デジタル化が進む現代において、「いかに営業活動を効率化するか」は企業の競争力を大きく左右する重要な要素であり、また課題として挙がります。事実に基づく“データ”を軸に実践していく「営業支援システム」の導入により、そんな課題を解消できるかもしれません。本記事では、営業支援システムで実現する効果、導入メリットと主な機能、そして検討ポイントを詳しく解説します。あなたの会社とビジネスに適する営業支援システムを見つけるための一助となれば幸いです。
目次
営業支援システムの基礎知識
営業支援システムとは、企業や組織の営業活動を効果的にサポートし、業績向上を図るためのITツールやソフトウェアのことです。以下より、「営業支援システム」の基礎と機能、役割やメリット、導入と活用で得られる効果を簡単に解説していきます。
営業支援システムとは?
営業支援システムは、ITソフトウェア/SaaS(Software as a Sercice)における一般的なカテゴリとして「SFA(Sales Force Automation)」して分類されます。SFAは「営業部門の営業活動、業務全般を“見える化”し、併せて“自動化”できるようにする」ツールです。近年はAI(Artificial Intelligence:人工知能)を活用して情報の精度向上や自動化をより促進できる機能を持つ製品も一般的になってきています。
営業支援システムの導入により、営業担当者や営業チームが日常的な業務を効率的に進め、また顧客との関係を強化していけるようになります。主な機能に「顧客情報の管理」「商談の進ちょく管理」「見積書や受注の作成」「営業日報の作成、記録、共有」などが挙げられます。
営業支援システムの主な機能と主な効果
営業支援システムが提供する機能や機能は多岐にわたりますが、中でも活用例と期待度の高い主要機能に絞り、解説していきましょう。
- 顧客情報管理
- 営業プロセスの管理と高効率化
- リード管理
- 分析とレポート/ダッシュボード機能
- コミュニケーションツール
- 見積書/請求書類の作成支援
●顧客情報管理
「顧客情報管理」は、顧客の連絡先情報、購買履歴、重要なメモなどを一元管理する機能です。これまで方法がバラバラだった、あるいは営業担当者が個人的に管理していたような重要な情報を、統一したルール、内容に整理した上でとりまとめて記録し、顧客単位の統合的な情報として参照できるようにします。
これにより、属人化されやすい営業活動を「標準化」でき、個々のメンバーが持つ情報を組織内で効果的に活用できるようになります。顧客とコミュニケーションを密にしていく活動も効率化が期待されます。
●営業プロセスの管理と高効率化
一元管理する顧客情報をもとに「営業プロセスをスケジュール化」していくことも可能になります。
例えば、「ある顧客は毎月*日に在庫が切れる」「ある顧客は毎月*日に発注がある」「ある顧客は毎年*月単位で担当者が変わる傾向がある」「*曜日の*時ならばアポイントメントが取れた」といったことが記録されており、共有情報として認識できたらどうでしょう。「その日を想定し、先んじてアクションをとる」「プラスαの期待に応えられるよう提案資料を準備する」「事象に備えて内部体制も各種準備するようチーム間でアラートを共有する」といった、さまざまな対策をとると思います。
このようなことは従来、経験やカン、コツのような個人の能力に委ねられていた要素でした。営業支援システムは、そんな属人化しがちなプロセスも含めてデータ化し、共有できます。タスクや予定などの情報を追跡することで営業活動を組織化し、担当者個人から、チームや管理者も含めて効率的に進ちょくを管理できるようになります。
●リード管理
リードとは「見込み顧客(の情報)」のことです。リード管理は、顧客の基本情報、商談の履歴、成約の確度などを管理、予測できる機能です。
もし「*日にもう一度連絡すると、成約率が上がる」「初期の営業方法ではうまく興味を示してくれなかったが、以前の活動によると**に興味を持つとアンケートで反応してくれた」といった情報が分かればどうでしょう。このような情報も的確に把握できるため、営業支援システムは営業効率を上げ、結果として売上向上にも寄与すると期待できるのです。
