従業員の勤怠管理は企業にとって欠かせない重要なタスクです。しかしアルバイトやパートタイマー従業員を多く抱える業種、シフト業務が一般的な事業者は特に働き方や給与体系がさまざまに存在することから、旧来のタイムカードやエクセル管理ではいろいろな問題が積もりつつ、方法やコスト面で課題を解消できずに悩んでいる企業は多いのではないでしょうか。結果、会社・管理者や管理部門の負担はますます増大し、主業務に支障が出る、従業員への給与支払いに影響するといった悪い事態に陥る恐れもあります。早急の対策が求められます。
この記事では、アルバイト・パートタイマーの勤怠管理に課題を抱える企業に向け、コストを抑えつつ正確で効率化した勤怠管理を実現するプロセスと具体的な手段を分かりやすく解説します。併せて紹介する無料・低コストで導入できるおすすめのIT製品とともに、面倒・大変だった課題を「早・安・楽」をテーマに一緒に解決していきましょう。
目次
アルバイトやパート従業員が多いので勤怠管理の負担が重くて大変
多様なシフトや勤務時間が混在するアルバイト・パートタイマー従業員の管理は、手作業/アナログな手法では特に負担が重く、手間やミスが起こりやすい業務です。
アルバイトやパート従業員を多く抱える職場では、雇用形態や時給区分がバラバラで、管理者がシフト作成や勤怠集計に多くの時間を費やすケースが少なくありません。記入漏れや重複記入があると給与計算に誤差が生じるため、正しい打刻情報を得るには厳密なチェックが必要にもなります。また、従業員が複数店舗を掛け持ちしている場合、勤務時間やシフトが頻繁に変更になる場合などもあり、さらに煩雑さが増していきます。
一方で、あいまいな管理のままでは従業員側からも「勤務実績が正しく反映されているのか」という不安の声が上がることがあり得ます。日に日に増える紙やエクセルでの管理表では、労働時間に対する不正や過不足、ミスがあってもすぐに気づけない事情もあります。こうした手間やミスをできるだけ削減し、効率化していくにはどうしていけばよいのでしょうか。
アルバイトの勤怠管理の目的と役割
アルバイトの勤怠管理の主な目的は、従業員が実際に働いた時間を正確に把握し、公正な給与計算や労務リスクの軽減を実現することにあります。
労働基準法をはじめとする法令を守りながら、残業時間や休憩時間の取り方を適切にコントロールするのも会社の大切な役割です。さらに、月単位や週単位で従業員の健康状態や労務状況を把握できれば、無理なシフト編成を避けるなど、従業員の働きやすい環境づくりにもつながります。
アルバイトの勤怠管理で発生する課題
勤怠管理でよくある課題の1つに、手作業での記入やエクセル集計による入力ミスが多発したり、管理タスクの手間が増大し続けたりするリスクが挙げられます。従業員数だけ工程が増え続けます。また、ひとつのミスが給与計算にも直結してしまい、後から修正対応を行うのにも余計な時間と手間を要したりすることにもなります。打刻やシフト管理の不正のようなリスクを適切に対応していなければ、人件費増大などの自社範囲影響だけでなく、法令違反に問われる可能性もあります。経営リスクの観点でも見逃せないポイントです。
管理すべき主な勤怠項目
アルバイト勤怠を管理する上で最も基本となる項目は「出勤・退勤時刻、労働時間の正確な記録」です。
これに加え、休憩時間、残業や深夜労働、有給休暇の日数や取得状況も適切に管理することが求められます。店鋪ごとやポジションごとに異なるシフトパターンも多い場合ほどタイムリーに正しい情報を集積することが重要となります。
アルバイト勤怠管理の方法と選択肢
アルバイト勤怠管理の方法は、紙の出勤簿やタイムカードによる従来型から、クラウドシステムを活用した現代型までさまざまな方法があります。導入時のコストやITへの慣れ・親しみ度などを考慮しつつ、正確性や作業効率を高めたい場合はシステム導入を検討するとよいでしょう。店舗数やアルバイト従業員が多い企業ほど、長期的にはシステム化によるコストダウンや工数削減効果が期待できます。
