不動産業界での業務効率化には、CRMの導入が効果的です。顧客管理を一元化することで、営業活動の質を高めるだけでなく、追客や現場での対応を効率化し、結果的に顧客満足度を向上させることができます。本記事では、不動産業向けCRMの選び方と、おすすめのツールについて詳しく解説します。
目次
不動産業向けのCRMとは?
CRM(Customer Relationship Management/顧客関係管理システム)は、顧客に関する情報を一元管理して蓄積し、活用していくことで営業活動の高度化と効率化、顧客との関係強化を目指すIT製品です。例えば不動産業では、個人、法人さまざまな立場や状況の顧客が存在し、売買・賃貸の仲介、物件の管理運営や評価査定、契約、広告・営業、相談・コンサルティングなど同様にさまざまな業務と結び付けて活動します。CRM=顧客関係管理とは、顧客情報と関係、関連する情報を結び付けた情報を管理していく考え方のことです。
CRMを活用することで例えば「営業担当者が適切なタイミングで顧客へアプローチし、契約を得る活動」のような営業成果への確実性が増します。顧客の契約満了日はいつか、相談・問い合わせ回数が増えてくるのは毎年いつ頃か、どんなクレームがいつ何回あったか、Webサイトをいつ頃どのように回遊したか、のような行動履歴をはじめとする“顧客とその関連するデータ”から、「この顧客はいま購買意欲が高い」ことを把握できれば、おそらく営業の成功率を高められることでしょう。属人化しやすい経験、カンやコツのような要素だけでなく、明確な「データ」を根拠に活動を進めていけるようになるのがポイントです。
顧客との接触機会を増やす追客機能
不動産向けCRMには、顧客との継続的な接触を支援する「追客機能」がニーズの高い機能の1つです。この機能は、営業担当者が定期的に顧客へフォローアップメールを送り、顧客の関心を維持しやすくする役割があります。顧客が物件を検討する期間が長くなりがちな不動産売買のシーンで定期的な連絡は重要となるでしょう。
また、CRMには顧客の行動に応じた自動返信やステップメール機能を備える製品もあります。ステップメールとは特定のアクションをした人に向けて、あらかじめ設定したスケジュールに沿って自動配信するメールのことです。例えば、ある物件情報を閲覧した顧客へ自動で追加情報を送り、興味を維持させるといった活動に効果的です。昨今は、LINEのような顧客が普段使い慣れている連絡ツールを選びつつやりとりできる機能も標準的に備わっています。メールの開封やリンクのクリック状況を見て、顧客の関心が高まっていると見込めるならば、その適切なタイミングで次のアプローチが可能になるでしょう。
スマートフォン対応と現場での活用
不動産業界では、営業担当者が外出活動するシーンも多いです。CRMに限らずIT製品はモバイル/スマートフォン対応であることも必然として求められるでしょう。出先でもCRMの情報へアクセスできれば、物件の詳細や問い合わせ内容なども含めてすぐに対応できます。自身の効率はもちろん、顧客の信頼をより得ることにも大きく寄与するでしょう。
また、活動状況も「見える化」され、進捗を把握しやすくなります。進捗を全体俯瞰できれば、自身も、上司・管理者も、商談状況を見ながらその場で次のアクションを決めるといった判断がしやすくなります。
不動産業向けCRMの導入がもたらすメリット
不動産業界において、クラウド型/SaaS型CRMの導入は業務の効率化と営業活動の強化改善に役立ちます。CRMを導入することで得られる具体的なメリットは以下の通りです。
- 顧客情報の一元管理できる
- 追客業務を自動化できる
- 顧客満足度を高められる/リピーターを増やせる
- データに基づいた営業戦略を立てられるようになる
- モバイル対応により現場で即座に対応可能になる
顧客情報を一元管理できる
CRMを導入すると、顧客情報や物件情報、そして過去のやり取りを1つのシステムで管理できるようになります。これにより情報が散在せず一元的に管理されるため、漏れや重複といったミス・混乱の可能性を大きく低減できます。複数の担当者が別の案件で同じ顧客を担当するとしても、顧客情報を一元化していることで、他担当者が共有した情報も得て対応できます。担当者間の連携が向上し、効率的な業務進行が実現します。
顧客の希望条件や購入履歴なども把握できれば、担当者は顧客のニーズに合った提案を的確に行いやすくなります。一目で分かれば無駄な確認作業も減り、活動の効率を高めることに大きく寄与します。
追客業務を自動化できる
CRMの多くの製品には追客業務を自動化できる機能が備わります。例えばメールの一括送信機能、ステップメール自動化機能などです。個々の顧客に対するフォローアップを迅速かつ自動的に行うことができます。
このほか、顧客の行動履歴をもとに次にやることをシステム側で提案してくれる機能を備えた製品もあります。経験が少ない担当者も統一した指針で活動しやすくなるでしょう。リマインダー機能も併用すれば、重要な連絡を忘れることなく対応漏れによる機会損失を防げます。
こういった定型業務が自動化されることで、営業担当者は営業戦略の考察や顧客との商談に集中できる環境も整います。より効果的な営業活動を行い、業務の質を向上させることが期待できます。
顧客満足度を高められる/リピーターを増やせる
