MAツールとは、見込み客の獲得から育成、リードの抽出を自動化し、マーケティング活動を自動化するツールです。BtoBだけでなくBtoCのマーケティングでも広く利用されており、いまや企業のマーケティングにおいて無くてはならない存在となっています。
上手く使えば大きな成果をだせる一方、導入の仕方によっては期待した効果が見込めない場合があります。この記事では、効率のいいマーケティングを実現するためには、どのような点に注意して導入すればいいのか、MAツール導入のメリットと注意点、導入の流れ、おすすめの9製品(2024年9月時点)をご紹介します。
目次
MAツールの基礎知識
MAツールは、業態や事業規模を問わず、多くの企業が採用をすすめています。MAツールとはどのようなツールで、なぜマーケティングにおける必要性が上がっているのでしょうか。
MAツールとは?
MAツールとはMarketing Automationツールの略称です。新規の見込み客(リード)獲得から育成後、見込み度別に選別し、成約の見込みが高い顧客を獲得します。それぞれの過程は自動化されているため、少ない労力で効率良く顧客を獲得できることを特徴とします。
MA ツールとCRM、SFAの違い
MAツールに近い役割のツールとして認識されているのがCRM、SFAです。いずれも顧客の管理に関するツールですが、それぞれ別の役割を持つツールであり、強みとする領域は若干異なります。また、いずれかの製品に機能が包括されていることもあります。
MAツールは新規顧客獲得のためのマーケティング活動を自動化し、効率よく見込み客を獲得・育成するためのツールです。管理対象は取引が始まっていない見込み客であり、顧客との最初の接触から顧客の獲得までを支援します。
CRMは「Customer Relationship Management」の略称で、日本語では顧客関係管理と訳されます。すでに取引が始まっている顧客(=Customer)を管理するためのツールであり、顧客ごとの交渉履歴などを記録する情報管理や、顧客情報の分析を通じた顧客満足度の向上を目的としています。
SFAは「Sales Force Automation」の略称であり、営業支援と営業の自動化/見える化を目的としたツールです。MAツールに対し、主に商談の開始から受注までのプロセスを管理・営業活動の進捗管理や効率化をサポートします。商談の進行状況を見える化し、営業チーム全体の効果的な営業活動が可能になります。
MAツールが必要とされる背景
MAツールが多くの企業に必要とされるようになった背景は多岐にわたりますが、特に代表的な理由として挙げられるのが、技術の普及に伴う「マーケティング活動の多様化」です。インターネットの普及や市場のニーズの変化にともない、各企業はマーケティング活動に力を入れる必要に迫られています。顧客の購買プロセスが変容し続ける時代において、取得したログデータを管理・分析し、効率のいいマーケティングを行うためにも、ツールを活用したオートメーション化が求められ続けています。
MAツールの主な機能
一般的なMAツールには、以下のような機能が搭載されています。
見込み客の管理機能
展示会やセミナー、広告経由などさまざまな経路で獲得したリードのリストを管理する機能です。この管理対象は新たに獲得した新規の見込み客に限られており、過去に取引があった企業や今も取引が継続している顧客は通常CRMツールによって管理されます。
アクションの配信・送付機能
管理機能で一元管理した見込み客リストに対してメールなどを配信する機能です。見込み客は獲得経路や属性、獲得からの時間などによって求める情報が異なるため、それぞれのフェーズにあった情報を配信する必要があります。
メールマガジンのような同一内容の一斉配信だけではなく、顧客の行動に合わせたステップメールや、特定の顧客に狙いを定めて送るターゲティングメールなど、配信するメッセージの種類はさまざまあります。それらを組み合わせて戦略化できます。
Webページ作成機能
MAツールの中には、LP(ランディングページ)や登録フォームといったWebページを生成する機能を持つものもあります。顧客との接点の1つとなるWebページの設置は、Webマーケティングに必須の要素です。
スコアリング機能
MAツールは、リードが受注に至るまでの確度を数値として算出する「スコアリング」ができます。メルマガの開封や広告のクリック、資料請求といった行動データなどに点数を付けることで、商品に対するリードの興味関心の高さを客観的に評価できるようになります。
レポート機能
MAツールには、蓄積されたデータを分析し、現状のリードの状態を客観的にまとめるレポート機能が搭載されています。企業ごとのアクションが可視化できるため、次に打つべき施策の判断に役立ちます。
他ツールとの連携機能
MAツールには、出稿中の広告やSNSと連携し、それぞれの施策効果を分析する機能が備わっています。近年は出稿できる媒体や利用可能なSNSの数が増加しているため、手広く対応しようとするほど人力での管理が難しくなっていきます。MAツールならば、それぞれの施策の効果を自動的に分析し、力を入れるべき効果的な施策を判断しやすくなるでしょう。
MAツールを導入するメリットと注意点
