組織や企業で発生する経費を管理し、効率的なプロセスを支える経費業務は、大企業はもちろん、中小企業においても必要不可欠です。
本記事では、中小企業が抱える経費精算、経理業務の課題から、経費精算システムを導入するメリットと選び方、おすすめの経費精算システムとその特徴まで紹介します。アナログ方法あるいは汎用ソフトを使用している会社、そして経費精算システムを導入するかどうか悩んでいる企業の担当者の方は参考にしてください。
目次
経費精算をまだアナログで行う中小企業にありがちな課題
中小企業は「従業員数は少ない」などの理由で、紙、手渡しベースのアナログ方法だったり、Excelなどの汎用ソフトウェアで済ませているなど、経費精算システムを使わない企業も数多く存在します。
これらの方法は会社独自のルールや習慣などが多分に含まれ、属人性が高くなっている恐れがあります。経理担当者は毎回発生するタスクが大変で頭を抱えているかもしれません。
アナログ方法、従来型方法を用いている中小企業には以下の課題が挙げられます。
手作業と時間の浪費
紙、手渡しベースの経費申請となると、従業員が領収書や請求書を「手作業」で記入し、集計する必要があります。
これらの手間は削減することが難しく、管理者や従業員の時間と労力を浪費してしまいます。
誤記、記録書類の不備
アナログな方法では手書きによる記入ミスや記録書類の不備、集計漏れなど、人的ミスがどうしても発生しやすくなります。これにより経費データの正確性と信頼性が損なわれる可能性があります。
経費の透明性の欠如
経費の追跡が困難なことから、経費の透明性が欠如してしまいます。
そのため、管理者や従業員が、現在の経費状況や傾向・パターンを正確に理解しにくくなり、予算管理なども難しくなっている恐れがあります。
経費承認の遅延
経費報告書を物理的に承認者へアナログな手段で承認する必要があるならば、審査や承認にも手間と時間がかかります。
また、従業員が支払いを受けるまでの遅延が生じる恐れがありますし、キャッシュフローの調整も難しくなります。
書類管理の課題
大量の領収書や請求書を整理、保管する必要があるため、手間や時間がかかります。
さらに、保管するスペースも必要になり、文書の紛失や損傷のリスクも高まります。
このように、紙や汎用ツールにはさまざまなリスクがあったり、煩雑な作業が必要になります。時間や手間がかかると、従業員のストレスも増加してしまいます。
デジタルの経費精算システムを使用することで、これらの課題の解決が期待できます。
中小企業が経費精算システムを導入するメリットと注意点
経費精算システムを導入する上で、導入のメリットや注意点について正しく理解しておくことが重要です。
経費精算システムの主なメリット
まず、経費精算システムを導入する主なメリットは以下の3つです。
- 効率の向上
- 正確性とコンプライアンスの向上
- データの透明性と分析
(1)効率の向上
経費報告と承認プロセスに必要な作業が少なくなります。
最近はOCR機能やスマートフォンアプリを使って容易に登録できるシステムが主流です。入力紙文書の処理時間の削減ができ、経費精算そのものを効率化します。従業員と管理者双方の負担軽減にもつながり、全体的な業務効率の向上にも寄与します。
例えば「交通費」や「出張旅費」の経費清算はどうでしょう。昨今多くの人が用いている「交通系ICカード」や「クレジットカード」の情報をそのまま使って申請できるならば手間は大きく軽減できます。会社のPC、あるいはスマートフォンアプリを用いてデジタルデータのまま、電子的にやりとりすればいいのならば、いちいち印刷して印鑑を押して…といった手間なく、またペーパーレス化にも大きく寄与します。
(2)正確性とコンプライアンスの向上
「正しいデータ」を軸にやりとりするシステム化によって、入力のサポート(不必要/誤った内容が記入されよう入力制限を備えた機能)や入力を自動化することで正確な記入、記録が可能になり、「情報の正確性」を高められます。
経費カテゴリーの設定やポリシーコンプライアンスの確認機能もあるため、経費が適切な方法で処理されることの保証もできます。
また、法的コンプライアンスの強化も期待できます。
(3)データの透明性と分析
経費データをリアルタイムで追跡でき、報告書やダッシュボードを生成することも可能な場合が多いです。
経費の傾向やパターンが明確になり、経営陣は予算の管理と意思決定を改善できるといった効果も期待できます。また、税務申告や監査の際にも役立ちます。
経費精算システムを導入する際の主な注意点
- コストと予算
- セキュリティとコンプライアンス
- ユーザートレーニング
コストと予算
システムの導入と維持には一定のコストがかかります。
必要なコストは以下のようなものが挙げられます。
- ライセンス料
- カスタマイズ費用
- ユーザートレーニングのサポート費用
- インフラストラクチャの整備
予算の検討と、長期的なROI(投資利益率)の考慮が大切です。
セキュリティとコンプライアンス
経費データは機密性が高い場合が多いため、セキュリティとコンプライアンスに注意を払うことが不可欠です。
導入する経費精算システムがデータの暗号化、アクセス制御、監査トレイルの設定など、データセキュリティを確保するための機能を提供しているかどうかも確認しましょう。
また、国内および国際的な法的要件に適合していることを確認し、コンプライアンスを維持できるかどうかも評価ポイントになります。
ユーザートレーニング
システムを効果的に活用するためには、ユーザー(従業員)トレーニングも必要です。
従業員が経費精算システムを適切に使用できるようにするためのトレーニングプログラムや、サポートが提供されることなども確認しましょう。
中小企業が経費精算システムを選ぶ際のポイント
経費精算システムを選ぶ際、自社に合った適切なシステムの選択が非常に重要です。
以下のポイントを押さえて最適なシステムを選びましょう。
- 自社の利用形態に適しているか
- 導入後のカスタマイズは可能か
- サポート体制は整っているか
- 無料プラン、あるいは無料トライアルの用意があるか
自社の利用形態に適しているか
経費カテゴリの設定、承認ワークフロー、データ分析機能等、組織のニーズに合った機能が提供されているかを確認しましょう。
ただし、機能の増加に比例して運用コストも増加しやすいため、費用対効果を考慮する必要があります。
導入後のカスタマイズは可能か
導入後にカスタマイズができるかどうかも重要なポイントです。
こちらも費用対効果を考慮する必要がありますが、自社に合わせた柔軟なカスタマイズができるか、従業員の増加や事業拡大時の対応についても含めて検討しましょう。
サポート体制は整っているか
「操作について質問する際のサポート方法」「トラブル対応時にかかる費用の有無」などのサポート体制や、費用、対応方法についても確認しておきましょう。
無料プラン、あるいは無料トライアル期間があるか
実際に使用してみないと分からないことも多いため、無料プランや無料トライアル期間があるかどうかも確認しましょう。
無料トライアルや無料プランがあると、その範囲でスモールスタートして、システム全体の操作感や機能の使い勝手を検証でき、安心して導入できます。
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