事業活動で蓄積される情報を有効に活用することで、営業活動の効率化、顧客満足度の向上、売上アップが期待できます。本記事では、CRMの導入で実現する顧客関係データの管理方法から、整理・分析して活用していく方法を、活用時の注意点とともに初心者にも分かりやすく解説します。顧客との関係を深め、ビジネスを成長させるための具体的なポイントをぜひご確認ください。
CRM データ活用「CRM(顧客関係管理)システム」おすすめ製品一覧
目次
CRMデータを有効活用し、より効果的な営業/マーケ戦略につなげる
CRM(顧客管理システム)で管理する顧客データ/顧客情報は、企業が顧客と効果的に関係を築き、ビジネスを成長させるために極めて重要な情報資源です。顧客の行動やニーズも含めて正確に把握し、それを活用することで、より効率的な営業活動やマーケティング戦略の構築が可能になります。まずは、CRMの機能とできること、データの活用方法をおさらいします。
CRMデータとは何か?
CRMデータとは、CRMに蓄積され、データとして一元管理される、顧客との接点や取引から得られる情報のことです。CRMでは顧客を軸に、名簿的な基本情報だけでなく、行動履歴、購買履歴、アクセス傾向、営業活動の履歴や回数、反応や過去の要望のような、顧客と関係する・顧客に関連するさまざまな情報も含めた「顧客関係管理情報」として一元管理できるよう設計されています。主に以下の特徴を持っています。
- 顧客と自社のやり取りを詳細に記録・保管できる
- 属性や行動の傾向を把握できる
- 営業/マーケティング活動の「確度」を高められる
顧客と企業のやり取りを記録、保管できる
電話やメールでの問い合わせ、購入履歴、フィードバックなど、顧客とのあらゆるやり取りが含まれます。これにより、顧客ごとの状況をより具体的に把握できるようになります。
属性や行動の傾向を把握できる
氏名や所属先、電話番号のような基本情報だけでなく、データ分析によって自社Webサイトの閲覧履歴や購買行動、行動パターン、好みのような情報も把握・管理し、記録できます。
営業/マーケティング活動の「確度」を上げられる
蓄積されるCRMデータを活用することで、より効果的なターゲティングや施策の実施が可能になります。例えば、購買意欲の高い顧客へ狙い撃ちアプローチしたり、期日や更新タイミングのようなデータから顧客が求めていることを予測して、先だってアクションするといったことができます。
CRMデータの種類
CRMデータの主な種類は以下の通りです。顧客情報を管理・分析する際の参考にしてください。
データの種類 | 内容 |
基本情報 | 氏名、住所、電話番号、メールアドレスなどの基本的な連絡先情報 |
購買データ | 過去に購入した商品やサービスの情報、購入金額や回数、最終購入日など |
行動データ | ウェブサイトの訪問履歴、閲覧ページ、資料ダウンロード履歴などのオンライン行動に関する情報 |
問い合わせ履歴 | 電話やメールでの質問内容、サポート対応の記録 |
顧客の意見 | アンケートやフィードバックで得られた感想や要望 |
その他の情報 | 趣味嗜好、購買動機、リピート購入の理由など、顧客の特性に関する詳細情報 |
CRMマーケティングについてより詳しく知りたい方は「CRMマーケティングの基礎から徹底解説」を併せてご覧ください。
CRMデータの活用方法
CRMデータを効果的に活用することで、営業活動や顧客対応の効率を高めるだけでなく、顧客満足度の向上や売上アップにもつながります。ここでは以下のよくあるニーズを解決するCRMデータの活用シーンをいくつかご紹介します。
- 営業活動を効率よく進めたい
- 顧客満足度を高めたい
- 追加購入・関連購入を促したい
- リピート顧客を増やしたい
営業活動を効率よく進める方法
CRMデータを活用することで、営業活動を効率化できます。購買履歴や顧客情報を分析し、購入の可能性が高い顧客をリストアップすることが重要です。このリストを元に優先的にアプローチすることで、成果が期待できます。