多くの製品には、見込み客の購買意欲を高め、検討状況に応じて適切かつ継続的にアプローチするマーケティング活動「リードナーチャリング」の支援機能も含まれます。売上向上に向けた特に大きな要素「新規顧客の開拓」に時間を充てることも可能となるでしょう。
●分析とレポート/ダッシュボード機能
「今日/今」、どの顧客にどんな営業活動をするか。この判断を「支援」「自動化」するための情報を提供してくれるのも販売支援システムの大きな役割です。
具体的には、売上状況、売上予測などを分析した数値などを「ダッシュボード」として視覚化し、また業績やその変化を数値とともに予測、把握、報告、評価、改善していけるように支援します。戦略的な営業活動を強く意識できる重要な情報になることでしょう。
●コミュニケーションツール
営業支援システムの多くには、自社と顧客、あるいは組織やチーム内での連絡や情報共有を効率化するためのコミュニケーションツールも用意されます。例えば、メールの配信、定期連絡や報告共有などがあります。いつ誰に連絡したのか、顧客からどんな反応や要望があったのかなど、属人化しがちな要素をなくせます。
●見積書/請求書類の作成支援
営業担当者にとって、見積書、請求書といった書類は、作成もやりとりも、管理も極めて重要なタスクであり、また慎重に正しく進めていくべきフロー、「つまり、それなりに時間のかかる作業」です。
見積書/請求書類の作成は、蓄積する顧客や製品などの情報をもとに、しかるべきタイミングで、しかるべき書類を──見積もりならば見積書、受領を確認したら納品書を作成し、併せて上司への承認や実送付、書類管理などのフローなどまでカバーしてくれる機能です。顧客にとっても、自社にとっても、効率的な取引プロセスを可能にします。
以上、これらの機能は企業のニーズや業界、規模などによって異なる場合はありますが、営業支援システムの導入によって、総じて組織の営業プロセスを最適化し、生産性を向上させることが期待されています。
営業支援システムの導入で得られるメリット
営業支援システム、SFAは、企業や組織に多くのメリットや効果をもたらします。その中でも特に大きな効果/メリットは何でしょう。以下に3つ挙げます。
- タスクを効率化・自動化し、生産性が向上する
- 顧客関係性をさらに高められるようになる
- 事実/データに基づく分析と意思決定を促進できる
(1)タスクを効率化・自動化し、生産性が向上する
営業支援システムは、営業担当者が業務をより効率的に遂行できるように強力に支援します。
具体的には、顧客情報や営業プロセスの管理から、タスクのスケジューリング、リードの追跡などを「自動化」できるようになります。このことは、「これまで手作業でかかっていた時間」や「人的ミス」の減少、削減を実現するでしょう。
結果として、担当者はより多くの時間を「顧客との関係構築」や「戦略的な営業活動」に充てられるようになり、生産性の向上が大きく期待されます。
(2)顧客関係をより向上できる
営業支援システムは、顧客情報を一元管理し、営業担当者がより的確かつ効果的なコミュニケーションを構築できるようにサポートします。
例えば、顧客との会話において、リアルタイムで「データへアクセス」できたり、「傾向分析機能」を“即”活用できたりするとどうでしょう。「顧客のニーズを的確に理解し、提案できる」ようになります。結果として「顧客からの信頼度や満足度を高められる」ことになるでしょう。
(3)事実/データに基づく分析と意思決定を促進できる
営業支援システムは、営業活動に関連するデータを収集・分析し、リアルタイムでレポートを生成し、また共有できる機能を持ちます。
この情報は、自身やチームや組織はもちろん、経営陣や組織の管理者にとって「効果的かつ迅速に意思決定するために必要な情報」でもあります。営業のトレンドや成功した戦略を把握し、これをもとに戦略の改善や最適化を行うことができます。データ駆動型のアプローチは、持続可能な成果の向上に寄与します。
