販売管理とは、企業の販売活動に関する商品やお金などの流れ・情報を管理すること、およびその業務のことです。小売業や卸売業にとって欠かせない業務フローの1つで、お客様からお金を受け取ってから商品を引き渡すまでの流れを管理し、適切な取引を実現します。一部の企業では紙の管理表や表計算ソフトを用いて販売管理を行っていますが、業務量の増加が負担になる企業も少なくありません。
販売管理システムは、販売管理にともなう業務を効率化できるIT製品です。他のシステムと連携し業務を効率化できる販売管理システムは、具体的にどのような機能を持っているのでしょうか。
今回は販売管理システムの主な機能と導入のメリットを確認し、製品選定のポイントとともにおすすめの販売管理システム(全22製品/2024年11月時点)を紹介します。
目次
販売管理システムの基礎知識
商品の売買を生業とする企業において、販売管理はなくてはならない業務フローです。販売管理システムは、販売管理においてどのような役割を果たすのかを解説していきます。
販売管理システムとは?
販売管理システムとは、商品の受注から納品まで、お金や商品の一連の流れをシステム上で管理する仕組みです。見積もりから売買契約の締結、出荷、売り上げ処理、請求といった流れの他、商品の入出庫管理や在庫管理といった業務もシステム上に集約できます。販売管理は顧客管理や生産管理など他の業務と密接な関係があるため、販売管理システムは他の管理システムとの連携機能が豊富な製品が多く存在します。
販売管理システムと連携できるシステムの例
以下の表は、販売管理システムが連携できるシステムの一例です。
連携できるシステムの例 | 概要 |
顧客管理システム | 顧客情報を管理し営業活動をサポートする |
生産管理システム | 生産計画に基づく生産工程を管理 |
財務会計システム | 取引記録から財務諸表を作成 |
物流管理システム | 入出庫の過程や在庫、配送状況を管理 |
契約管理システム | 契約書の作成・保存、契約更新時期を管理 |
顧客管理システム
顧客管理システムは、既に取引がある顧客の情報を一元管理するシステムです。企業の業種や担当者、問い合わせ履歴や取引実績などの情報を分析し、顧客への適切なアプローチを実現するために活用されます。一般的にCRM(Customer Relationship Management)とも呼ばれます。販売管理システムとは顧客情報や売り上げ記録などのデータを連携します。
生産管理システム
生産管理システムは、製造業における生産計画に基づく生産工程を管理するためにあります。。原材料の発注から生産進捗の管理、完成品の原価や在庫管理といった業務をシステム上で行います。販売管理システムとは製品の在庫や入出庫記録などのデータを連携します。
財務会計システム
財務会計システムは、企業が行うさまざまな取引の記録を集計し、財務諸表を作成するためにあります。販売管理システムと商品の仕入・販売や出入金に関するデータを連携します。
物流管理システム
物流管理システムは、商品や原材料の入出荷の過程や在庫の管理およびトラックなどによる配送状況を管理するシステムです。販売管理システムとは、商品や原材料の入出庫や在庫に関するデータを連携します。
契約管理システム
契約管理システムは、契約書の作成から保存、締結した契約の更新等の時期を含めた行程を管理するシステムです。販売管理システムとは、契約に基づく請求時期の管理などで連携します。
販売管理システムの機能と種類
販売管理システムにはさまざまな製品があります。それぞれ特徴や得意分野が異なりますが、利用できる機能には一部共通点があります。
販売管理システムの主な機能
販売管理システムで利用できる主な機能は以下の通りです。
販売管理システムの機能 | 概要 |
販売管理 | 商品や原材料の販売にかかるお金の流れを管理 |
在庫管理 | 商品や原材料の入出庫記録と在庫を管理 |
購買管理 | 商品や原材料の購買にかかるお金の流れを管理 |
販売管理
販売管理は、商品やサービスの受注・請求・入金を管理する機能です。見積もりの作成から受注、商品等の出荷、売り上げ処理、請求手続き、入金確認まで、商品やサービスの販売に関するお金の流れをデータ化し、集計や分析が可能な状態で管理します。
在庫管理
在庫管理は、商品や原材料の入出庫や在庫状況を管理する機能です。商品や原材料が入庫・出庫するたびに記録し、倉庫の中にある在庫の種類や数量をデータとして確認できるようにします。在庫情報はリアルタイムで更新されるため、関連部署は常に正確な在庫数を把握できるようになります。
購買管理
購買管理は、商品や原材料の発注・仕入れ・支払いを管理する機能です。「売る」側が扱う内容を管理する販売管理に対し、購買管理は「買う」側が扱う数字やデータを管理します。進行中の仕入れや今後の購買予定を管理できますので、商品や原材料を仕入れる手配が必要なタイミングで、適切な対応をしやすくなります。
販売管理システムの主な種類
販売管理システムは、業種や目的ごとに以下の4タイプに分類できます。
販売管理システムの種類 | 概要 |
汎用型 | 業種を問わず幅広い業務に対応 |
複数業種対応型 | 特定業種向けパッケージを組み合わせ可 |
特定業種特化型 | 業界特有の商慣習にも対応 |
販売管理特化型 | 在庫を持たない小規模ビジネス向け |