過去の問い合わせ内容を確認して提案を行うことも効果的です。顧客が以前に示した関心やニーズに基づき、具体的な提案を行うと、より適切な対応が可能になります。また、季節や需要に応じたタイミングで提案を行うと、顧客の関心を引きやすくなります。
さらに、共有されたデータを活用して、同じ顧客への二重対応や不要な接触を防ぐことが求められます。これにより、顧客の信頼感を損なわず、効率的な営業活動を行えます。
顧客満足度を高める方法
顧客満足度を向上させるためには、過去の履歴をもとにした個別対応が効果的です。問い合わせ内容や購入履歴を参考に、個々のニーズに合わせた対応を行いましょう。
購入後のフォローアップやアフターケアも欠かせません。適切なフォローを行うことで、顧客との信頼関係を深めることができます。また、顧客の要望やフィードバックを積極的に取り入れ、商品やサービスを改善することも満足度の向上につながります。
さらに、よくある質問やトラブル対応の記録を共有することで、迅速な対応が可能になります。顧客からの問い合わせに即座に答えられる体制を整えると、対応品質が向上します。
追加購入や関連商品を提案する方法
CRMデータを活用して、顧客に適した商品の提案を行いましょう。過去の購入データを分析し、関連性のある商品や補完商品を案内すると、追加購入の可能性が高まります。
また、定期購入の提案やセット販売を取り入れることで、購入単価を引き上げることができます。利用中の商品のアップグレード版や機能が充実した商品を提案することも効果的です。
キャンペーンや期間限定の特典を活用することで、顧客の購買意欲を引き出すことも可能です。特別なオファーを提供することで、購入を促進できます。
リピート顧客を育成する方法
リピーターを育成するためには、特別な割引や特典を用意して、顧客が継続的に利用したいと感じる環境を作ることが重要です。また、リマインダー機能を活用し、次回の利用を促す仕組みを整えると効果的です。
利用頻度の高い顧客には特別な体験を提供しましょう。限定イベントやパーソナライズされたサービスを通じて、特別感を演出できます。
CRMを営業活動で利用するメリットについては、「CRMを営業活動で利用するメリットとは」をご確認ください。
CRMデータの分析手法
CRMデータを分析することで、顧客のニーズや行動パターンを把握し、営業やマーケティングの効率を高めることができます。適切な分析手法を活用することで、顧客ごとに最適なアプローチを設計しやすくなります。ここでは、代表的な分析方法について詳しく解説します。
- RFM分析
- セグメンテーション分析
- 行動トレンド分析
RFM分析
RFM分析は、顧客を「最近の購入日(Recency)」「購入・利用頻度(Frequency)」「購入金額(Monetary)」の3つの観点から評価し、それぞれの指標に基づいて分類する手法です。直近の購入日が最近ならば購買意欲はどうか、購入頻度が高ければリピーターになってくれる/長期的な関係性を築ける可能性は高いか、ある期間の購入金額が高いということは特に注力すべき顧客ではないだろうか、などを判断することで、自社にとって優良な顧客かどうかを明確にします。こうした分類に沿って、顧客ごとに適する施策を立案することが効果的です。
セグメンテーション分析
セグメンテーション分析では、顧客を特定の属性や行動パターンに基づいて分類します。例えば、年齢、性別、居住地などの基本情報を活用し、同じ特性を持つ顧客グループ単位に分けて戦略を練ります。これに購買履歴やオンライン行動のようなデータを組み合わせることで、ニーズが似ている顧客層を分類することも可能でしょう。この手法により、特定の属性を持つ顧客を対象に、広告やキャンペーンを調整できます。同じ商品を繰り返し購入する傾向がある顧客層を対象に、リピーター向けの特典を提案する方法などが考えられます。
行動トレンド分析
行動トレンド分析は、顧客の購入時期やキャンペーンへの参加状況を時系列で分析する手法です。これにより、購買活動における特定のパターンを見つけることができます。例えば季節ごとの商品の売れ行きや、イベントに関連した商品の需要を把握できます。これらのデータをもとに販促計画を練り、適切なタイミングで提案を行うことで、追加購入を促す施策を展開することが可能です。
