従業員の出勤日や勤務時間を管理する「シフト管理」は、業務・営業を滞りなく進めるために必要不可欠な行程です。しかし従業員ごとに予定を確認し、細かい調整をする必要があるため、現場ではかなりの時間と労力を強いられがちです。
本記事では、そんな問題を解決するIT製品「シフト管理システム」の基礎と効果、まずは“無料”で始められるお勧め製品をご紹介します。シフト管理に時間や労力が取られている人や、シフト管理システムの導入を考えている人は、ぜひ参考にしてください。
目次
シフト管理システムの基礎知識
まずは、シフト管理システムの基本的な内容と、従来の管理方法の課題について説明します。
シフト管理の基本と重要性
「シフト管理システム」は、従業員の出勤日や勤務時間の割り当て/スケジュール化を軸に、その追跡、調整、管理する、いわゆる「シフト組み」に目的に特化した機能を持ちます。
IT製品の中には「勤怠管理システム」と呼ばれ、勤怠管理の1つである「シフト」の機能も包括されるものもあります。勤怠管理システムは従業員の出勤時間、退勤時間、休憩時間などの実際の勤務状況「全般」を記録し、管理する製品群です。
どちらも従業員の労働時間を追跡し、組織の人的資源を管理するという点では共通していますが、あえて分けるとシフト管理システムは、正社員、アルバイト、パートなど、多様な働き方、雇用体系、勤務体系の従業員がいる企業や業種における「効率的なシフト管理」にフォーカスし、機能を絞ったものと理解するとよいでしょう。
シフト管理システムは主に以下の機能を備えます。
- シフトの自動作成
- 従業員の可用性と休暇申請の管理
- シフト交換や調整の容易化
シフト管理システムを利用することで、管理側も、従業員側も、正確かつ正しく、そして手間も低減できるシフト管理を効率的に実践できるようになります。
従来型シフト管理方法の課題
これまで多くの企業はタイムレコーダー/タイムカードでの出社退勤記録とともに、カレンダーや黒板、手帳などへの記入、あるいはMicrosoft Excelなどを使った手入力/アナログの方法でシフトを管理していたと思います。
そんな従来のアナログ型方法には、多くの課題がありました。
例えば、小売業/コンビニエンスストアなどでは、繁忙期や緊急時の人員配置、従業員の休暇希望といった多様な要因を考慮する必要があるため、管理が複雑になります。
「店長~! 私、クリスマスイブはバイト休みますね。入れていたシフトから外してください」
「えー、急に抜けられたらお店回らないよ。誰かを確保しないと……。●●さんは空いているかな。●●さんの電話番号は……」
……ベタですが、過去にはこんなやりとりが恐らくたくさんありました。
これらの方法は「手動」ですので、管理側も、従業員も面倒ですし、時間もかかります。何より「人的ミス」が発生しやすく、属人化が起こりやすい環境でもありました。
小売業以外でも、テレワークなど多様な働き方も普及したことで、「出社」が前提だったシフト管理手法では柔軟な対応が難しくなっています。
従業員目線でもそうです。不規則なシフトや突然の変更、不透明なシフト割り当てがあれば、「冗談じゃない」と大きなストレスを感じます。シフト割り当ての透明性を向上することで、従業員の満足度と業務の効率化を両立させなければいけません。シフト要望出しや変更依頼、出勤内容の確認など手元の「自分のスマホ」でサクッとできれば完璧です。
なぜシフト管理がビジネスに重要なのか
なぜシフト管理がビジネスに重要なのでしょうか。考えられる理由は以下の通りです。
・効率と生産性の向上
適切なシフト管理によって、労働力の最適な配置が可能になります。
従業員が必要なときに、必要なポジションで働くことで、業務はより円滑になり、待ち時間や過剰な労働を削減できます。
このように、シフト管理は単にスケジュールを整理するだけでなく、従業員の能力とニーズに合わせて配置することで、全体の作業効率を高める重要な役割を果たします。
結果として、従業員は自分のスキルを最大限に活かせ、高い成果を上げることが可能になります。
・スタッフ満足度の向上
適切なシフト管理は、従業員の生活と仕事のバランスを維持し、労働条件を向上させる要因になります。
スタッフにとって満足度の高いスケジュールを作成することで、モチベーションが高まり、「働きやすい」環境も構築できます。従業員の定着率やサービスレベルの向上につながることでしょう。
・顧客満足度の向上
適切なシフト管理は、顧客サービスの質を大きく左右し、顧客満足度を高める重要なポイントにもなります。
例えば、最適な数のスタッフがいれば、顧客の待ち時間は短縮され、サービスの品質を高められます。人が少なければサービスレベルはどうしても落ちます。人が多すぎても人的コストが過剰にかかってしまいます。
「無料」で始められるシフト管理
世の中には、無料で始められるシフト管理システムがあります。
機能に制限があったり、一定期間だけの体験版であったりと、制限はありますが、それでも無料で始められることにはメリットがあります。
シフト管理ソフトウェアの特徴
シフト管理システムは、シフト作成や管理の効率化と従業員満足度の向上を目指して設計されており、以下のような主要な特徴があります。
