ITセレクト powered by 発注ナビ

収益性分析の実践ガイド|自社の利益力を分析する方法とポイント、計算式、利益向上改善策を解説

author
ITセレクト編集部

更新

SHARE
X
Facebook
LINE
はてなブックマーク

収益性分析とは?企業の利益力を引き出す手法と実践ガイドのメインビジュアル

収益性分析とは、企業がどれだけ効率的に利益を生み出せているかどうかを測る手法です。本記事では、収益性分析の代表的な指標や具体的な活用方法をわかりやすく紹介し、利益向上のための改善策も提案します。収益性分析の仕方を迷っていた方、経営の課題を解消し持続的な成長を目指したい方におすすめです。

収益性分析とは

収益性分析は、企業が利益を効率よく生み出せているかを把握するための手法です。この分析を行うことで、売上高や資本をもとに利益率やその変動を数値化し、企業活動の成果を見える形にします。

具体的には、売上高や自己資本、総資本などのデータを活用し、どれだけ効率的に資本を利益へと変換できているかを明確にします。この結果、経営における課題や改善が必要な部分を発見しやすくなります。

また、収益性分析で得られた情報は、経営改善や利益向上に向けた具体的な方針を立てるための重要な指針として活用できます。収益性を見極めることは、企業が持続的に成長するための基盤を築く手助けになります。

さらに、分析結果をもとにした戦略的な意思決定は、経営資源をより有効に活用するための方法を見出すきっかけにもなります。このように、収益性分析は効果的な経営戦略を考える上で欠かせない情報源です。

収益性分析の代表的な指標

収益性分析では、企業がどれだけ効率的に利益を生み出しているかを測るために、さまざまな指標を用います。これらの指標は、売上高や資本などを基に計算され、経営効率や資本活用の状況を具体的に把握するための手助けとなります。ここでは、収益性分析の代表的な以下の指標について解説します。

  • 売上高を基にした収益性指標
  • 資本を基にした収益性指標

売上高を基にした収益性指標

売上高を基にした指標は、企業が営業活動を通じてどれだけ効率的に利益を得ているかを測るものです。これらの指標を活用することで、製品やサービスの収益力を把握し、経営改善の方向性を考えることができます。

  • 売上高総利益率
  • 売上高営業利益率
  • 売上高経常利益率
  • 売上高当期純利益率

売上高総利益率

売上高総利益率は、売上高に対して粗利益がどの程度を占めているかを示します。この指標は、次の計算式で求められます。

売上高総利益率(%)= 売上総利益 ÷ 売上高 × 100

粗利益が多いほど、原価や仕入れコストに対して効率的に売上を上げられていることを示します。この指標は、製品の価格設定や原価管理を見直す際に役立ちます。例えば、粗利益が低下している場合は、原材料のコスト削減や価格戦略の再検討が必要かもしれません。

売上高営業利益率

売上高営業利益率は、売上高に対して営業利益がどれだけあるかを示します。この指標は以下の式で計算します。

売上高営業利益率(%)= 営業利益 ÷ 売上高 × 100

営業利益率が高い企業は、主な事業活動から効率よく利益を生み出していることを意味します。販売費や人件費を効果的に管理することで、この指標を向上させることが可能です。また、営業利益率の比較を通じて、競合他社と自社の経営効率を評価できます。

売上高経常利益率

売上高経常利益率は、営業利益に加え、利息収入や借入金の利息といった営業外収支を含めた利益率を示します。計算式は次の通りです。

売上高経常利益率(%)= 経常利益 ÷ 売上高 × 100

この指標は、企業の営業活動と財務活動を総合的に評価する際に使われます。例えば、経常利益率が低下している場合は、財務コストの削減や資金運用の見直しが必要になる場合があります。

売上高当期純利益率

売上高当期純利益率は、売上高に対して最終的に企業の純利益がどれだけあるかを示します。次の式で計算されます。

売上高当期純利益率(%)= 当期純利益 ÷ 売上高 × 100

この指標は、企業の収益力を総合的に評価するために用いられます。税金や特別損益も含むため、経営の全体像を理解する上で有益です。他社との比較により、自社の経営効率や利益構造の改善点を探ることができます。

