企業活動において、従業員の給与計算と勤怠管理は不可欠です。手作業によるミスの削減や労働時間の正確な把握、複雑な給与計算の自動化などのメリットがあります。さらに、これらを個別で使うより、連携して使うことでさらに多くのメリットがあります。
本記事では、給与計算と勤怠管理の業務によくある課題、それぞれを連携させるメリット、連携の方法をじっくりと解説し、おすすめ製品(11選)をご紹介します。
目次
給与計算と勤怠管理業務に関するよくある課題
給与計算と勤怠管理はどの企業においても欠かせない業務です。これら業務のいくつかに課題を感じている企業も多くあることでしょう。
ここからは、給与計算や勤怠管理に関するよくある悩みを具体的に紹介し、その解決策を探ります。
属人化しやすい
給与計算や勤怠管理は、専門的な知識を必要とするため、特定の従業員に業務が集中してしまいがちです。
法規制や税金に関する知識を持つ従業員が限られている場合、その従業員に依存する状況が生まれやすくなります。この場合、特定の従業員が不在の際や退職した場合に業務が滞るリスクとなることがあります。
集計作業に手間がかかる
従業員ごとの労働時間や残業時間、各種手当の計算は非常に手間がかかる作業です。
とくに従業員数が多い企業では、集計に時間がかかり、担当者の業務負担が増えてしまいます。
また、法改正による労働時間の管理や給与計算の変更に対応するためには、最新の法令知識と複雑な処理が必要です。
これらの対応にも、大きな労力が必要になります。
入力ミスのリスクがある
タイムカードへの打刻や表計算ソフトなどへのデータ転記の際には、入力ミスが発生するおそれがあります。
とくに従業員数が多い企業や繁忙期には、ミスのリスクが高まります。
エクセル(Microsoft Excel)などの表計算ソフトを用いてもある程度の仕込みは構築できます。紙と手書き作業よりは確実に時間と手間が軽減され、特に計算・検算が楽にはなります。しかし、作業に手入力があるならば入力ミスが発生するリスクは変わらず「データの確実性」観点の課題は残ります。
給与計算と勤怠管理を連携させるメリット
給与計算と勤怠管理を連携させることは、業務効率を大幅に向上させるだけでなく、従業員の満足度向上にも寄与します。
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正しい勤怠管理データをもとに正しく給与計算を自動化できる
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人事・総務部門の業務効率化につながる
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法改正に対応しやすい
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人的ミスを防げる
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属人化を解消できる
正しい勤怠管理データをもとに正しく給与計算を自動化できる
給与計算と連携する勤怠管理システムを活用することで、正しい勤怠データをもとに、自動的に正しく給与計算が行えます。
これにより、データの一元管理が可能になり、給与計算のためにデータを手入力したり、手作業で計算したりする必要がなくなります。
結果として、正しい給与支払いが手間なく実現できるようになります。
人事部や総務部などの業務効率化につながる
勤怠管理と給与計算の連携により、人事部や総務部の業務効率も大幅に向上します。
従業員の勤怠情報が自動的に給与計算に反映されるため、煩雑なデータ入力作業や確認作業が削減できます。
これにより、人事部や総務部はより戦略的な業務に集中でき、業務の効率化と生産性の向上が期待できます。
法改正に対応しやすい
給与計算や勤怠管理に関わる法規制は頻繁に変更されます。
連携システムを導入することで、法改正への対応がスムーズになります。
最新の法令にもとづいたシステムの自動アップデートにより、常に最新の法規制に準拠した計算が可能となり、コンプライアンス違反のリスクを減少できます。
人的ミスを防げる
手作業を減らすことは、ヒューマンエラーの減少にもつながります。
勤怠データの自動連携により、計算ミスや入力ミスが防止され、正確なデータ管理が可能になります。