CRMは、顧客からの問い合わせ対応に伴う体制を強化できます。顧客から連絡を受けたらすぐに応対する、客が求めていることを的確に返答すれば、顧客との信頼関係をより高めていくことができます。
クラウド型/SaaS型CRMのほとんどはモバイル利用に対応しており、またメール、LINE、SMSなど顧客との連絡手段を任意に選択できる機能を持つ製品もあります。
データに基づいて営業戦略を実行できる
CRMは営業活動の結果や広告媒体の効果などもデータとして蓄積します。どのアプローチが効果的であったのかをデータ分析し知見を得て、次の営業活動につなげるといった戦略を練られるでしょう。例えば、顧客の属性や行動パターンに基づいて絞り込み、その顧客を狙い撃ちする=ターゲティング化する、などが挙げられます。
また、一元化データを軸に動くことで、上司・管理者・経営層もリアルタイムで営業状況を把握できます。上層部の迅速な意思決定も支援し、柔軟な経営判断を実現できます。
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モバイル対応により現場で即座に対応可能になる
CRMに限らず昨今のクラウド型/SaaS型IT製品は、ネット接続環境と適当な表示デバイス(PCやスマートフォン、タブレットなど)があればいつでも、どこでも利用できる利便性の高さがメリットの1つです。従業員に向けて、出先や現場、自宅などでも即座に顧客対応できる環境を容易に整えられます。特に不動産業界では現場での迅速なな対応が求められるシーンが多いため、顧客への対応力が高まることでその後の契約率や顧客満足度の向上につながることでしょう。
不動産向けCRMを選ぶ際のポイント
CRMの検討・選定は、業態やニーズに合った機能を持つかどうか、それが自社に合っているかどうか、導入後にスムーズに運用できるかどうかを確認することから考えていきましょう。選定時に考慮すべきポイントを詳しく解説します。
自社の業態に合った機能を持つCRMを選ぶ
不動産業では例えば、賃貸仲介中心なのか、売買仲介やコンサルタントなども統合的に扱うのか、管理目的なのか、営業活動強化目的なのかなど、業態やニーズに沿って、CRM製品の中でも得意不得意、向き不向きがあります。
賃貸仲介向けのCRMには例えば、「複数の不動産ポータルサイトから来る顧客・問い合わせを効率的に管理できる機能」のニーズが高いようです。CMSの自動連携機能を用いてポータルサイトの情報を取り込み、シームレスに顧客対応できるようにします。併せて「フォローアップメールの自動送信機能」も営業強化と効率化に向けて求められることが多いようです。
売買仲介向けのCRMでは、「長期的な追客を支援する機能」が求められます。額が多く、客はより慎重になり、期間も長くなる不動産売買の商談における駆け引きは、これまで担当者の経験やカン・コツのような不確定な要素が多くを占めていたのではないでしょうか。CRMはこの能力を均一化する効果が期待できます。顧客の検討状況や心理をデータから把握して適切なタイミングで顧客フォローできる機能、自動化された物件提案機能、検討の進み具合を可視化するツールが役立ちます。
このほか、前述した「モバイル対応」にもいくつか確認要素があります。顧客の重要な資産(不動産)を扱う業種となれば、アクセス制御、認証など、セキュリティ対策と運用の指針は明確に定めておきましょう。この上で、自社のニーズを叶えられる機能を持つかどうか、製品ベンダー(提供会社)に遠慮なく問い合わせて確認しましょう。そもそも何からやればよいかから分からなくてお困りでしたら、IT専門スタッフのいるITセレクトのコンシェルジュ(無料)に遠慮なくお問い合わせください。
連携機能と操作性
CRM選びで重要なポイントの1つが、他システムとの連携機能です。賃貸管理システムや顧客データベースなど、他の社内システムとのデータ共有がスムーズに行えるかは大事な要素となるでしょう。業務効率を上げるには複数のシステムを連携させ、データを一元管理する環境に整えることが効果的です。
操作性については、特に現場で働くスタッフが直感的に操作できることが求められます。簡単に操作できるシステムであれば、短期間での習熟が期待できます。さらに、スマートフォンやタブレットでも使いやすいか確認しておくと、外出先でも効率的に営業活動が行える環境を整えられます。
サポート体制を確認
運用サポート体制も重要な考察ポイントとなるでしょう。社内にIT専任担当者やチームがある企業ならばともかく、ITシステムについては総務・経理部門や経営者自身、あるいは“詳しい人”が兼任しているシーンは多いと思われます。
このため、システムの使い方を理解するための導入時トレーニング、初期設定のサポートメニュー、使いこなすための学習メニューなどがあるかどうか。そして、システム利用中にトラブルが発生したときの対応、方法などのサポートサービス体制の有無、内容、範囲、料金の確認を忘れずに行いましょう。何か問題が起きたときにすぐに解決できるサポート体制が整っていることで、業務への影響を最小限に抑えられます。
さらに、定期的なシステムのアップデートや機能追加が行われるかも大切なポイントです。システムの改善が続けられているかどうかは長期的に運用する上での安心感につながります。専門スタッフによるコンサルティングやカスタマイズの相談が可能かどうかも導入したシステムを最大限活用するために役立ちます。
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