請求書発行システムは、会計システムや販売管理システムと連携し、請求書の作成・発行・送付などの業務を効率化・自動化できるIT製品です。手作業ではミスが発生しやすい請求書発行業務のリスクを減らし、確実な請求書発行を行えるとして多くの企業で導入が進んでいます。今回は昨今企業での導入が増えているクラウド型の請求書発行システムで利用できる機能、導入のメリットを確認するとともに、おすすめ製品16選(2024年10月時点)をご紹介します。
目次
請求書発行システムの主な機能と種類
請求書発行システムは、請求書に関連する業務に特化したシステムです。発行・送付だけでなく、データの管理や進捗確認といった機能も充実しています。
請求書発行システムの主な機能
請求書発行システムには、主に次のような機能が搭載されています。
- 請求書の作成機能
- 請求額の取り込み機能
- 請求書の発送代行機能
- 請求書の保管機能
- 請求書進ちょく管理機能
- 他システムとの連携機能
- 請求後の入金管理機能
請求書の作成機能
請求書発行システムの基本機能として、事前に登録された取引先や発行者の情報などを使用し、請求書を発行します。毎月入力する項目は、納品項目と金額のような、取引内容に関する情報に限定できるため、請求書発行にかかる工数の削減が可能です。
発行された請求書はPDF形式で出力できる他、納品書作成にも対応しています。
請求額の取り込み機能
請求書に記載する金額や項目は、会計ソフトやSFAなど、連携する他のツールから取り込みが可能です。
請求書の発送代行機能
取引先の要求に応じた形式での請求書を代行送付する機能です。PDF形式のファイルをメールで送るだけでなく、郵送やFAXといった形式での送付も行えます。
請求書の保管機能
請求書は法律により7年間の保管義務があります。請求書発行システムはシステム上で発行した請求書を自動的に保管してくれるため、法律上の保管義務に違反する心配が軽減できます。
進ちょく管理機能
請求書発行システムの中には、システムを通じて送信した請求書の開封状況を確認できるものがあります。未開封の相手にはリマインドの送信も可能ですので、先方の請求書の処理漏れを防止できます。
他システムとの連携機能
請求書発行システムは、他システムとの連携も可能です。会計システムやSFAなど、外部のシステムと請求書発行システムが連携できると、請求額の転記漏れや請求書の発行漏れといったミスを防止できます。
請求後の入金管理機能
請求書発行システムは、システムを通じて発行した請求書の入金管理にも対応するものがあります。無事に入金された後の入金消込作業の自動化や、期日までに入金されない場合の督促もシステムにより自動化できるため、経理担当者の負担を大きく削減することができます。
請求書発行システムの種類
請求書発行システムには3種類のシステム提供方法があり、それぞれ異なる特徴を持っています。自社で使用する範囲や導入費用を考慮し、自社の運用方針にあった種類のシステムを導入しましょう。
クラウド型
クラウド型はインターネット上のサーバ(クラウドサーバ)に構築されたシステムをインターネット経由で使用するタイプです。自社でサーバを用意する必要がないため基本的に初期費用がかからず、月額の利用料金も安く抑えられる傾向があります。インターネット環境があればどこからでも接続できるため、リモートワークや複数拠点からのアクセスにも対応できます。システムやセキュリティのアップデートなどもベンダー側の主導で行われます。
本記事では、現在主流であるこの「クラウド型」での検討シーンを主に解説していきます。
オンプレミス型
オンプレミス型は、自社内、あるいは自社管理下にあるサーバにシステムを構築するタイプです。自社独自に構築するのでカスタマイズ性が高く、自社の業務内容にフィットしたシステムを構築しやすいのが特徴です。ただしカスタマイズ費用やサーバ管理費用など、初期費用を含むコストは高額になる傾向があります。また、導入後のシステムやセキュリティのアップデートや管理も自社ですべて対応していくことになります。
パッケージ型(インストール型)
パッケージ型は、在庫管理システムとして販売されているソフトウェアをインストールして使用するタイプです。旧来よりある方法ですが、インストールしたPCでしか使えない制約があり、複数人での同時管理にはあまり適していません。手軽に導入でき、機能も購買スタイルもシンプルなので、個人事業主や小規模での導入に適するシーンはいまだにあります。
請求書発行システムを導入するメリットと注意点
請求書発行システムは、請求書にかかる多くの業務を効率化できるため、導入のメリットは非常に大きいといえます。しかし導入には一定の手間暇や費用がかかりますので、導入前には時期やコスト負担に関する十分な検討が必要です。
