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クラウドシステムとは? クラウド型製品・サービスの種類と仕組み、ビジネス成果・導入メリットを分かりやすく解説

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ITセレクト編集部

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「クラウド、クラウドとよく耳にするけれど、実は……どんなものなのか実際のところよく分かっていない……」とお悩みの人もいるかもしれません。昨今、特にSaaS型のIT製品は、多くの企業が導入し、「ビジネス成果を出し」ています。しかし、いざ自身が検討する/導入するとなると難しく感じてしまうものです。

本記事では、改めて「クラウドシステムとは何か」を確認するとともに、特にSaaS型製品についての概要、導入成果とメリット、そして導入の仕方について、できるだけシンプルに「第一歩」を踏み出せるよう解説していきます。

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クラウドシステムの基礎知識

クラウドシステムとは、クラウドコンピューティングの技術を使ったシステム全般のことです。クラウドコンピューティングとは、インターネット経由でさまざまなコンピューティング環境──例えば、サーバ、ネットワーク、プラットフォーム、ストレージ、ソフトウェアなどを“仮想的”に利用できる技術、またはそれらのサービスを指します。

インターネットに接続できる環境と適当な表示操作デバイス(いつも使っている業務用PC、あるいは自宅やネットカフェ、別事業所など別の場所にあるPC、さらにはスマホやタブレットなど)があれば、ほかに「物理的なモノ」を購買、用意せずとも、「サービス」としてすぐに利用できる利便性と拡張性の手段を得られることが大きな特長です。

クラウドシステム/サービスとして提供されるものには、チャットやメール、オフィスソフトなどの身近なものから、経理システム、営業戦略管理、受発注システム、顧客管理システム、自社のすべてのデータや業務ツールを統合する基幹ソフトウェア、アプリケーション開発環境、OS、プラットフォーム、サーバやストレージなどまでさまざまあります。これらを「クラウド化」することで、売上向上、効率化、確実性、早さ、信頼性、“DX(デジタルトランスフォーメーション)”の実現など、さまざまなビジネス成果の実現が期待できます。

(基礎知識)クラウドで何が変わるのか

クラウドとは何か──から想像しにくい場合、まずSaaS型(後述)については、多くの人がプライベートでも日常的に使っているGoogleが提供する各種サービスを想像してみてはいかがでしょうか。

Googleのサービスには、メールソフト(Gmail)、地図ソフト(Google マップ)、オフィスソフト(Googleドキュメント、Google スプレッドシート、Google スライド)、動画再生ソフト(YouTube)、ビデオ会議/チャットソフト(Google Meet)、オンラインストレージ(Google ストレージ)、スケジュールソフト(Google カレンダー)などがあるのをご存じと思います。

それらは「Webブラウザでアクセスするだけ」ですぐ使えます。インターネット環境さえあれば、会社のPCでも、手元のスマートフォンでも、自宅のPCでも、使うデバイスは何でも大丈夫です。

ひと昔前は……これらの各ソフトウェアを「モノ」として購入し、それぞれをPCへインストールして、ソフトを個別に起動して使っていました。しかも多くの場合、インストールしたPCでしか使えませんでした。こんなひと昔前の方法を振り返ると、クラウドサービスによって時間も手間も、導入のしやすさも、劇的にといえるほど便利に、多彩に使えるようになったのではないでしょうか。

この利便性を、その他の業務システムやツールにも、そしてハードウェア環境まで「サービス」として利用できること、これがクラウドコンピューティングの大枠な概念、そして利点となります。

クラウドシステムの定義

クラウドシステムは利用形態によっていくつかに分けられます。

1つ目は「パブリッククラウド」。パブリック、つまりインターネット上で提供、公開されている一般的なクラウドシステムやサービスのことを指します。

2つ目は「プライベートクラウド」。クラウドの技術を活用しつつ、閉じた/社外などには出ないネットワークの中で、特定のユーザーが占有して利用するタイプのクラウドシステムのことを指します。

3つ目は「ハイブリッドクラウド」。パブリッククラウドとプライベートクラウド、それぞれの機能をニーズに応じて使い分ける/組み合わせて構築するクラウドシステムのことを指します。

