在庫管理システムとは、企業が保有する商品や資材の在庫状況を管理するためのシステムです。入出庫情報を記録・集計するだけでなく、余剰在庫や欠品を生み出さないための数々の機能が搭載されています。
商社や工場など、さまざまな種類の商品や資材を抱える業態には欠かせないシステムですが、利用することでどのようなメリットとデメリットが生まれるのでしょうか。今回は在庫システムのメリット・デメリットと、おすすめ製品(15製品 2024年10月時点)をご紹介します。
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目次
在庫管理システムの機能と種類
在庫管理システムは、さまざまな種類の商品や資材の入出庫管理を効率化するためのIT製品です。入出庫管理は数量を数えて在庫を把握するだけでなく、会計処理や購買計画を立てるためのデータを作る際にも役立ちます。
在庫管理システムの主な機能
在庫管理システムは、一般的に以下のような機能を備えています。
- 入出庫管理機能
- 検品機能
- 返品管理機能
- 棚卸機能
- 在庫分析機能
- データ抽出機能
- マスター管理機能
入出庫管理機能
入出庫管理機能は、商品や資材の入荷・出庫を保管拠点ごとに管理し、在庫数を記録するための機能です。管理する商品を種類別やカテゴリー分類など、指定した条件で管理できます。
検品機能
検品機能は、連携したハンディスキャナで商品のバーコードを読み取り、入出庫する品目・数量を確認するための機能です。入出庫予定の品目・数量を登録しておけば、問題発生時にはアラートが発出され、再チェックを促してくれます。
返品管理機能
返品管理機能は、出荷された商品が返品される際の手続きを支援する機能です。この機能は、返品処理の手順を標準化し、企業や拠点間での処理方法の差異を最小限に抑えられます。これにより、返品処理における一貫性を保ち、在庫情報の正確性を維持することが可能になります。
棚卸機能
棚卸機能は、データ上の在庫数と実際の在庫数を照合するための機能です。検品と同様に、ハンディスキャナで商品のバーコードを読み取り、データと実在在庫のズレをチェックします。倉庫内の全商品が対象の一斉棚卸だけでなく、カテゴリーごとや商品ごとなど、部分的な棚卸にも対応しています。
在庫分析機能
在庫分析機能は、過去のさまざまな記録を分析する機能です。在庫状況などを分析することで、売れ筋や売れていない商品を把握できます。また、過去の入出庫状況から、時期ごとの入荷予測を自動的に算出することも可能です。
データ抽出機能
データ抽出機能は、在庫管理システム内に記録された情報から必要な情報を抽出する機能です。情報を抽出後、グラフや一覧表に加工して出力することも可能です。社内会議などに必要な資料作成に欠かせない機能であり、データが積み上げられると共に出力されるデータの精度も高まります。
マスター管理機能
マスター管理機能は、マスターデータ(顧客や社員、商品分類など)を管理する機能です。在庫管理に必要な複数のデータを横断して管理できるため、特定の顧客に関連する商品の在庫変動など、欲しい条件のデータの抽出が容易になります。
在庫管理システムの種類
在庫管理システムは、ベンダーからの提供方法によって「クラウド型」「オンプレミス型」「パッケージ型」に分類されます。
クラウド型
クラウド型は、インターネット上のサーバに構築されたシステムをインターネット経由で使用するタイプです。インターネットにつながっている端末であればどこからでも使えるので、多拠点間、グループワーク、リモートワークでも使いやすいのが特徴です。システムやセキュリティのアップデートなどもベンダー側の主導で行われます。
本記事では、現在主流であるこの「クラウド型」での検討シーンを主に解説していきます。
オンプレミス型
オンプレミス型は、自社内のサーバにシステムを構築するタイプです。自社独自に構築するのでカスタマイズ性が高く、自社の業務内容にフィットしたシステムを構築しやすいのが特徴です。ただ、独自/独特の機能開発も含めると、開発・導入のためのコストや手間はかなり大掛かりになります。また、導入後のシステムやセキュリティのアップデートや管理も自社ですべて対応していくことになります。
パッケージ型