- 手書き出勤簿を用いる勤怠管理
- タイムカードとエクセルでの勤怠管理
- 勤怠管理システムで行う勤怠管理
手書き出勤簿を用いる勤怠管理
紙ベースで出勤簿を作成したり、従業員へ日々出勤状況を記入してもらったりする旧来の方法は、コストがほぼかからず、運用そのものの難易度は高くありません。
しかし、手書きによる記入漏れや不正の可能性、集計時に発生するヒューマンエラーなど運用面の手間やリスクは大きくなります。結果的に給与計算前に管理者が長時間のチェックを要するなど、効率化を求めるシーンに向いているとはいえません。
タイムカードとエクセルでの勤怠管理
タイムカードで打刻をしてもらい、最終的な集計をエクセルで行う方法も多くの企業が旧来より導入しているでしょう。エクセルを使えば紙ベースの手計算より精度や効率は高まります。多少複雑な計算であっても、Excel関数などを駆使して実践できてしまうスキルのある人も多いでしょう。
しかし集計作業そのものは依然として人手に頼る部分が多いです。例えば、紙タイムカードから時刻を書き写す、残業時間や深夜稼働時間を算出するといったやや複雑な行程が逐次手作業ならばこうした箇所でミスが起こり、さらにミスが連鎖していく可能性は強く残ります。
また、タイムカード管理は、月締め後に管理者が「月末にまとめて作業しなければならない」こと、さらに「エクセル作業する人がその人しかいない/その人しかできない」ことも大きな課題となっているのではないでしょうか。人数が増えるほど管理効率が著しく下がっていく原因です。
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勤怠管理システムで行う勤怠管理
勤怠管理システムは、従業員の勤務時間、休暇、残業などの勤怠状況をデジタルで管理し、効率化を図るITシステムです。
会社や管理者は、手作業での勤怠管理業務が低減し、労務管理の効率化を図れます。データの正確性が向上することで、コスト計算や給与計算の精度も高められます。従業員は出退勤の打刻や申請が簡単になり、自分のスケジュール調整・管理を行いやすくなります。スマートフォンアプリを用意する/スマホで操作できるシステムも多くあります。
そして、結果的に人的ミスによるトラブルを抑止し、勤怠データを法令順守の形で長期間保存するような体制づくりも容易になります。
一方で、導入コストや運用費用がかかること、システムトラブル時の対応が必要となること、従業員がシステムの習熟に時間がかかる可能性があることには注意が必要です。
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勤怠管理システムとアプリで解決できること
勤怠管理システム導入によって解消される主な課題と、活用できる機能を紹介します。
勤怠管理システム導入のメリット
勤怠情報を自動で集許できるため、人為的な入力ミスを低減し正確な給与計算を行えるのが大きなメリットです。不正打刻の抑止やコンプライアンス強化にもつながり、労務トラブルを未然に防止する点も見逃せません。シフト管理や連絡周りまでシステム化できる場合は、管理者と従業員双方のコミュニケーション効率も向上します。
- 「月末まとめて」のような重い作業がなくなる
- 不正打刻が起こりにくくなる
- 人的ミスが起こりにくくなる
- 「働きすぎ」に気付ける
- シフト管理や給与計算の効率と正確性が上がる
- 人件費管理や時間集計が効率化する
「月末まとめて」のような重い作業がなくなる
日ごとの勤怠データが自動で集計されるため、月末にまとめて時間を取らなければならないといった大きな負担がスッとなくなります。単純な事務時間が圧縮されるメリットは管理者にとって非常に大きいです。結果として、その余力をより生産性の高い業務に振り向けられます。
不正打刻が起こりにくくなる
