スムーズで効率的な請求業務管理を目指す企業にとって、請求書発行ソフトは今や必須といえるITツールです。しかし、多くの選択肢がある中で、どの製品を選ぶべきか迷ってしまうことも多いでしょう。デジタル化が進行する現在、紙の請求書から電子請求書への移行が進んでいます。また、インボイス制度や電子帳簿保存法など法律の改正により企業に求められる対応も増えています。これらの新しい課題への対応も含めて業務の効率化と確実性の強化を実現する請求書発行ソフト/請求書発行システムが求められています。
この記事では、請求書発行ソフトの基本機能、メリットやデメリットをじっくり解説し、製品の選び方、おすすめの請求書発行システムを全14製品(2024年8月時点)ご紹介します。あなたの会社とビジネスに適する請求書発行ソフト/システムを見つけるための一助となれば幸いです。
請求書発行ソフトとは
請求書発行ソフトとは、企業がクライアントや顧客に対して請求書を作成・発行するためのITツールです。これにより、請求業務の効率化や正確性の向上が期待できます。
請求書発行ソフトは、請求書作成の手間を軽減し、デジタル化によって業務のスピードと正確性を向上させることが主目的です。基本的な機能としては、請求書の自動生成や顧客データの一元管理、支払い状況の把握などが挙げられます。請求書発行ソフト/請求書発行システムを利用することでビジネスの効率化と透明性が高まり、企業のキャッシュフロー管理もしやすくなる大きな利点があります。
請求書発行ソフトでできること/基本機能一覧
請求書発行ソフトは手動で請求書を作成する手間を省き、データの一元管理や自動生成・自動管理機能などを活用することで、業務の効率化とミスの削減を実現できます。
例えば、自動請求書生成機能を使えば、取引データに基づいて自動的に請求書が作成され、時間の節約になります。また、テンプレート機能なども利用することで、ブランドイメージを統一しつつ的確な請求書を簡単に作成することが可能です。
請求書発行ソフトに備わる主要機能は以下の通りです。
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自動請求書生成
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顧客データの一元管理
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支払い管理/配信と追跡
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定型文/テンプレートの活用
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レポート生成
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データのバックアップとセキュリティ
自動請求書生成
顧客情報や取引データを基に、自動的に請求書を生成する機能です。これにより、手作業での請求書作成にかかる時間と労力を大幅に削減できます。テンプレート機能を活用すれば、会社のロゴやフォーマットを一貫して使用でき、ブランドイメージの統一が図れます。また、入力ミスや計算ミスが減ることで、正確な請求が保証されます。
顧客データの一元管理
顧客の基本情報や取引履歴を一元管理する機能です。この機能により、顧客ごとの請求書の発行履歴や支払状況を簡単に確認できます。CRM(顧客関係管理)機能と連携することで、営業活動やカスタマーサポートの効率化も期待できます。さらに、顧客に関する詳細なデータを蓄積することで、よりパーソナライズされたサービス提供が可能となります。
支払い管理/配信と追跡
請求書の発行後、支払い状況を追跡する機能です。支払期日が近づくと自動でリマインダーを送信したり、未払いの請求書に対してフォローアップの通知を行ったりします。この機能により、未回収のリスクを減少させ、キャッシュフローの改善が期待できます。また、支払いの進捗状況をリアルタイムで確認できるため、財務管理がよりスムーズになります。
定型文/テンプレートの活用
請求書作成において、定型文やテンプレートを活用することで作業効率を向上させる機能です。これにより、毎回ゼロから文書を作成する手間を省き、フォーマットの統一が図れます。定型文のライブラリを作成しておけば、特定の条件や顧客に応じて簡単に内容をカスタマイズすることが可能です。これにより、請求書の迅速な発行が実現します。
レポート生成
請求書の発行状況や支払い状況を分析し、各種レポートを生成する機能です。この機能を使うことで、売上や未回収額の推移、顧客ごとの支払い傾向などを視覚的に把握できます。定期的なレポート生成により、経営判断のためのデータを迅速に提供し、戦略的な意思決定をサポートします。また、税務申告や内部監査にも役立つ詳細なデータが得られます。
データのバックアップとセキュリティ
請求書作成システムでは、個人情報や財務情報を扱うため、高いセキュリティが求められます。データの暗号化、アクセス制御、二要素認証などのセキュリティ機能を備えることで、不正アクセスやデータ漏洩のリスクを最小限に抑えます。また、定期的なデータのバックアップ機能を持つことで、万が一のシステム障害やデータ損失に備えることができます。これにより、システムの信頼性とデータの安全性が確保されます。
インボイス制度と電子帳簿保存法への対応
2023年10月より施行されたインボイス制度、2024年1月より義務付けられた電子帳簿保存法の改正は、2024年以降の請求書発行ソフトの対応機能として必須となる制度・法令です。
インボイス制度では、事業者が消費税の課税仕入れに関する税額控除を受けるために請負側の適格請求書が必要になります。請負側が適格請求書を発行するためには国税庁に登録する必要があります。そして、登録した適格請求書発行事業者番号と、取引の内容を明確にするために決められた情報(取引内容や取引金額、取引日など)を請求書内に記載し、要件を満たす必要があります。
事業者の課題
インボイス制度による事業者の大きな課題は、主に受け取った適格請求書の管理です。
