経費精算システムとは、業務関連の経費を効率的に管理し、精算するためのシステムのこと を指します。従業員の経費申請、承認、精算、会計処理などを一元管理できるため、経費精算システムを導入することによって、経費の管理や分析を効率的に行えます。経理業務の効率化を目指し、経費精算システムの導入を検討している方も多いのではないでしょうか。
本記事では、経費精算システムの主な機能と種類、選ぶポイントなどについて解説します。併せておすすめの製品もご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
経費精算システムの主な機能
経費の申請や承認、支払いを効率化する経費精算システムには、さまざまな機能が搭載されています。ここでは、経費精算システムの主な機能についてご紹介します。
申請機能
申請機能とは、従業員が経費の種類や金額、日付や用途などを入力して申請する機能のことを指します。スマートフォンなどで撮影したレシートや領収書の画像を添付できるタイプもあります。
承認機能
承認機能とは、従業員が申請したさまざまな経費の申請を上長などが承認する機能のことを指します。申請された内容によって承認ルートが異なる場合、自動で振り分けが可能な自動分岐設定機能や、不備や誤りなどがあり承認できない場合に差し戻しのコメントを書いたり画像を添付したりできる機能などがあります。
精算機能
精算機能とは、経費精算の申請から承認、支払いまでの一連の業務を自動化する機能のことを指します。例えば、従業員が立て替えた経費を自動的に支払う機能や承認された経費精算データを元に、インターネットバンキングに必要な振込データを自動で作成する機能などがあります。これらの機能により、振込作業の負担が軽減されます。
領収書の読み取り・電子保管機能
領収書の読み取り・電子保管機能は、スマートフォンなどのカメラで領収書を撮影したデータをアップロードできる機能や、データから文字を読み取るOCR機能、それらのデータを保管できる機能などを指します。
2022年1月に施行された電子帳簿保存法の改正 により、紙に印刷していないデータのみの帳簿保存が認められるようになりました。そのことから、領収書や請求書を電子化する企業が増加しています。この機能は、電子帳簿保存法にも対応できる基本的な機能です。
通知機能
通知機能は、締め日のアラートや、承認・差し戻しなどをメール配信やアプリのプッシュ通知でお知らせできる機能のことを指します。スムーズな申請・承認に役立つ機能です。
自動仕訳機能
自動仕訳機能とは、申請時に項目を選択すると、勘定科目を自動的に仕訳できる機能のことを指します。上長や経理業務担当者は確認だけで済むため、業務の負担軽減につながります。
経費分析機能
経費分析機能とは、過去の経費データを可視化し、データを分析することができる機能です。経費のデータを分析することによって、無駄な経費を省き、適正化につながります。
他データとの連携機能
他データとの連携機能とは、外部サービスのデータと連携し、経費精算の作業を効率化する機能のことを指します。交通系ICカードや法人カードなどと連携し、自動で交通費の申請や旅費などの立て替え負担の軽減ができます。
また、乗換案内ツールと連携して、目的地と経由を選ぶだけで交通費データを作成できる機能もあります。
他システムとの連携機能
他システムとの連携機能とは、現在利用している会計ソフトや給与計算システムなどと連携できる機能のことを指します。CSV出力やAPIによって簡単に連携できるため、経理業務だけでなく会計業務の負担も軽減され、バックオフィス業務全体の効率化につながります。
経費精算システムの主な種類
経費精算システムは、大きく分けて「クラウド型」「オンプレミス型」「パッケージ型」の3種類が挙げられます。それぞれの種類によって特徴やメリットが異なるため、自社に適した種類を選ぶことが大切です。ここでは、経費精算システムの種類についてご紹介します。
クラウド型
クラウド型は、インターネット上に構築されたシステムまたはソフトウェアの機能を「利用」するタイプの経費精算システムです。月額定額制の料金プランを申し込めばすぐ利用でき、初期費用やトータルの運用費用を抑えやすいメリットがあります。
クラウド型はインターネット環境があれば使用できるので、いつでも、どこでも、どんな端末でも、例えばリモートワークや外出先などでも業務を進行しやすいことも特徴です。本記事は主に「クラウド型」の導入シーンを想定し、内容を解説していきます。
オンプレミス型
オンプレミス型は、自社のサーバにシステムを構築して展開する従来型のシステム導入手法です。自社独自の構築・運用するとき、特に高度なカスタマイズ性やセキュリティ性を求めるときに用いられます。
