベンダーのWebサイト | https://cross-mall.jp/ |
GoQSystem
特徴 | 商品・地域別の自動振り分けやメールの自動配信など、複数店舗をまとめて管理できるシステム。モール・カートごとの在庫の管理や仕様が異なる商品の登録や更新・変更を一括で完了できる。 |
主な料金プラン | 無料プラン:あり 受注管理プラン:月1万500円から受注・在庫連携管理プラン:月2万9800円から受注・商品・在庫連携管理プラン:月4万4800円から |
ベンダーのWebサイト | https://goqsystem.com/ |
アシスト店長
特徴 | 受注・在庫管理業務、メール配信や顧客管理などの手間・時間・人件費を全てカバーして一元管理できるEC受注一元管理システム。 |
主な料金プラン | 初期費用:5万円から
基本料金:月2万5000円から |
ベンダーのWebサイト | https://assist-tencho.com/ |