関連売上原価の計算方法と実践ガイド

資本を基にした収益性指標

資本を基にした指標は、企業がどれだけ効率的に資本を運用して利益を上げているかを評価します。これらの指標は、株主や投資家にとっても重要な判断材料となります。

  • 総資本利益率(ROA)
  • 自己資本利益率(ROE)
  • 自己資本回転率

総資本利益率(ROA)

総資本利益率は、総資本を使ってどれだけ利益を得られているかを示す指標です。計算式は以下の通りです。

総資本利益率(%)= 当期純利益 ÷ 総資本 × 100

この指標は、企業全体の資本運用効率を測るために使われます。例えば、総資本利益率が低い場合、資本の無駄遣いや低効率な設備投資が影響している可能性があります。

自己資本利益率(ROE)

自己資本利益率は、自己資本をどれだけ効率的に利益に変換しているかを測る指標です。次の計算式で求められます。

自己資本利益率(%)= 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100

株主にとっては、自社の投資がどれだけのリターンを生み出しているかを示す重要な指標です。この値が高い企業は、資本を効率よく活用しているといえます。

自己資本回転率

自己資本回転率は、自己資本をどの程度効率的に売上に結びつけているかを示します。計算式は以下の通りです。

自己資本回転率(回)= 売上高 ÷ 自己資本

この指標が高いほど、少ない自己資本で多くの売上を得られていることを意味します。効率的な資本活用を評価するための指標として役立ちます。

おすすめAI予実分析のプロセスと方法

収益性分析の進め方

収益性分析を効果的に進めるには、計画的なデータ収集と指標の活用が欠かせません。このプロセスでは、企業の財務情報をもとに指標を計算し、その結果を業界や同業他社と比較して課題を明確化します。ここからは、具体的な進め方をご紹介します。

必要なデータを集め、指標を計算する

収益性分析を始めるには、まず企業の財務データを収集します。これらのデータは、貸借対照表や損益計算書などの財務諸表から取得できます。具体的には以下の情報を用意します。

  • 売上高
  • 総資本
  • 自己資本
  • 当期純利益

これらのデータを基に、売上高総利益率や自己資本利益率(ROE)といった収益性指標を計算します。計算された指標は以下の目的で使用します。

1. 過去の業績と比較する

収益性指標を過去数年間のデータと比較することで、経営パフォーマンスの変化や成長の傾向を把握できます。例えば、売上高総利益率が減少している場合は、原価や仕入れの見直しが必要になるかもしれません。

2. 時系列分析で改善ポイントを発見する

特定の時期に発生した収益性の変化や改善の兆候を見つけるためには、時系列での確認が有効です。この分析により、どの施策が効果を上げたのか、あるいは問題点がどこにあるのかを明確にできます。

同業他社や業界平均との比較で課題を把握する

次に、同業他社や業界平均と自社の指標を比較します。このプロセスは、自社の強みや改善すべき弱点を見つけるうえで欠かせません。具体的には以下のように進めます。

3. 同業他社との比較

同じ業界に属する企業と収益性指標を比較することで、自社の競争力がどの位置にあるかを確認します。例えば、売上高営業利益率が低い場合は、販売コストや管理費用の削減が求められます。

4. 業界平均との比較

業界全体の平均値と比較することで、自社の収益性が標準的な水準にあるかを判断します。もし業界平均を下回っている場合、効率化や新たな戦略が必要です。

5. 課題の明確化

比較分析の結果、他社に比べて収益性が低い部分があれば、それが具体的な改善領域となります。例えば、粗利益率が低い場合、原価削減や価格設定の見直しを検討する必要があります。

おすすめデータマイニングツールを用いた具体的な分析手法、ツールの選定ポイント

収益性を高めるための改善策

企業の収益性を高めるには、売上の拡大、コスト削減、資産や人材の効率的な活用、そして利益率を向上させる工夫が必要です。それぞれの具体的な取り組みを整理し、実行することで、収益の改善につなげることができます。

  • 売上高を伸ばす取り組みの実践
  • コスト削減を見直す
  • 設備や人材を効率的に活用する
  • 利益率を上げる工夫をする

売上高を伸ばす取り組み

収益性向上の基本は、売上を増やすことにあります。まず、営業活動を強化し、より多くの顧客を獲得する努力が欠かせません。顧客のニーズを的確に把握し、適切な価格設定を行うことが売上増加の一歩です。価格戦略の見直しを行い、値上げを検討するだけでなく、値引きによる販売拡大のバランスも考慮します。