クラウド型に対して一から機材を揃えてシステムを構築するため、初期費用が多くかかり、プロジェクト計画の規模や予算も大掛かりなものになるでしょう。「自社の持ち物」なので、クラウド型のような月額利用料的なコストは発生しませんが、システムに用いるソフトウェア(データベースソフトウェアなど)の利用プランによっては、またシステム全体の保守、管理費用、人件費は規模に応じたランニングコストは相応に発生します。
パッケージ型
パッケージ型は、パッケージ型ソフトウェアを購入して自社既存のPC・サーバーにインストールするタイプです。完成したサービスを購入して利用する「買い切り型」とも呼ばれます。クラウド型、オンプレミス型に対して機能や利便性は限られますが、導入コストは低く、機能さえ満たせれば、個人事業主単位や部署単位などの小規模な導入シーンに適します。
経費精算システムを選ぶポイント
近年、経費精算システムを導入する企業が増加しており、さまざまな経費精算システムが提供されています。そのため、どの製品、システムを利用すべきかか迷ってしまう人も多いはずです。
経費精算システムを導入する際には、「選び方」も重要な要素です。ここでは、「経費精算システムを選ぶポイント」について詳しくご紹介します。
経費の入力がしやすいか
せっかくITシステムを導入しても、定着しない、これまでの方法より使いにくいのでは効果を生み出せません。経費精算システムの導入を検討するならば、まず「自社にはどんな要件や課題があるのか」と「どう自社の使い方やニーズに合わせるか」の点が重要になります。経費精算システムでは、やはり「従業員が経費申請を簡単に、ミスなく行えるか」の点を確認しましょう。
近年、ニーズが高く、経費の入力がしやすくなり、業務の負担も軽減するために「要件」として挙がることが多い機能は以下の通りです。
交通系ICカードと連携して交通費精算を行える
スマホのカメラで領収書を撮影するだけで自動入力される
従業員のクレジットカードや法人カード、決済アプリの連携に対応している
外貨による支払いに対応している
自社の承認フローに適しているか
多くの経費精算システムには、従業員の経費申請を楽にする機能とともに、会社・管理側向けに「申請が正しいかどうか」を確認し、承認するフローを楽にする機能も含まれています。
ただし「承認」のフローは、企業によって必要な手順や作法に差異があります。「自社の承認フローに適しているか」観点の機能確認も重要なポイントです。
フォーマットや承認フローを柔軟に変更できる、カスタマイズできるシステムを選べば、運用していくうえでよりよいルール化が可能になり、業務の効率化につながります。
既存のシステムと連携できるか
経費精算システムで扱う情報は、会計業務や給与計算業務とも密に関わります。そのため、既にある会計システムや給与計算システムと密に連携できれば、さらなる業務の効率化が望めます。既存システムと「どう連携できるか/そもそも連携できるか」を確認しましょう。データ入力の省略化と連携の強化は、手間やミス、さらには違法行為の軽減、防止につながります。業務効率化の観点、企業コンプライアンス順守の観点からも、既存システムとの連携を考察することは欠かせない要素です。
十分なサポート体制があるか
新しいシステムを導入するとなれば、これまでの業務フローが大きく変わることも起こり得ます。効率的かつ効果を出す運用を目指すことを軸に、製品、あるいは料金プランにどんなサポートメニューがあるか、どこまでサポートしてくれるか、ここは選定候補とするベンダーにじっくりと聞いて、「サポート体制に不足、不安がないかどうか」を確認しましょう。
運用コストを抑えて利用できる経費精算システム4選
経費精算システムを導入する際には、運用コストに注目し、コストパフォーマンスをきちんと測って導入することが大切です。ここでは、運用コストを抑えて利用できるおすすめの経費精算システムをご紹介します。
ジンジャー経費
特徴
ジンジャー経費は、jinjerが提供している経費精算システムです。月額330円/人(税込み)から利用でき、利用する機能とサービスによって変動します。主な付加機能は、路検索サービス連携機能、ICカード情報の取り込み機能、レシートや領収書のモバイルデバイス撮影機能など。カスタマーサクセスサポーターと呼ばれる専任のサポートスタッフがつく「サポートプラン」、1カ月の無料トライアル期間を用意します。
ベンダーのWebサイト
https://hcm-jinjer.com/
J’s NAVI NEO
特徴
’s NAVI NEOは、JTBビジネストラベルソリューションズが提供している経費精算システムです。初期導入費用、月額基本利用料3万3000円(税込み)+オプション利用料から利用できます。機能も、旅行大手JTBとの連携とノウハウを生かす「チケット手配を含めた出張清算機能」から、振り込みデータ作成機能、経路検索サービス連携、交通系ICカードデータ連携機能、専属SE/サポートチームが付く「サポート充実プラン」や、30日の無料トライアル期間も用意します。