クラウドシステムの現状

クラウドシステムが発展し、普及した要因の1つには、やはりインターネット技術の向上が挙げられます。技術の発展とともに通信速度やデータ容量の課題が改善されました。これにより、物理的なモノではなく、「サービス」として利用できるクラウドシステムが浸透していきました。

総務省資料「令和4年 通信利用動向調査報告書(企業編)」によると、調査対象5965社のうちクラウドコンピューティングを「全社的に利用している」と回答した企業は全体の44.8%、「一部の事業所または部門で利用している」と回答した企業は27.3%。全体の7割以上の企業が、日常的にクラウド型サービスを利用しています。

参考 総務省情報流通行政局│令和4年 通信利用動向調査報告書 (企業編)

クラウドシステムの種類

クラウドシステムは、大きく以下の3種類に分けられます。

  • SaaS
  • PaaS
  • IaaS

SaaS

SaaSは、Software as a Serviceの略語で「サース」と呼びます。「ソフトウェアの機能」をサービスとして提供します。これまでソフトウェアパッケージとして購入し、インストールして使っていたソフトウェアの「機能」を「専用のページへ、ブラウザでアクセスするだけ」で利用できる環境を提供します。

PaaS

PaaSは、Platform as a Serviceの略で「パース」と呼びます。SaaSのソフトウェア部分より下の層である、システムを開発、稼働させるのに必要な「プラットフォームとなるミドルウェア、OSなどの機能」をサービスとして提供します。

IaaS

IaaSは、Infrastructure as a Serviceの略で「イアース」または「アイアース」と呼びます。PaaSより下の層であるサーバ、ネットワーク、ストレージといった「インフラストラクチャー(基盤)」をサービスとして提供します。

クラウドサービスの種類別管理範囲

クラウドサービスの種類別管理範囲

クラウドシステムが注目される背景

企業の間でクラウドシステムの導入が進んでいる背景は、以下の3つの理由が挙げられます。

1つ目は「初期投資を抑えられ、“短時間”で導入できること」。従来のオンプレミス型システムでは、サーバーやネットワーク機器などのハードウェアも含めて自社で購入し、構築し、管理する必要がありました。クラウドシステムではこれらハードウェア部分をクラウドサービスの提供企業(SaaSベンダー)が管理します。そのため、高額で手間もかかる初期投資が不要となり、またシステムの運用コストも大幅に削減できます。

2つめは「場所や時間を問わずアクセスが可能なこと」です。インターネット環境と適当なデバイスさえあれば、社内外問わずどこからでもシステムを利用できます。これにより、リモートワークやテレワークの推進、業務の効率化が可能となります。

このことは併せて「BCP」対策にも有効です。BCP(事業継続計画)とは、災害や事故など予期せぬ事態が発生した際にも、自社としてその影響を最小限に抑え、自社のビジネスを継続する(可用性の)ための計画のことです。

クラウドシステムはインターネット環境さえあれば、どこからでもアクセス可能です。これにより、仮にオフィス/事務所が使えない状況でも自宅や避難先などから業務を続行できます。またクラウドサービスのデータセンターは通常、複数の地域に分散して配置されています。そのため、特定の地域に災害が発生した場合でも他の地域のデータセンターが稼働し続けるためデータの喪失リスクを大幅に減らすことが可能です。クラウドサービスではシステムの運用・管理をベンダー側の専任担当者が行います。これにより定期的なバックアップやセキュリティ対策が契約に沿って適切に行われることから、万が一の事態にも迅速に対応できる体制をより強固にできるといえます。

最後に「システムの拡張やアップデートが容易で柔軟で、ビジネス環境の変化に迅速に対応できること」もクラウドシステムの大きな特長です。必要に応じて容易にシステムをスケールアップ・ダウンでき、最新の機能やセキュリティ対策を常に利用することができます。