新しい市場への参入や新規顧客の開拓も重要です。既存の市場だけに頼らず、新たな可能性を追求することで成長の幅を広げられます。また、販促キャンペーンやプロモーション活動を実施し、顧客の購買意欲を刺激することで短期的な売上増加も期待できます。

コスト削減を見直す

コストを削減することは、収益性向上に直結します。まず、変動費である原材料費や外注費を見直し、取引先との条件を再交渉することで無駄を省きます。また、固定費の中でも特に影響が大きい人件費や家賃についても効率化を図ります。

在庫管理の精度を高めるためにシステムを導入し、過剰在庫を防ぎながら欠品を避ける仕組みを作ります。これにより在庫に関するコストを抑えることが可能です。また、省エネルギーの取り組みや業務効率化によって、光熱費や通信費などの削減にもつなげることができます。

設備や人材を効率的に活用する

企業の資産を最大限に活用するために、設備や人材の運用を見直します。不稼働になっている設備や機械がある場合、それらを売却し、必要な資源への投資に振り向けることが有効です。

人材面では、適材適所の配置を行い、個々のスキルを生かせる環境を整えることが重要です。業務プロセスを見直し、非効率な作業を排除することで、労働時間の削減と業務効率化を実現します。生産の自動化やデジタル技術の導入により、さらなる効率アップを目指すことが可能です。

利益率を上げる工夫をする

利益率を上げるには、商品やサービスの付加価値を高めることが不可欠です。例えば、独自の魅力を持った高価格帯の商品を展開することで、収益力を引き上げられます。ブランドの認知度向上にも力を入れ、信頼性を高めることで価格に見合った価値を提供します。

また、他社との差別化を図り、顧客が選びやすい製品やサービスを提供することが収益性の改善につながります。顧客満足度を保ちながら利益率を高めるには、価値訴求型のマーケティング戦略を積極的に取り入れることが効果的です。

おすすめ収益性分析を効率化|無料/低コストでも始められるクラウド会計システム13選

収益性分析を適切に実践、それを効率化・確実化できるITシステムの活用も視野に検討を

収益性分析は、企業の経営効率を把握し、利益向上に直結する改善策を見つけるための重要なプロセスです。売上高や資本を基にした指標を活用し、経営状況を定期的に分析することで、持続的な成長を促進する基盤を築けます。収益性分析をはじめとした会計・財務分析をウリにするITシステム・製品もたくさんあります。自社にあった方法を選んで取り入れていきましょう。

もし「自社に合うIT製品・サービスが分からない」「どう探せばよいのか分からない」とお困りでしたら、あるいは「おすすめ製品・ベンダーを紹介してほしい」のような希望がありましたら、ぜひ専門スタッフがいるITセレクトのコンシェルジュ相談サービス(無料です!)をご利用ください。適切なIT製品・サービス選定を最後までサポートいたします。

無料でIT製品選びをお手伝いします

ITセレクトでは子会社である発注ナビと連携し、

IT製品探しのご相談・ご紹介を無料で行うコンシェルジュサービスを提供しています。

▼早速コンシェルジュ相談を申し込む

専門スタッフへ相談

会社名必須
お名前必須
部署名必須
日中つながる電話番号必須
メールアドレス必須
ご質問・ご要望等任意

専門スタッフへのご要望を記載ください(例:2ヶ月後までに勤怠管理システムを導入したい 等)

ご確認事項

  • ご登録いただいた情報は、共同事業者である発注ナビ株式会社(以下「発注ナビ」といいます)が取得いたします(発注ナビはアイティメディア株式会社(以下「アイティメディア」といいます)の100%子会社です)。また、各種ご連絡のため、アイティメディアにお客さまのお名前とメールアドレスほかの登録情報を電子ファイル等で提供します(アイティメディアにおける個人情報の取扱いについては「個人情報の取り扱いについて」ページをご確認ください)。
  • 案件の詳細をお伺いするため、発注ナビよりご連絡差し上げる場合があります。