ベンダーのWebサイト
https://www.jsnavineo.com/
チムスピ経費
特徴
チムスピ経費は、チームスピリットが提供している経費精算システムです。料金体系は初期登録料+利用人数に応じた月額課金制で、月額330円/人(税込み)から、基本サポート費はライセンス料金×20%/月です。明細の複数一括作成や日付指定作成など、日々の経費精算入力を「楽」にするための工夫と機能、操作性をウリにしています。
ベンダーのWebサイト
https://www.teamspirit.com/
マネーフォワード クラウド経費
特徴
マネーフォワード クラウド経費は、マネーフォワードが提供している経費精算システムです。マネーフォワードシリーズには企業のバックオフィス業務に関わる機能が多彩にあり、「自社に必要な機能」をレストランのアラカルトメニューのように選んで追加、拡張していけるクラウドサービスです。「クラウド経費」の主な機能には、基本料金は、経費明細の自動取得機能や領収書画像データの自動取得機能、オペレーター入力・OCR入力機能、ICカードや経路検索からの交通費入力機能があります。料金は小規模事業者向けのスモールビジネスプランで2980円/月から、中小企業向けのビジネスプランで4980円/月から。ビジネスプランには1カ月の無料トライアル期間も用意します。
ベンダーのWebサイト
https://biz.moneyforward.com/
スマートフォンアプリ対応の経費精算システム3選
従業員のらくらく作業を促進するならば、「スマホ対応」も必須といえます。ここでは、スマートフォンアプリ対応のおすすめの経費精算システムをご紹介します。
HRMOS経費
特徴
HRMOS経費は、イージーソフトが提供している経費精算システムです。初期費用は0円で、費用はユーザー数に応じて変動し、月額3万1900円(税込み)から。基本プラン内で利用できる機能が豊富で、現状の運用や今後の企業の成長、社会変化、法改正に合わせて柔軟な設定変更も可能としています。主な付加機能は、経路検索サービス連携、交通系ICカードの読み込み機能、AI機能付きの領収書OCR機能など。OCR機能を使いやすい専用スマートフォンアプリも用意します。
ベンダーのWebサイト
https://www.ezsoft.co.jp/ekeihi/
TOKIUM
特徴
TOKIUM経費精算は、TOKIUM社が提供している経費精算システムです。料金は月額1万1000円(税込み)からで、「領収書の件数」によってに料金が変動するう従量課金制となっています。主な機能は、オペレータ入力代行機能、交通系ICカードの読み取り対応スマホアプリ、領主書画像の自動データ化など。経費精算の主流機能である「領収書の写真データ申請」については、申請されたものを人力視認して入力を代行する「オペレーター入力代行機能」の体制が特徴です。OCR機能より精度が高く、確実なデータ化を実現すると謳います。
ベンダーのWebサイト
https://www.keihi.com/
バクラク経費精算
特徴
バクラク経費精算は、LayerXが提供している経費精算システムです。初期費用は0円、費用は月額2万2000円(税込み)から。ミスの防止機能やアプリだけで完結する申請・承認機能を軸に、収書一括自動読み取り機能、交通経路検索自動記入機能、会計ソフトとのAPI連携機能などを備えます。2週間の無料トライアル期間を用意します。
ベンダーのWebサイト
https://bakuraku.jp/expense/
複雑な経費精算規程にも対応できる経費精算システム3選
企業によっては、自社独特の複雑な規程に対応できる経費精算システムが求められることがあります。そのような経費精算規程にも対応できる経費精算システムをご紹介します。
Ci*X Expense
MAJOR FLOW Z KEIHI
Spendia
特徴
クラウド型経費精算システムSpendiaは、TISが提供している経費精算システムです。クラウド型ながら大企業の要件として挙がる、さまざまな複雑な要件にも対応する豊富な機能と柔軟性を持つことをウリにします。主な不可機能は、承認フローをドラッグ&ドロップ操作で細かく設定できる機能、不正検知・監査ログ機能、規程違反チェック機能、スマートフォン対応機能、請求書AI-OCR自動入力機能など。申請、承認のための専用スマホアプリも用意します。
ベンダーのWebサイト
https://www.tis.jp/service_solution/spendia/
多言語や外貨にも対応できる経費精算システム3選
海外拠点を持つグローバル展開企業、または今後海外進出を計画する企業は、多言語と外貨の扱いを確実に対応できる経費精算システムが必要になるでしょう。ここでは、多言語や外貨にも対応できるおすすめの経費精算システムをご紹介します。