- 自動化と効率化:シフト作成プロセスを自動化し、手動での時間割り当て作業を大幅に削減する
- アクセシビリティと透明性:従業員はシステムを通じて自分のスケジュールを簡単に確認し、シフト交換や休暇申請などを行える
- 柔軟性とカスタマイズ:異なるビジネスモデルや業種に応じて、様々なニーズに合わせたカスタマイズが可能
- データ駆動の意思決定:シフト関連のデータを収集、分析し、効率的なスタッフ配置や将来のスケジューリング戦略の策定をサポートする
このように、シフト管理システムはビジネス運営を効果的にするための強力なツールになっています。
無料で始められるシフト管理システム3選
「無料プラン」が提供されるシフト管理システムもあります。特に小規模企業や個人事業主にとって、コスト削減の点で魅力的な選択肢になります。
複雑なセットアップや専門的な知識を必要とせず、ビジネスオーナーやマネージャー自身がシステムを導入し、運用を開始することもできるでしょう。
ジョブカン勤怠管理
特徴 | 勤怠管理からシフト管理までできる、初めてでも誰でも使える勤怠管理システム |
無料プラン・ 無料トライアル |
無料プランと30日間の無料トライアルあり (無料トライアル終了後、契約しない場合は自動的に無料プランに移行) |
有料版の価格例 | 下記の4つの機能から選択して利用 1. 出金管理 2. シフト管理 3. 休暇、申請管理 4. 工数管理 機能が1つの場合は1ユーザーごとに月額200円(税抜) + 1つ追加するごとに100円(税抜)加算※月額最低利用料金は2000円(税抜) |
スマホアプリ | あり |
無料版と有料版の違い | ・登録スタッフ数10名まで ・データ保持は30日間・チャットサポート機能が利用不可・一部の印刷、データダウンロード機能の制限・ジョブカン給与計算とのAPI連携機能は有料版のみ搭載 |
ベンダーのWebサイト | https://jobcan.ne.jp/ |
ハーモス勤怠 by IEYASU
特徴 | ICカード、Slack、LINE等、様々な働き方に合わせた打刻が可能な勤怠管理システム |
無料プラン・ 無料トライアル |
無料プランあり (利用人数30名以下の場合) |
有料版の価格例 | 1人あたり月額100円(税抜)〜 |
スマホアプリ | あり |
無料版と有料版の違い | ・有給休暇管理などのオプション機能が利用不可 ・メールサポートが利用不可 |
ベンダーのWebサイト | https://hrmos.co/kintai/ |
Optamo for Shift
特徴 | 組み合わせ最適化アルゴリズムを応用した勤務シフト、タスク表をAIで自動作成できるクラウドサービス |
無料プラン・ 無料トライアル |
最大2ヶ月の無料トライアルあり |
有料版の価格例 | 要問い合わせ |
スマホアプリ | ─ |
無料版と有料版の違い | 無料トライアル期間中は全ての機能が利用可能 |
ベンダーのWebサイト | https://www.optamo.jp/ |
無料プランはなぜ無料なのか、どこまで無料で使えるのか
無料で始められるシフト管理システムは、情報のデジタル化とコスト面、業務の効率化への寄与が期待できる魅力的な選択肢です。しかし「無料」であるのはいくつかの理由があり、原則としてIT製品のほとんどは「有料」であることも理解しておきましょう。無料で利用する場合、ユーザー数や機能に制限があることが一般的です。
これらの制限はシステムによって異なるため、具体的な利用可能ユーザー数や、機能の上限について事前に調査する必要があります。
特に以下のことを確認し、調査しておきましょう
- 有料/無料で利用可能な機能の差:無料プランでは基本的なシフト管理機能が提供されることが多いですが、進んだ分析ツールや高度なカスタマイズオプションなどは有料プランでのみ利用可能な場合がある
- 利用形態:無料プランは主にクラウドベースで提供されることが多く、オンプレミスやスマートデバイス用アプリでは利用可能な機能が異なる場合がある
- データ保存期間:無料プランではデータ保存期間に制限が設けられていることがあり、長期間のデータアーカイブが必要な場合は有料プランへのアップグレードが必要になる場合がある
- サポート内容の手厚さ:無料プランではサポートが限定されることが多いため、より手厚いサポートが必要な場合は有料プランを検討する必要がある
無料プランと有料プラン、どちらを選ぶにせよ、現在のビジネス規模や事業内容を照らし合わせて検討することが重要です。
また、「無料プラン」の範囲内でシステムを試験的に利用し、その機能や制限を確認した上で、プランを検討するのも有効な選定方法の1つです。
「無料プラン」はシフト管理効率化の第一歩
無料のシフト管理ツールは、特に小規模ビジネスやスタートアップにとって有益な選択肢であり、初期投資を抑えながら、業務の効率化と従業員の満足度向上を実現します。ユーザー数や機能の制限を考慮し、自社のニーズに合わせて適切なシフト管理ツールを選択することが重要です。
また、自社に最適なIT製品やサービスをお探しの際は、ITセレクトまでご相談ください。適切なIT製品・サービスのご紹介や各種資料をご提供し、ビジネスのニーズに合わせた最適なソリューションをご提案します。