お申込みには、発注ナビ株式会社の「利用規約」「個人情報の取り扱い」及び発注ナビからのメール受信への同意が必要です。

予算策定を効率化するプロセス|手順と方法、予算管理との違い、効率化システム導入のポイントを解説

予算策定は企業や自治体において、組織全体の戦略や資金の最適配分を行う重要なプロセスです。適切に予算を定め、予算管理を行いながら実績との差異を分析することは、自社の業績目標達成と拡大のために欠かせません。 この記事では、予算策定の手順、予算策定を実行する具体的なプロセスと必要なスキル、効率化に向けたシステム導入のポイントを解説します。効率よく、そして適性に予算策定を進め、自社の業績向上につなげることを目指しましょう。 無料でIT製品選びをお手伝いします 御社に合ったIT製品・サービス・会社を厳選してご提案します。お気軽にご依頼ください! 製品探しを依頼する 予算策定とは?予算策定のプロセスと手順 […]

thumbnail

    無料で使える会計ソフトおすすめ10選 選び方とおすすめ製品、有料ソフトとの違い、注意点を分かりやすく解説【フリーランス/小規模企業にも対応】

    会計ソフトは日々の会計処理を記録して決算情報を作成するためのツールとして、企業および個人事業主にも必須となりつつあるIT製品です。かつてはそれなりのソフト購入費を支払って利用する必要がありましたが、今では有名ベンダーを含めてクラウド型で、さらに無料プランも用意する製品が増えています。 本記事では、会計システム/会計ソフトの導入で実現する効果、導入メリットと主な機能、そして検討ポイント、おすすめ製品を詳しく解説します。あなたの会社とビジネスに適する会計ソフトを選定するための一助となれば幸いです。 無料で使える会計ソフトとは?会計ソフトの選び方、選定ポイント無料プランはなぜ無料なのか、どこまで無料 […]

    thumbnail

      クラウド会計ソフトの主な機能とメリット・デメリット、おすすめ製品13選

      会計ソフトとは、経理業務を自動化して効率化するソフトウェアのことを指します。記帳や仕訳、帳簿の作成などの業務効率化に役立つため、導入を検討している方も多いのではないでしょうか。 法人と個人事業主の両方に対応しているソフトが一般的ですが、選ぶ際のポイントとして共通の事項もあれば、異なる事項もあります。本記事では、会計ソフトの主な種類や機能、導入することで得られるメリット、デメリット、選ぶポイントなどについて詳しく解説し、併せておすすめの会計システム(全13製品/2024年12月時点)をご紹介します。 \ITセレクトおすすめの会計システム資料を一括ダウンロード/ まとめて資料請求する 会計ソフトの […]

      thumbnail

        クラウド会計ソフトおすすめ7選 メリット・デメリットと主な利用シーン、失敗しない選定方法を分かりやすく解説

        会計ソフトは、記帳や仕訳、決算書の作成などができ、会計業務の効率化に役立つソフトウェアです。従来の主流であったインストール型(パッケージ型)の他にも、近年ではクラウド型の会計ソフトに注目が集まっています。 この記事では、クラウド会計ソフトについて基礎知識や機能、メリット・デメリット、選ぶポイントなどを紹介します。 「自社に合う製品が分からない」 「時間をかけず効率的にサービスを検討したい」 \そんなときはITセレクトの相談専門スタッフが、ニーズに合った製品をご紹介します/ ⇒今すぐ相談する クラウド会計ソフトの便利機能クラウド会計ソフトを導入するメリット・デメリットクラウド会計ソフトの選定ポイ […]

        thumbnail

          売上原価の計算方法と実践ガイド

          売上原価は、企業の財務状態を正しく把握し、経営の健全性を評価するために重要な指標の一つです。正確な売上原価を把握することで、企業の利益率やコスト管理の精度が向上し、経営判断をより迅速かつ適切に行うことが可能となります。 この記事では、売上原価の定義や基本的な計算方法に加え、業種ごとの違いについても詳しく解説します。 売上原価とは? 基本概念と計算方法を解説売上原価の計算方法会計ソフトを活用した売上原価の管理方法効率的な売上原価管理で企業経営をサポート 売上原価とは? 基本概念と計算方法を解説 売上原価は、企業の経営において非常に大切な指標のひとつです。これを正しく理解することによって、利益を把 […]

          thumbnail

            カテゴリー関連記事

            関連記事をもっと見る

            この記事と同じカテゴリーの製品

            Oracle NetSuite
            案件収支管理システム
            freee会計

            製品をもっと見る