汎用型
汎用型は、業種を問わず幅広い業務に対応できるタイプです。いくつかの機能の中から、自社に必要な機能を選んで利用できます。
複数業種対応型
複数業種対応型は、特定の業種向けにパッケージ化された機能の中から必要なものを組み合わせて導入する形態です。パッケージ化されているため、自社の業種に適した必要機能を備えたシステムを比較的短期間で導入できます。
特定業種特化型
特定業種特化型は、業種特有の業務への対応に特化したタイプです。特有の商慣習など、一般的な販売管理システムでは対応できないような取引へ対応できます。
販売管理特化型
販売管理特化型は、在庫管理が不要な小規模ビジネスやサービス提供ビジネス向けのタイプです。機能が販売管理に限定されているため、操作が煩雑にならずにコストも抑えられます。
販売管理システムの導入の主なメリット
販売管理システムを導入することで得られるメリットをご紹介します。
- 業務の負担を軽減できる
- 情報を一元化できる
- データを活用できる
業務の負担を軽減できる
販売管理システムを導入すれば、従来、手作業だった入力や書類作成の大半を自動化できます。作業の手間を大幅に減らせるだけでなく、入力ミスや記録漏れといったトラブルの防止にも繋がります。
情報を一元化できる
販売管理システムは、商品や原材料の販売や仕入れ、それにともなう在庫の変動をシステム上で一元管理できます。販売や仕入に関係するすべての情報が部門をまたいで集約されるため、正確な情報の共有がタイムラグなくできるようになります。
データを活用できる
システムに集約された商品や原材料の販売に関するデータは、経営分析や販売計画の立案などに活用しやすくなります。受注や販売数の予測から仕入数を算出するなど、省コスト化につながるデータ分析が可能です。
販売管理システムを選ぶポイントと導入時の注意点
販売管理システムを選ぶ際には、自社にあった製品を選ぶためのポイントや導入後にシステムを活用しやすくするための注意点がいくつかあります。自社に適したシステムを導入し業務効率化を図るためにも、紹介する内容を意識して導入しましょう。
販売管理システムを選ぶポイント
販売管理システムを選ぶ際には、以下のポイントを意識することがおすすめです。
自社の業種・業態に合う機能の有無
販売管理システムにはさまざまな機能が搭載されていますが、すべての企業が全機能を使いこなせるわけではありません。自社の業種に不要な機能が多いシステムを導入すると、使わない機能に対してお金を払うことになります。まずは自社の業種特化型システムや、自社が抱える課題を解決できる機能が備わったシステムを優先的に選びましょう。
既存のシステムとの連携の可否
既に生産管理や財務会計などの管理システムを導入しているなら、既存の社内システムと連携可能な販売管理システムを選ぶと、データ連携がスムーズに行えます。例えば、CSVなどの汎用形式で出力したデータをインポートできる機能があるシステムなら、蓄積されたデータを適当に活用できるでしょう。
サービスの提供形態
販売管理システムの提供形態は「クラウド型」と「オンプレミス型」に分類されます。
クラウド型 | クラウド型はインターネット上のサーバ(クラウドサーバ)に構築されたシステムをインターネット経由で使用するタイプです。自社でサーバ・インフラを用意せずに計画できるため初期費用やその準備が多くかからず早期導入が見込めること、必要な機能をニーズに応じて導入するといったシーンに適合する幅広いメニューや柔軟性が利点に挙げられます。多くは月額あるいは年額で利用料金を支払うサブスクリプション型です。コスト計算や予算策定しやすい利点がある半面、原則として使い続ける限り/契約期間中はコストが固定費として発生します。インターネット環境があればどこからでも接続できるため、リモートワークや複数拠点からのアクセスにも対応できます。システムやセキュリティのアップデートなどもベンダー側の主導で行われます。
本記事では、現在主流であるこの「クラウド型」での検討シーンを主に解説していきます。 |
オンプレミス型 | オンプレミス型は、自社内のサーバにシステムを構築するタイプです。自社独自に構築するのでカスタマイズ性が高く、自社の業務内容にフィットしたシステムを構築できることが特徴です。一方で、カスタマイズ費用やサーバ管理費用など、初期費用を含むコストは高額になる傾向があります。また、導入後のシステムやセキュリティのアップデートや管理も自社ですべて対応していくことになります。
また、パッケージソフトウェアを購入し、業務PCへインストールして活用する、旧来よりある方法「パッケージ型/インストール型」もこちらに含みます。 |
販売管理システム導入時の注意点
従来は手作業で行っていた販売管理の現場にシステムを導入する場合、現場での混乱が発生することが予想されます。担当者が新しい業務フローを受け入れられず、販売管理が滞ることがないよう、実際にシステムを使う従業員の意見を尊重しながら導入するように注意が必要です。
いきなり現場に導入する前に、無料トライアルやデモバージョンなどで使用感を確かめてもらうとよいでしょう。また、導入前に従業員向けの勉強会を開くなど、システムに慣れ親しんでもらう機会を設けるのがおすすめです。
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