スマホ打刻やICカード打刻、顔認証打刻などのデジタルでの打刻方法を導入することで、他人の代行打刻などの不正を防ぎやすくなります。システム側で記録が残るため、管理者側で不審な打刻を洗い出せることもポイントです。不正抑止の仕組みを整えることで従業員全員が安心して働ける環境が作りやすくなります。
打刻漏れ・記入ミスのような人的ミスが起こりにくくなる
勤怠管理システムの導入によって入力・管理工程の省力化と自動化がグッと進みます。またシステムの多くには、未打刻や異常値などのエラーを検知し、管理者へ通知してくれる機能も備えます。打刻忘れがあっても早期に対処できれば月末に慌てることは減り、総じて正確な給与計算をはじめとする業務の効率化につながります。繁忙期でも勤怠確認にかかる負担を最小限に抑えることができます。
「働きすぎ」のような従業員の労務状況を早期に気付ける
勤怠管理システムはリアルタイムで従業員の労働時間を可視化できる機能も備えます。この機能によって例えば「法定時間を超える勤務が続いている」のような労働法に関連する事態ですぐアラートを出し、正しく対処しやすくなります。長時間労働による健康リスクを抑え、従業員の離職防止にも寄与します。会社・管理者が正しいタイミングで助言やシフト再配置を行える機会や体制を整えておくことは、従業員のために、また総じて自社が持続的に成長する上で欠かせません。
シフト管理や給与計算の効率と正確性が上がる
勤怠管理システムには、シフト組みやシフト管理を支援する機能を備える製品、勤怠データをもとに給与も含めて自動計算したり、他システムと連携できたりする機能を備える製品も多くあります。
シフト管理機能によって、従業員の就業希望を柔軟に叶えやすく、また、急な事情で出られなくなった……などで「店に出られる人がいない、どうする?」のような事態があっても安心して対応できるようになります。また、最新で正しいシフト表を共有することも容易に行え、従業員、管理者の意識や指針を統一化する体制づくりにも役立ちます。
勤怠データの集計が正確に、かつリアルタイムで自動化されるようになれば、そのデータをそのまま給与計算システムへ連携したいニーズも高まります。会社としてもさらに従業員の勤怠管理と人件費管理を効率化でき、従業員も正しい給与額をすぐ把握・確認できれば、何より従業員への安心や信頼性を提供できます。
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人件費管理やビジネス戦略が効率化する
勤怠管理システムの多くは、クラウド上で労働時間やシフト情報を一元管理して運用します。ネット環境と適当なデバイスさえあれば管理可能であることで、複数の店舗・拠点、あるいは部署があるとしても容易に管理する体制を統一できます。
また、データが一元管理される体制であれば、それぞれ拠点ごとの人件費を一覧化して比較するといった分析も容易に行えます。人件費が予定より超過している要因をすばやく特定したり、経営計画に基づくシフト編成を見直すといった判断も迅速にできるようになるでしょう。こうしたデータドリブン(データを根拠に方針を定めて行動すること)な体制で進める姿勢は、店舗収益の向上やコストの最適化にも直結することが大きく期待されます。
アルバイト勤怠管理に有効となる主な機能
アルバイト向けの勤怠管理システムを選ぶ際は、スマホ対応とリアルタイム打刻とともに、シフト組み支援機能、給与ソフトとの連携やアラート機能などを重視して検討、検討を進めていくとよいでしょう。こうした機能が揃っていれば、急なシフト変更や短時間勤務者への対応もスピーディーにこなせます。店舗数が多い企業や配属先が複数にまたがるスタッフを抱える場合、分析機能などを活用すれば細かな勤務状況を簡単に把握できます。
- リアルタイム出退勤記録機能(スマホ対応)
- シフト管理機能
- 労働時間自動計算機能
- 給与計算の効率化・連携機能
- アラート機能(法令順守)