購入行動と収益性を予測するための方法
購入行動や収益性を予測するためには、過去のデータを基にした分析が重要となるでしょう。特定の顧客が次に購入しそうな商品やサービスを「適切に予測」できれば、提案の精度や成約の確度を高めることができます。長期的な購入傾向を把握することで、収益性が高い顧客を優先的に対応する方針を立てることも可能です。さらに、将来の購買頻度や平均購入額を見積もり、営業やマーケティングのリソースを効率的に割り振ることができます。顧客が購入しやすい条件や価格帯を分析し、具体的な提案内容を設計することも効果的です。
CRM分析についてより詳しく知りたい方は「CRM分析の主な分析手法」の記事をご覧ください。
おすすめCRM分析の主な分析手法まとめ
CRMデータを活用する際に気をつけるべき点
CRMデータを効果的に活用するには、正しい管理や運用が欠かせません。データが正確で適切に運用されていることを確認し、目的に沿った活用が行われているかを常に見直すことが重要です。以下に、注意すべきポイントを解説します。
データの正確性と新しさを保つ
CRMデータは常に正確で新しい状態を維持することが求められます。古い情報や誤ったデータが含まれていると、施策の効果が低下する原因となります。データは定期的に見直し、誤りがあれば修正する必要があります。また、最新情報を取り入れるためには、自動更新の仕組みを活用することが有効です。さらに、収集したデータが現在の目的に合致しているかを確認する作業も欠かせません。
必要な範囲に限定したデータ収集
データを収集する際は、「なぜそれが必要なのか」となる利用目的を事前に明確にしておくことが大切です。むやみ無計画に情報をとにかく集めるのでは管理が煩雑、大変になり、肝心の分析効率が低下したり、正しく結果が出なかったりする恐れがあります。収集したデータが実際に活用できるかどうかを慎重に検討し、無駄を省くことが重要です。また、データ収集の目的を社内で共有し、全員が同じ方向性を持って進めることで一貫性を保てます。
データ収集は以下のポイントに気を付けて行うとよいでしょう。
- 個人情報の保護と管理
- 目的に合った活用と運用
- 社内教育と活用スキルの向上
個人情報の確実な保護と管理
CRMデータは顧客の個人情報も含む機密データです。適切かつ確実な管理、その体制づくりと順守が不可欠です。アクセス権限を明確に設定し、必要な人だけがデータを利用できるようにすることが重要です。また、そもそもの暗号化やセキュリティ対策を講じることも必要です。当然ですが個人情報保護法をはじめとする関連法規を順守し、データ管理の透明性を確保することが求められます。
目的に合った活用と運用
CRMデータを活用する際は、具体的な目標を設定することが基本です。データに基づいて分析や施策を行うことを心がけ、目的に沿わない運用を避ける必要があります。また、運用が目的とずれていないかを定期的に見直し、顧客データを蓄積するだけで満足することがないように注意しましょう。データは活用して初めて効果を発揮します。
社内教育と活用スキルの向上
CRMデータを効果的に活用するためには、データを扱う社員への教育が重要です。データの価値や重要性を共有し、全員の意識を高める必要があります。ツールやシステムの使い方を習得させ、効率的に運用できるようにサポートすることが大切です。また、社員のスキル向上を目的とした勉強会やワークショップを定期的に開催すると、活用スキルの底上げが期待できます。
効果的なCRMデータ活用に向け、体制づくりとシステム選定を考察しよう
CRMデータの活用を進める際は、適切なツールの選定や社内体制の整備が重要です。分析手法の選択や活用目的を明確にし、継続的な改善を目指しましょう。
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