これらの理由から企業のITシステムとしてクラウドシステムが注目され、その導入が進んでいるのです。

クラウドシステムの主な効果

クラウドシステムを導入することで、どのような効果が期待できるのでしょうか。効果の例として挙げられるのが「コスト削減」や「柔軟性」「データ管理におけるセキュリティの確保」などです。以下で、各効果の詳細を解説します。

コスト削減

クラウドシステムは、従来のオンプレミス型システムに対して、自社でサーバを購買、構築、設置、保守を行う必要がなくなります。特に、高額になるサーバ/ハードウェアのコスト全般の削減に寄与します。調達する手間や時間がかからないことも大きいです。1ユーザーあたり月額数百円~数千円で利用できるクラウドサービスも少なくありませんし、オンラインで手続きし、数回クリックすればさくっとサーバを建てられてしまうくらい時間メリットのあるサービスも多くあります。

柔軟性、スケーラビリティ

クラウドシステムは柔軟性とスケーラビリティ(拡張性)に優れることも大きな利点です。サーバの台数、性能、仕様などもオンラインで、あるいはサービスベンダーに依頼し、さっと設定するだけで拡張できます。また、縮小もできます。必要な機能を任意のタイミングで追加できるので、システムの利用状況や業務内容、ユーザー数の変動に合わせて、柔軟にカスタマイズできます。

データ管理とセキュリティ

サービスを提供するベンダーに「データの保存環境」と「システムのメンテナンスやセキュリティ関連のアップデート」をある程度まで任せられるのもクラウドサービスのポイントです。製品によっては「法改正に伴う」機能追加やバージョンアップなども用意されます。

それに加えて、クラウドシステムは「BCP対策」の観点にも利点があります。BCP(事業継続計画)とは、大規模な災害をはじめとする非常事態時も事業を継続できるように準備しておく計画のことです。クラウドサービスはクラウド上へデータを分散的に保管する体制なども容易に実現できます。あくまで仮に災害などで自社のビルが被害を被ったとしても、データやソフトウェア環境がクラウド上にあるならば事業の継続は可能です。

一般社員目線としても、いつでもどこでも働ける環境を実現できるとともに、クラウド上で業務を進行できるならば、仮に社内のPCやサーバが破損してもデータが消失することもありません。

クラウドシステムの導入メリット

ビジネスの効率化やリモートワークの推進など、クラウドシステムを導入するメリットはさまざまです。各メリットの詳細を、以下でご紹介します。

ビジネス効率化が見込める

クラウドシステムには、チャットツールやオンラインストレージ、バックオフィス業務向けの基幹システムなど多様なツールがあります。自社の業務課題に合ったクラウドシステムを選べれば、業務効率化効果が期待できます。例えば、オンラインストレージサービスやファイル共有ツールを導入することで、時間や場所を問わず必要な資料をすぐに共有・閲覧することが可能です。

リモートワーク/柔軟な働き方を実現できる

クラウドシステムであれば、環境が整っていれば場所・時間問わず業務を進められます。例えば、クラウドタイプのオンラインストレージを導入することで外出先からでも必要な資料をダウンロードすることが可能です。クラウドタイプのチャットツールやオンライン会議ツールを使えば、オフィスと変わらない環境で業務を進められるため、リモートワークの推進にも役立ちます。

イノベーションを促進できる

クラウドシステムは、事業のイノベーションを促進するツールにもなり得ます。例えば、Amazonが提供するクラウドツール「AWS」は、配送手段を効率化する自律移動ロボットロボットや顧客からの注文を効果的にオペレーションする物流拠点の最適化にも関わっています。こうしたクラウドシステムは、Amazonだけでなく金融業界やソフトウェア業界などの業界でもイノベーションの足がかりとして活用されているのです。

コスト削減を実現できる

クラウドシステムは初期投資が少なく、必要に応じてリソースを拡張・縮小できるため、運用コストが削減されます。また、ハードウェアの保守や更新にかかる費用も不要となり、総コストが抑えられます。

データの安全性向上を図れる

クラウドプロバイダー(クラウドサービスを提供する事業者)は高度なセキュリティ対策を施しており、データのバックアップや災害復旧のようなメニューが含まれていることも多いです。このため「自社のみ」でそれらの対策を行うより、結果としてデータの安全性を高めることができ、リスク管理が強化されます。