請求書発行システムを導入する主なメリット
請求書発行システムを導入する大きなメリットのひとつが、請求書発行に必要な業務量の削減と正確性の向上です。作業の自動化により、手作業よりも早く正確に請求書を発行できるようになります。請求書の自動メール配信や発送代行といった機能もあれば、自動化できる業務の範囲はさらに広がります。
また、業務の進め方を請求書発行システムの操作方法に準拠したやり方に統一できれば、業務の属人化や人為的ミスを防止しやすくなるでしょう。
請求書発行システムを導入する際の主な注意点
一方で、請求書発行システムの導入は、完了するまでの期間にある程度の手間がかかります。社内フローの見直しにともない、既存システムの刷新作業や社員に対する教育を行う必要があります。また、取引先からシステム変更に関する同意を得るため、説明や説得をしなければならないケースもあるでしょう。請求書発行システムの導入は、企業の規模が大きくなるほど関係する部署が増えるため、調整のための時間も長くなります。請求書発行業務が滞らないよう、導入スケジュールは慎重に策定する必要があります。
請求書発行システムの選び方
請求書発行システムは、サービスによって利用できる機能の種類や必要な費用が異なります。ローコストで導入効果の高いシステムを導入するためにも、自社に必要な機能を備えた請求書発行システムを選びましょう。
- 自社の希望する業務範囲に適しているか
- 取引先に合わせた請求書を発行できるか
- 既存のシステムと連携できるか
- 導入後のセキュリティとバックアップ体制は整っているか
- インボイス制度、改正電子帳簿保存法に対応しているか
(1)自社の希望する業務範囲に適しているか
請求書発行システムは、利用できる機能が増えるほど運用コストも上昇する傾向があります。使用することがない不要な機能にお金を支払わなくてもいいように、自社の業種範囲に適したシステムを選びましょう。
(2)取引先に合わせた請求書が発行できるか
取引先によっては、請求書のフォーマットが指定されるケースがあります。またメールではなく郵送やFAXで送るように求められることもありますので、取引先の要求を満たす請求書の発行・送付ができる機能の有無を確認しましょう。
(3)既存のシステムと連携できるか
会計システムや売上管理システムと連携できる請求書発行システムなら、会計業務や売上管理業務にかかる手間を削減できる可能性があります。導入済みのシステムとの連携が可能なシステムを選び、請求書発行以外の業務も効率化を図りましょう。
(4)導入後のセキュリティとバックアップ体制は整っているか
請求書発行システムは、導入が完了することがゴールではありません。導入後、外部からの攻撃や不具合によるシステムダウンなどの事故が発生するかもしれません。想定外の事態に見舞われた後に業務が長期間滞らないよう、データのバックアップやセキュリティ対策、システムの復旧などを相談できるサポート体制が整ったシステムを選択するのがおすすめです。
(5)インボイス制度、改正電子帳簿保存法など関連法に対応しているか
2023年10月より施行されたインボイス制度、2024年1月より義務付けられる電子帳簿保存法の改正は、2024年以降の請求書発行システムとして対応必須となる制度です。インボイス制度へはほとんどのシステムが対応していますが、電帳法への対応はベンダーによって差があります。電子帳簿保存法(電帳法)の要件を満たしているかをチェックする「JIIMA認証(電子取引ソフト法的要件)」を取得している請求書発行システムを選ぶと安心です。
おすすめのクラウド請求書発行システム16選
数ある請求書発行システムから日本企業に採用例の多いITセレクトおすすめシステム16製品をご紹介します。(製品名abcあいうえお順/2024年10月時点)
BtoBプラットフォーム 請求書
月額費用 / 初期費用 | 月額2万円~ / 初期費用10万円~ |
主な機能 | ・請求書の自動発行
・請求書の郵送代行サービス ・入金消込の自動化 ・取引先の請求書の受け取り確認・リマインド ・会計システム、販売管理システム、経費精算システムなど多様な外部システムとの連携 |
システムの特徴 | ・紙の請求書を電子化・保存 |
無料トライアルの有無 | 要問い合わせ |
特徴 | BtoBプラットフォーム 請求書は、対企業間取引に特化した請求書発行システムです。会計システムや販売管理システムなど外部システムとの連携も豊富に用意され、請求書の発行・受け取りに連動したあらゆる社内処理を自動化できます。 |
ベンダーのWebサイト | https://www.infomart.co.jp/seikyu/index.asp |