「この深刻な課題を解消したいがなんとかしてくれ」「来年の世界的イベントに間に合うよう、早く対策したい」「導入を検討しているが、自社の業務に合うツールかどうか、機能をきちんと備えているかどうかに不安がある」「まずはお試しで使ってみたい」……などのように社内からいろいろな声が上がり、販売管理システムの検討をし始めている企業も多いと思います。
この記事では、販売管理システムの導入で何が変わるのか、どんな効果を期待できるのかについて、システムの基礎機能、導入効果、選び方のポイントとともにおすすめ製品を紹介していきます。あなたの会社とビジネスに適する販売管理システムを見つけるための一助となれば幸いです。
販売管理システムの基礎知識
販売管理システムは、企業や店舗が製品・商品やサービスの販売プロセスを効率的、効果的に管理するためのIT製品です。以下より、「販売管理」業務とそのシステムの基礎、機能と役割、メリットや効果を簡単に解説していきます。
販売管理とは?
販売管理は、改めてですが企業活動に極めて重要な行程です。販売管理を適切に行うことで、製品・商品やサービスの販売行程を最適化し、結果として売上を最大化できます。
販売管理の基本プロセスは、顧客のニーズや世間のトレンドを理解し、購買の可能性がある見込み顧客(リード)を発掘し、既存の顧客およびリードから商談へと進展させ、商談、そして購買・受注へつなげることです。それぞれのフローで各顧客の情報を追跡、管理しつつ、顧客へ見積もりを提供したり、コミュニケーションを取ります。在庫の受発注や在庫レベルの確認、在庫の移動といった行程も発生します。
「販売管理システム」の目的は、これらの行程を「まとめて効率化する」ことです。
なお、販売管理システムは、販売化活動の戦略化に向けたIT製品カテゴリーとして「SFA(Sales Force Automation/営業戦略自動化)」あるいは「CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)に含まれることもあり、また、企業に必要不可欠な経営資源であるヒト・モノ・カネ・情報を一元管理する統合システム「ERP(Enterprise Resource Planning)パッケージ」に含まれることも多いです。販売管理もその一環として総合的に管理されます。
販売管理システムの導入メリット
販売管理システムによって、まずプロセスそのものの効率化が期待できます。
販売管理に必要なさまざまな情報を「データとして一元化」することで、これまで手作業/アナログ作業だった部分を自動化していけます。
在庫や注文、販売データなどもリアルタイムに管理できれば、自社も顧客も、意思決定スピードが高まります。顧客情報を一元管理することで「顧客それぞれ」のニーズを把握した上でサービスを提供できれば、顧客満足度の向上が期待できます。集約する販売状況をデータ分析できれば、将来の需要予測や販売戦略の改善といったことも即、高精度に実施できるようになるでしょう。
販売管理システムの導入事例
弥生顧客:アパレルメーカー「麗」
東京・日本橋にあるアパレルメーカー「麗」は長年日常業務を手作業で行っていましたが、その日1日に販売した商品をノートに分類登録するためだけに2時間もかかっていました。そこで同社は販売管理システムを導入。商品登録を行い、売り上げを計上するとともに、納品書や請求書の発行なども販売管理システム上で実現しました。これにより先のシーズンの商品戦略や企画というマーケティングや、取引先からの問い合わせにも対応可能になりました。
Oracle Cloud Infrastructure:酒造メーカー「旭酒造」
日本酒「獺祭」の蔵元手ある旭酒造は、販売管理システムの強化のため「Oracle Cloud Infrastructure」を導入しました。これによりオンプレミスでのデータ管理からクラウド型へと移行。日本国内・海外の酒販売店や飲食店が利用する販売管理システムもクラウド上で利用できるようになりました。
販売管理プロセスを最適化する方法
販売管理プロセスを最適化するためには、効率性、正確性、および柔軟性を向上させるためのさまざまな手法を採用することが重要です。ここではその方法について解説します。
●在庫管理と効率化
在庫の最適化は資金を適切に使うために重要な行程です。在庫を適切に管理することで、キャッシュフローが正常化され、他の投資や運転資金に資金を割り当てることができます。在庫を適切に管理できれば、商品やサービスの需要に素早く対応できます。また過剰な在庫がなければ商品の陳腐化を避けられます。
JIT(Just-in-Time)は「ちょうど良いタイミングでちょうど良い量」を目指す在庫管理の手法です。必要な商品や材料が必要な時点で、必要な数量だけ生産・供給される仕組みです。JITにより在庫を最小限に抑え、生産プロセスをスリム化できます。在庫不足/過剰在庫が起こらないよう、できるだけ正確な需要予測が求められます。
在庫管理ツールにより、在庫管理や生産計画を一元化し、企業全体の効率を向上させられます。在庫のリアルタイムな追跡とともに、“ある段階になったら自動発注する”といった自動発注機能なども備えます。
●注文処理と迅速な出荷
注文処理の行程は、注文フローの最適化がやはり効率化につながります。注文受付から発送までのプロセスを自動化し、人的ミス/手動エラーをできるだけ減少させる手法が有効です。注文処理を販売管理システムに任せるには、データの一元管理、情報の整合性の確保がとても重要になります。
出荷プロセスも販売管理システムでの自動化が望めます。例えば、倉庫での商品ピッキングとパッキングプロセスの最適化が挙げられます。自動仕分け装置やロボット技術などによる作業プロセスとともに、やはり人的ミス/手動エラーをできるだけ排除することを軸にすることで効率化が望めます。
●データ分析と売上予測
販売管理においては、「自社の資産である蓄積データ」だけでなく、ビッグデータなど使用し、顧客の購買やオンライン行動予測を分析して得られた情報を積極的に活用することで成果を上げる企業も増えています。
例えば、「今現在の」「1月1日15時の」「世界的なスポーツ大会がある日の」などといったような、ごく特定の顧客ニーズを把握し、その獲得に向けて戦略化することも可能となります。
需要予測はBI(Business Intelligence)など別のツールを用い、市況、天候、季節、時事などの多様なデータを取り入れて予測モデルを構築し、分析することで得られます。
おすすめ販売管理システム6選
販売管理システムは、業種や規模別にさまざまな製品があります。ここでは一例として、「まずは試用して確かめたい」「できるだけコストを抑えて導入したい」「まとめてDXを実現したい」企業に向け、業種別おすすめ製品を紹介します。(製品名abcあいうえお順)