これにより、給与計算におけるトラブルを未然に防ぐことができます。
属人化を解消できる
給与計算や勤怠管理が特定の従業員に依存する状況を避けるためには、システムの導入が効果的です。
システム化により、業務の標準化と一元管理が進むことで、特定の従業員に負担が集中することがなくなります。
これにより、業務が効率的に分担され、特定業務の属人化を回避しやすくなります。
給与計算と連携できる勤怠管理システムの種類
給与計算と連携できる勤怠管理システムにはさまざまな種類があります。
ここからは、機能と形態による分類を紹介し、それぞれの特徴や利点について解説します。
機能による分類
一体パッケージ型
一体パッケージ型は、勤怠管理から給与計算までをワンストップで管理できるように設計されたシステムです。ここでは、一連の機能をまとめ、パッケージ化されている製品のこととして解説します。
主に、従業員の勤怠データをリアルタイムで集計し、各社の就業規則にもとづいて割増手当などを適用するなどして、給与を自動計算するといった機能を備えます。
このタイプのシステムには、勤怠管理と給与計算のみに機能を絞ったものと、それ以外の人事管理や経費精算業務にも対応するものがあります。
一体型システムは、業務の一元管理とともに、1つの製品の中でデータを管理するのでデータ/情報の整合性を保ちやすい利点があります。一方、機能が豊富な分、自社では使わない機能があったり、自社のワークフローへ合わせるためのカスタマイズが必要となったりし、コストパフォーマンス面で課題になることがあります。
シリーズ連携型
シリーズ連携型システムは、同じベンダーが提供する「製品シリーズ」の中で複数のシステム/製品/機能を組み合わせて利用できるタイプです。
例えば、勤怠管理システムと給与計算システムをニーズに沿って別々に導入しつつも、それぞれで扱うデータをAPIなどで連携させることでデータの一元化と統合管理を実現します。
このタイプの利点は、必要な機能を柔軟に取捨選択でき、また既存システムとの親和性も高いことです。機能/システム間のデータ連携が容易であり、特定の業務に特化した機能を選択できるのが特徴です。一例として「freeeシリーズ」「マネーフォワードシリーズ」「楽楽シリーズ」などがあります。
ERP型
ERP(Enterprise Resource Planning)は、企業全体の業務プロセスを統合管理するITシステムです。今回のような給与計算と勤怠管理の連携だけでなく、財務会計、在庫管理、顧客管理など、自社の業務全般・多岐にわたる業務プロセスを統合し、データの一元管理を実現します。全体の業務プロセスに関連するので導入コストや導入のハードルはやや高くなる傾向にありますが、自社全体の業務プロセスを統合し、データを一元化できることで、“早期”に自社全体の効率、生産性を高め、また競争力を高める有用なシステムとして企業の導入例が増えています。
ERPについてさらに詳しく知りたい方は、下記の記事も合わせてご覧ください。
形態による分類
オンプレミス型(パッケージ型)
オンプレミス型は、自社のサーバにソフトウェアをインストールして運用するタイプのシステムです。「自社専用」として設計し、導入する、例えるとオーダーメイド仕様です。クラウド型と異なり、データも社内あるいは自社管理下へ置けることで、データを外部に出せない/海外へ出せない「特に機密性の高い情報」を扱う製造業、金融業などの業種・業界に用いられます。
その一方で、一般的にコスト面は高額になる傾向です。導入プロジェクトの長期となる傾向です。その後のシステム運用にも一定のコストと、一定以上の専門知識を持つ専門スタッフが必要になることが一般的です。
クラウド型
クラウド型/SaaS型は、インターネットを通じたソフトウェアサービスとして利用するタイプのシステムです。ベンダーが提供するセキュアなクラウド環境へデータを保管し、ブラウザや専用アプリを通じて機能を利用します。
オンプレミス型/パッケージ型に対するクラウド型のメリットは、導入から運用までのスピード感、コストメリットを出しやすいこと、そして柔軟性です。また、常に最新の機能が自動でアップデートされるため、法改正などにも迅速に対応できます。
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