Concur Expense Standard
特徴
Concur Expense Standardは、コンカー社が提供している経費精算システムです。月額費用は3万円台から。多言語化、多通貨への対応を特徴とします。対応言語は日本語、英語、中国語など主要21カ国語以上。経路検索サービス連携機能やICカード取込機能、クレジットカード連携機能などを備えます。
ベンダーのWebサイト
https://www.concur.co.jp/perfect-expense
ジョブカン経費精算
特徴
ジョブカン経費精算は、DONUTSが提供している経費精算システムです。初期費用やサポート費用は0円。費用は月額440円/人(税込み)、月額最低利用料金は5500円(税込み)から。日本語のほか、英語・韓国語・タイ語に対応しており、ログイン後の言語選択画面で表示言語の切り替えが可能。海外出張旅費など外貨利用時の精算をするための為替レートを登録、編集できる機能、ジョブカンシリーズの他機能との連携プラン(月額660円/人から)も用意します。
ベンダーのWebサイト
https://ex.jobcan.ne.jp/
楽楽精算
特徴
楽楽精算は、ラクスが提供している経費精算システムです。基本プランは、初期費用11万円(税込み)から。費用は月額3万3000円(税込み)からで、月額費用は利用する従業員数に応じて変動します。各種申請を電子化できるワークフロー申請機能、ほかの会計ソフトとの柔軟な連携体制を特長とし、英語UIなどへの切り替えも可能です。
ベンダーのWebサイト
https://www.rakurakuseisan.jp/
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経費精算システムを導入する主なメリット
経費精算システムの導入によって、業務を効率化でき、実際に作業を行う申請者や承認者とともに、経理担当者や経営者にとっても大きなメリットがあります。ここでは、それぞれの立場ごとに経費精算システムを導入する主なメリットについてご紹介します。
申請者のメリット
経費精算システムの導入によって、まず、申請者=従業員の手間を大きく軽減し、「面倒」を解消 できます。面倒な書類の作成や提出がなくなり、多くのシステムによっては手元のPCやスマートフォン操作で完結できるようになります。従来型の申請では、スケジュールや領収書を確認し、内容を思い出しながら記入して領収書を1枚ずつのり付けして紙で申請──こんな手間のかかる作業が不要になり、また人的な作業ミスも発生しにくく なります。
承認者のメリット
経費精算システムの導入によって、承認者と承認フローの手間を大きく軽減 できます。申請から承認までの流れがシステム上で完結し、システムによっては申請者と同様に手元のスマホアプリでも実施でき、場所や時間に左右されずに承認・否認の手続きを行えるようになります。承認者が手間なくきちんと確認、承認できることは、「不正な申請」を的確に防ぐ ことにもつながります。
経理担当者のメリット
経費精算システムには自動で計算や仕訳を行う機能によって、経理担当者も申請者/従業員の経費計算や確認に要するタスクと時間の削減 が期待できます。紙の申請書を手作業で入力する手間に比べると一目瞭然で、経理担当者の人的ミスも防げます。さらに会計システムや給与計算システムなどの他のシステムやツールと連携できれば、総務業務全般の業務効率化を図る こともできます。。
経営者のメリット
経営者、管理者は、経営判断のための「正確なデータ」 を得られます。また、データの一元管理体制により、不正や改ざんの抑止力にもなります。企業として、内部統制やコンプライアンスの強化につながる ことが大きなメリットです。
自社に適した経費精算システムを導入し、業務の効率化を目指そう
経費精算システムを導入することで、従業員、経理担当者、管理者まであらゆる担当者の「面倒」「大変」を減らします。特に「領収書を添付して、申請する」といったような「紙」「アナログ的」な方法を取っている企業にとってはかなりの効率化が期待できます。経費精算システムにはさまざまな機能が搭載されますが「企業の規模や解決したい課題」によってそれぞれの企業に適しているシステムは異なることもあります。自社に適した経費精算システムを選定する作業は、時間を相応にかけてじっくりと行っていくとよいでしょう。
「自社に合うIT製品・サービスが分からない」「時間をかけずに効率的にサービスを検討したい」というご担当者様は、ぜひ ITセレクトのコンシェルジュサービス (無料)までお問い合わせください。適切なIT製品・サービスのご紹介や各種資料を分かりやすくご提供します。
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