- データ分析機能
リアルタイム出退勤記録機能(スマホ対応)
クラウド型/SaaS型の勤怠管理システムは、ネット環境と適当なデバイスがあれば扱える利便性が特徴です。このことは、アルバイトやパートタイマーのようなさまざまな働き方、状況である従業員にもピッタリです。出退勤などの記録や確認を「スマホ」で行えてしまう機能が特に有効です。
従業員は、手元の使い慣れたスマホが使えるだけで、店舗や外出先からでも正確に打刻したり、情報を確認したり、シフト入れを連絡したりといった作業が「とても楽に、簡単に」なります。GPSや顔認証を組み合わせてアクセスして打刻するような、これまでは少し複雑・高価かもと思えた仕組みも昨今はスマホがあればいきなりスッと解決できる可能性は高いです。
このスマホ対応とともに、勤怠管理システムの全てが主機能として備えるデジタルでの出退勤記録機能を活用することで、管理者のこれまで大変だった手作業の苦労、ミスや不正といった課題の多くはスッと解消できることが大きく期待されます。
シフト管理機能
シフト管理機能は、従業員のシフトの作成や変更(シフト組み)が簡単に行え、また従業員にも自動通知・共有できるよう支援する機能です。アルバイトやパートタイマー従業員の多い企業には特に需要があります。繁忙期や急な欠勤にも迅速に対応でき、店を回すために必要なシフトの調整がスムーズになります。
また、従業員がスマホやPCから希望を申請できる機能もあると管理者が一方的に情報を集める必要が減ります。従業員は希望シフトを伝えやすくなり、管理側でも効率的なシフト作成によって人件費の調整もしやすくなります。互いにとってメリットの大きな仕組みです。
労働時間自動計算機能
労働時間自動計算機能は、出勤・退勤の打刻情報から、残業時間や深夜手当の対象時間なども含めて自動算出してくれる機能です。これまでのように、管理者が月末に苦労して手動でエクセルへ打ち込むような作業がなくなり、ミスや抜け漏れも同時に減らせます。
給与計算の効率化・連携機能
給与計算の効率化・連携機能は、勤怠管理システムの“正しい”データをそのまま給与計算や給与システムへ連携できる機能です。勤怠管理システムへ一緒に備わっている場合、既に別途運用している給与・会計ソフトへデータを連携できる機能を持つ場合、製品によっていくつかのパターンはありますが、自社のニーズに沿っていくつかの方法で柔軟に対応できる製品だとより安心です。給与計算にかかる時間や手間が減れば、担当者の業務負荷やヒューマンエラーも効果的に抑えることができます。
アラート機能(法令順守)
アラート機能は、労働時間が法定を超過した場合やシフトに未登録の時間がある場合など、何らかの事態が発生したときに管理者へアラートを通知する機能です。企業が気づかないうちに労働基準法違反に抵触してしまう可能性を低減できます。従業員を守りながら法令を遵守できる仕組みは、働き方改革が進む中で特に重要度を増しています。
データ分析機能
データ分析機能は、勤怠データを基に労働時間や出勤率などを分析する機能です。これにより会社は業務効率の改善点を見つけやすくなり、適切な人員配置やシフト計画に役立ちます。データに基づいた事業判断・経営判断が可能になります。
無料トライアルあり+スマホ対応のおすすめ勤怠管理システム11選
ここでは、アルバイトやパートの多い企業で導入・検討しやすく、特に検討ニーズの高い「無料版あり/低価格」「スマホ対応」の特徴を備えるおすすめの勤怠管理システムを紹介します。
スマホやICカードなど、幅広い打刻方法に対応しているものや、他の業務システムと連携しやすい製品も多く存在します。自社の運用形態や従業員の数、店舗数などを踏まえながら、試用できる「無料トライアル」を活用して使い勝手を確かめたり、無料で入手できる製品資料を確認したりすることから、気軽に・ゆっくりでもいいので改善の第一歩を踏み出していきましょう。(製品名 abcあいうえお順/2025年1月時点)