スケーラビリティと柔軟性を実現できる

クラウドシステムは必要に応じてリソースを迅速に拡張・縮小することが可能で、ビジネスの成長や変動にも柔軟に対応できます。これにより、企業は無駄なリソースを持たず、効率的に運営できます。

導入ハードルが低い

クラウドシステムは従来のオンプレミスシステムと比べて、初期設定や導入プロセスが迅速で簡単です。専門的なハードウェアやインフラの準備も不要です。そのため中小企業でも手軽に導入でき、即座に利用開始が可能です。

クラウドサービス導入の注意点

クラウドシステムを導入するにあたり、留意しておきたいのがセキュリティ対策やデータ移行に関することです。また、クラウドサービスを提供する会社(ベンダー)をどこにするかも「今後の成長、成果の創出」につながるかのポイントになります。

セキュリティ対策

クラウドシステムでは、インターネットを介してデータをやりとりします。設定の不備やセキュリティ意識の低下などにより、情報が漏えいする可能性はあります。

基本的なセキュリティ対策やアップデートはベンダーが行ってくれるとはいえ、自社の重要なデータですから、自社は何もせず/何も考えずにお任せで、とはいきません。ユーザーのセキュリティ意識が低ければこうした事故につながります。ベンダーのセキュリティ対策に着目することはもちろんですが、十分な教育や研修を通して社員全体のセキュリティ意識を高めることも重要です。

データの移行、統合

既存のデータをクラウドシステムへ移行させる場合は、移行させる目的やゴール、移行するデータの範囲などを明確にする必要があるでしょう。これらの指標や要件があいまいなままでは、新システムへ移行した恩恵が想定より得られないことは起こり得ます。逆に指標や要件が明確ならばサービスを提供するクラウドベンダーも協力、伴走といった力になってくれることでしょう。

ベンダー/パートナーの選定

クラウドサービスの選定は、初期費用やランニングコスト、導入から運用開始までの期間を基準にするのが基本です。

併せて、製品サービス事業者(ベンダー)の選定もかなり重要です。ベンダーによってサービスの利用料金・プランや契約期間といった条件は異なります。例えば、トラブル対応の内容や定期メンテナンスなど導入後のアフターサービスメニューにも着目しましょう。導入サポートやデータ移行サービスなど、オプションサービスの有無もチェックしておきましょう。

このように、サービス内容を比較検討していくつかまで絞りつつ、不明点があれば遠慮なくベンダーに問い合わせましょう。自社の要件が明確ならばベンダーも的確な回答とともにきっと親身になってくれますし、成長や成果創出に向けて伴走してくれるパートナーとなってくれることでしょう。それに応えられないベンダーならば……縁がなかったと判断もしやすくなります。

クラウドシステム・製品のベンダー/パートナーを選ぶポイント

セキュリティとコンプライアンスの観点

クラウドシステムを選ぶ際の最重要ポイントはセキュリティです。データの暗号化、アクセス制御、脆弱性管理などがしっかりしているかを確認しましょう。また、業界標準や法規制に適合しているか(例えば、GDPR、HIPAAなど)も重要です。これにより、企業のデータが安全に保護され、法的リスクが軽減されます。

サポートとサービスレベルの観点

選定するベンダーが提供するサポート体制やサービスレベルも重要です。例えば、24時間365日のサポートが提供されているか、障害時の対応速度や解決能力が高いかなどを確認しましょう。また、SLA(サービスレベルアグリーメント)で稼働率や応答時間が保証されているかも重要です。これにより、システムの安定運用が確保されます。

スケーラビリティと柔軟性の観点

ビジネスの成長や変化に対応していけるよう、スケーラビリティと柔軟性も考慮が必要です。選定するクラウドシステムがリソースの拡張や縮小に柔軟に対応できるか、また他のシステムやアプリケーションとの連携が容易であるかを確認しましょう。これにより、将来的なニーズに対応できるシステムを構築できます。

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