これらのメリットは特に、企業にとって営業プロセスの改善や効率化を図り、競争力を強化するうえで非常に重要といえるでしょう。
営業支援システム導入時の主な注意点
営業支援システム/SFAシステムの導入を検討するにあたり、企業のプロジェクト担当者はまず何を準備しておくとよいでしょう。まずは、どの規模、業種の企業も該当し、事前準備を始めてほしい基礎の基礎ポイントを3つ紹介します。
- SFA導入の目的と自社のビジネスプロセスを明確にする
- 製品の特徴・機能の理解と収集すべき情報を明確にする
- 導入後の運用体制を整える
(1)SFA導入の目的と自社のビジネスプロセスを明確にする
「導入の目的を明確にする」ことは、どんなITシステム/SaaSにおいても共通する準備事項です。具体的には、自社に「どんな課題や目的」があり、それを「どう改善したいか、効果を望むか」をできるだけ多く棚卸ししていきましょう。
今回は、営業支援システム/SFAの導入で実現する機能や期待できる効果と「自社のニーズ」と合わせていくことになります。とくに、「自社のビジネスプロセスを理解する」は、全社的に、部門や組織を横断して目的や要望を明確にリストアップし、定義化していく工程になるでしょう。
この作業は時間と労力がかかるかもしれません。しかし、ここが明確になっていれば、後の製品やベンダーの選定が容易になり、またベンダーも具体的に理解しやすくなります。一緒にプロジェクトを伴走する大きな力になりますし、導入後の活用もスムーズになり、何より無駄なコスト発生を避けることにもなるでしょう。
(2)製品の特徴・機能の理解と収集すべき情報を明確にする
「収集すべき情報」とは、(1)の準備を分解し、収集すべき「情報と範囲」や「目標」を明確にしつつ、製品を検討、選定していく作業です。「自社にはどんな情報があるのか/どんなビジネスフローで進んでいるか」の棚卸しし、導入目的を具体的に定めていくとよいでしょう。
営業プロセスやニーズは企業それぞれ異なります。「その後の選定・導入フロー」で、導入したい営業支援システムが企業の要件と合っているかどうかを見極めていく作業がとても重要となります。システムの柔軟性やカスタマイズ可能な機能が十分であるか確認し、必要に応じて調整できるかどうかを検討していくイメージです。既存のシステムやデータとの統合がスムーズに行えるかどうかも重要なポイントです。
目的と要件を具体的に設定することで、システムのパフォーマンス評価、システムの適合性やカスタマイズの要不要観点を考察するといった、その後の選定・導入フローもスムーズに進むことでしょう。
(3)導入後の運用体制を整える
最後に、ITシステムは利用者が適切に、かつ積極的に活用して効果を発揮します。利用者は「単なる使い方」だけでなく、目的と利点を理解した上で「使いこなす」ことではじめてシステムを最大限に活用するようになります。
利用者に向けたトレーニング体制は「導入後、社内向け」のことになるので、導入検討時点で後回しとなったり、社内向けだから適当でいいやなどと軽く見て、導入間際や導入直後に焦ったりしがちです。想像以上に期間やコストが掛かることも多々あるので、十分に余裕をもって初期段階で忘れずに検討しておいてほしい事柄です。
営業支援システム/SFAは、「目的と得たい効果を明確にする」ことが導入成果実現への近道
以上、デジタル化で営業活動を強力に支援する「営業支援システム/SFA」の効果と、実際に導入検討を進めていく上で準備しておくべきポイントを解説しました。
システムを選ぶ際には、総じて自社のニーズに合った機能を優先したうえでコスト対効果をじっくり検討し、他のシステムとの連携やUI/UXの利便性、ユーザーへの教育体制なども事前に評価することが大切です。新システムを導入することで、「効率向上」「コスト削減」「データドリブン型の戦略を実現できる」といったビジネス成長の効果も期待できます。
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