まず、受け取った請求書がインボイス制度の要件を満たしているか都度確認しなくてはいけません。このとき、項目だけではなく、記載されている登録事業者番号が正しいものになっているかどうかも合わせて調べる必要があります。事業者は適格請求書を受け取れない場合、仕入税額控除ができなくなるため注意が必要です。
また、電子データとして請求書を保存しておくために、電子帳簿保存法に対応した保存方法でもある必要があります。保存できたとしても、取引が多い企業は大量の請求書データの扱いが必要になるため、それらの管理も大きな課題です。請求書発行システムを利用し、ワークフローを設定することで請求書がインボイス制度の要件を満たしているかどうかのチェックを効率的に行えます。
同時に、インボイス制度と電子帳簿保存法へ的確に対応するシステムであれば、大量の請求書データを管理し、必要なときに正しく的確に情報へアクセスできる手段も同時に整います。昨今のクラウド型製品の多くは
請負側の課題
インボイス制度による請負側の課題は、要件を満たす適格請求書を正確に作成する必要があることです。
各項目や金額、税金の計算はインボイス制度に限らず正確に作成することが重要ですが、それに加えて事業者番号の管理も必要になります。
請求書発行システムを使うことで、必要な情報をフォーマットに入力するだけで請求書の作成ができます。また、事業者番号を設定しておくと自動的に記載されるようになるため、記載忘れやミスの防止も期待できます。
他にもインボイス制度では、発行側も請求書の保存が義務化されます。請求書発行システムを使えば電子帳簿保存法に沿い、過去に発行した請求書をデジタルで管理し、上記と同様に必要なときに簡単にアクセスできる環境が整います。
請求書発行システムを使うことでインボイス制度および電子帳簿保存法に正しく対応でき、同時に管理業務の効率化と確実性の向上を実現できます。
請求書発行ソフトのメリット・デメリット
先ほど紹介した通り、請求書発行ソフトを使うことで、手動での作成と比べて時間と労力を大幅に節約できます。また、インボイス制度、電子帳簿保存法などの法令に順守するための対策も正しく行えるようになります。具体的なメリットは以下の通りです。
- 業務効率の向上
- 正確性の向上/人的ミスの削減
- キャッシュフローの正確性向上
業務効率の向上
請求書発行ソフトを導入することで、業務効率が大幅に向上します。手動で請求書を作成すると非常に時間がかかる上に、ヒューマンエラーが発生しやすいです。一方、ソフトを使用することで、テンプレートを使って迅速かつ正確に請求書を発行できます。例えば、ある企業では手動で請求書を作成していた時には一日で5枚程度しか発行できなかったのが、請求書発行ソフトを導入してからは一日で50枚以上の請求書をミスなく発行できるようになりました。請求書発行ソフトを利用することで、ミスを減らし効率的な業務運営が可能となります。
このように、請求書発行ソフトの導入は、業務の効率化を劇的に促進し、企業の作業負担を大幅に軽減する効果があります。また、手動での転記ミスや手入力によるミスも防げ、請求書処理にかかる時間とコストの削減にもつながります。請求書発行ソフトの使用は、特に大企業だけでなく、中小企業やフリーランスにも高い効果をもたらすでしょう。適切なソフトを選ぶことで、業務プロセスをさらに最適化し、より一層の業務効率向上を実現することが可能です。
正確性の向上/人的ミスの削減
請求書発行システムを導入することで、正確性が向上し、ミスが減少します。手作業による請求書作成は、入力ミスや計算ミスが発生しやすいからです。自動化システムを使用することで、人為的なミスを防ぐことができます。
例えば、依頼した金額がシステム上で自動的に計算され、税金や送料の計算も自動化されることで、計算間違いが減少します。また、顧客データの一元管理により、重複請求や誤発送も防止できます。請求書発行システムを活用して、業務の正確性を向上させ、ミスの削減を実現しましょう。
キャッシュフローの正確性向上
請求書発行ソフトはキャッシュフローの正確性を向上させます。その理由は、請求書発行ソフトが支払いや収入のデータを自動的に記録し管理することで、現金の流れをリアルタイムで把握できるようにするからです。例えば、ある企業が請求書発行ソフトを導入した場合、全ての支払い期日や収入の予定が一目で確認できるだけでなく、未払いが発生した場合にもすぐにアラートが出る仕組みがあります。このようにして、キャッシュフロー管理が正確で効率的になります。
請求書発行ソフト導入の注意点
新たなIT製品の導入には一般的に、初期費用や運用費用などのコストが発生します。特に小規模なビジネスの場合、これらのコストは負担となってしまうかもしれません。システムの導入コストや運用コストが過大になると、自社の経済的負担が増大し、他の重要な業務に影響を及ぼす可能性があります。
必要以上に要件が多く、機能も多く必要である場合には、導入や設定に時間がかかりその分予算が余計に必要となる可能性もあります。
なお、請求書発行業務にはインボイス制度および電子帳簿保存法の他に、電子署名法、e-文章法などの法律・法令も関係してくる可能性があります。クラウド型製品は多くの場合、業務シーンに関連する法令へ正しく対応できるよう設計、あるいはアップデートで対応する機能を備えます。しかし製品/ベンダーによって、あるいは契約するプランなどによって差が生じる可能性があります。
また、改めてセキュリティとプライバシーの管理体制を確認し、整えることも必要です。自社の顧客情報や取引情報は極めて重要なデータです。セキュリティ対策の考慮が不十分なままであれば、不正アクセスやデータ漏えいのリスクが高まります。
おすすめのクラウド型請求書発行ソフト/製品14選
クラウド型請求書発行ソフトは、多くの企業にとって不可欠なツールとなっています。これらのソフトは、請求書の作成から送信、管理までを効率化し、業務の精度を向上させることができます。ここでは、特におすすめのクラウド型請求書発行ソフトを14製品ご紹介します。(製品名 abcあいうえお順/2024年8月時点)
「無料プランがある製品」あるいは「無料で始められる製品」をお探しの方は、以下の記事も併せてご覧ください。
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