パッケージ型は、在庫管理システムとして販売されているソフトウェアをインストールして使用するタイプです。旧来よりある方法ですが、インストールしたPCでしか使えない制約があり、複数人・複数拠点での同時作業や管理にはあまり適していません。手軽に導入でき、機能も購買スタイルもシンプルなので、個人事業主や小規模での導入に適するシーンはいまだにあります。
在庫管理システムを導入するメリット・デメリット
在庫管理システムの導入には、それぞれ以下のようなメリット・デメリットがあります。
在庫管理システムを導入する主なメリット
手作業で在庫管理を行っていた企業が在庫管理システムを導入すると、作業時間の短縮と効率化、そして正確性の向上が大きく期待できます。棚卸の際に発生する在庫ズレが少なくなり、不要な仕入が減りコストカットにもつながります。
オンプレミス型やクラウド型を使用すれば、全社内で在庫情報を共有しやすくなる点も大きなメリットです。部署間での混乱や作業の重複がなくなることで業務が効率化され、人件費の削減も可能になるしょう。
在庫管理システムを導入する主なデメリット
在庫管理システムは便利な一方、利用には一定の費用がかかります。クラウド型製品の多くは、従来のパッケージ型製品のように1本○円の買い切り型ではなく、ユーザー数単位/機能数単位などで「月額○円(あるいは年額○円)」となるサブスクリプション型の料金体系になります。
サブスクリプション型は料金プランの選択や機能オプションの数などとともに細かくコストを定めやすい半面、誤った判断──例えば、「分からないので、とにかく全部入りで! 最上位のプランで!」のような安易な決め方はおすすめできません。導入コストやランニングコストの額によっては不要な費用負担がのしかかることになります。機能、予算と財政状態などに合わせた導入を検討する必要があるでしょう。
また、一度在庫管理システムを導入すると、その後の在庫管理に関する業務はシステムに依存することにもなり得ます。障害発生時の対応策などにも気を使う必要があります。
在庫管理システムの選定ポイント
在庫管理システムごとに使用できる機能が異なりますので、自社にあったシステムを選ばなければなりません。初めて在庫管理システムを導入する際には、どのようなポイントを注意してシステムを選べばよいのでしょうか。
(1)自社が抱えている在庫管理の課題を解決できるか
自社の在庫管理が抱える問題を解決するためにシステムを導入するなら、まずは具体的に解決したい課題や目標値、ありたい姿などを明確にするところから始めましょう。
また導入候補のシステムの費用や対応できる規模を把握し、自社の規模と合っているものを選ぶのがおすすめです。選ぶ際には、複数の候補を比較して選定しましょう。
(2)自社に適した登録方法となっているか
在庫管理システムは、頻繁に発生する商品の登録作業が現場の負担にならず、必要な情報を取得できるものであることが大切です。同じツールでも管理する商品や資材のアイテム数、拠点の数や規模などによって使い勝手は異なります。現在の業務で使いやすいというだけでなく、今後の事業拡大も考慮に入れてシステムを選ぶとよいでしょう。
(3)カスタマイズを柔軟に行えるか
在庫管理の仕方は業種や作業環境によって変わるため、特別な対応が必要な企業は、柔軟にカスタマイズできるシステムを選ぶとよいでしょう。
なお、在庫管理システムの中には特定の業界向けのものもあります。まずは自社が属する業界向けの製品で探すのは近道の1つです。“業界特化型”がなかったとしても、必要に応じて機能をカスタマイズできる製品も多くあります。
(4)既存のシステムと連携しやすいか
在庫管理システムは、受注管理システムや販売管理システムなど、商品の販売・生産に関わる他のシステムと連携することで、業務をより効率化できます。各商品の在庫変動を売り上げと連携させれば、より高度な売り上げ分析も可能になるため、既に利用しているシステムと連携可能かもあわせて確認しましょう。
(5)十分なサポート体制があるか
在庫管理システムはすべての商品の出入りに関わるシステムであるため、停止すると業務に大きな支障をきたすおそれがあります。万が一トラブルが起きた際に解決できるよう、十分なサポート体制が用意されたシステムを選ぶのがおすすめです。
おすすめの在庫管理システム15選
これまでの解説を踏まえ、おすすめの在庫管理システムをご紹介します。(製品名abcあいうえお順/2024年10月時点)