MAツールは企業の規模や業態を問わず、多くの企業が導入するメリットを感じられるツールといえます。自社の規模や集客手法にあった使い方ができれば、マーケティング活動が多様化する現代においても、リード数や受注率の向上が期待できます。
MAツールを導入する主なメリット
MAツールの重要性はマーケティング活動の効率化にあり、そのために必要な機能が豊富に搭載されています。
核心ともいえるのがデータ分析機能です。リードの行動にあわせたアプローチを選択できるため、無駄のない効率的な顧客獲得が可能となります。
また、情報共有がしやすくなることで、営業部門とマーケティング部門が同じリード情報を共有し、それぞれの立場からのアプローチを行えます。このことで、見込み客の取りこぼしの防止につながります。さらには、MAツールを使用することで、業務フローが自動化とともに均一化できるため、業務の属人化を防げるのも大きなメリットです。
MAツールを導入する際の主な注意点
MAツールはマーケティング活動に与える影響が大きい一方、導入には一定の費用がかかります。長期間使用し続けることが前提のシステムであるため、ランニングコストの積み重ねが企業の財政状態を圧迫するリスクはあります。
また、効果的に運用するには人材教育が必要になるため、ヒューマンリソースが圧迫される可能性も無視できません。さらには定期的な施策の見直しも必要になるため、導入前に考えていたよりも手間がかかる印象を持つ人も少なくないでしょう。これらの注意点を踏まえ、解決できる体制を整えて導入を進めましょう。
自社に合ったMAツールを選ぶポイント
マーケティング活動の効率化がMAツールの主な目的ですが、ツールによって搭載する機能は異なります。期待する成果を上げられるよう、自社にあったツールを選びましょう。
自社のビジネスモデルに適した機能を持っているか
MAツールに搭載されている機能は製品ごとに異なりますが、大きくBtoB(対企業)向けとBtoC(対消費者)向けに分類されます。
多くのBtoB向けツールは、法人顧客の情報や案件の管理、名刺情報の集計と共有といった機能に特化しています。あくまで企業単位での取引を前提とした情報管理を行う点が特徴的です。
一方、BtoC向けツールは管理する情報が個人単位となり、購買履歴の管理やSNS・広告との連携機能に強い傾向があります。BtoBに比べ単価が低く、短い購買プロセスの管理に最適化されています。
ターゲットによって必要とされる機能が異なりますので、MAツールを選ぶ際には、自社の課題解決にあった機能が搭載されているか確認しましょう。
他のツールや外部システムと連携できるか
MAツールの効果を最大化するためには、CRMやSFAといった他のツールとの連携が不可欠です。いずれかのツールで獲得した顧客データを共有し、それぞれのフェーズにあったアプローチができるよう、自社で使用している他のシステムとの連携ができるか確認しておきましょう。
予算内で希望の機能を搭載できるか
MAツールには豊富な機能が搭載されていますが、全業態ですべての機能が必要なわけではありません。機能が増えるほど導入や継続使用のための必要なコストが上がるだけでなく、機能を使いこなすための社員の学習コストも引き上がる可能性があります。
MAツールは価格帯ごとのラインナップも豊富ですので、予算内で自社に必要な機能を使えるツールを選びましょう。
データの量や保有期間は適切か
MAツールで扱うデータ量は、BtoBとBtoCで大きく異なります。BtoBにおけるリード数は数千~数万件であるのに対し、BtoCでは数万~数十万件まで増えることも珍しくありません。
データ量が増加すると管理コストが増えるだけでなく、異なる管理手法が必要になる場合があります。また必要な保有期間が長ければ、管理にかかるコストも比例して増加します。自社のビジネスモデルやマーケティング手法に最適であるかという点も、MAツールを選ぶ際には重要な視点です。
サポート体制が充実しているか
MAツール使用中のトラブルシューティングの方法は、事前にある程度決めておくべきです。ベンダーから十分なサポートを受けられない場合、トラブルが起きるたびに業務がストップするおそれがあります。
手厚いサポートを受けられるのであれば安心ですが、ベンダーによってはサポートを最小限にしてコストを抑えていたり、サポート費用を別メニューで設定したりする場合があります。また、サポートを受けるための前提知識を社内に蓄えておく必要もあるため、スタッフへ教育する必要があるでしょう。
導入前には、必要なサポートレベルの選択と社内体制の構築も視野に入れた検討を行う必要があります。
ITセレクトおすすめのMAツール9選
(製品名abcあいうえお順/2024年10月時点)
Adobe Marketo Engage
月額 / 初期費用 | 要問い合わせ |
マーケティング対象 | BtoB、BtoC |
主な機能 | ・リード管理
・リスト作成・管理 ・コンテンツの自動提供 ・セグメント、スコアリング ・メールマーケティング ・LP・フォームの作成 |
システムの特徴 | ・AI予測による適切なコンテンツの提供
・注目度の高いリードを検出しアラートを発出 |
無料トライアルの有無 | 要問い合わせ |
主な特徴 | Adobe Marketo Engageは、アドビ社が提供するMAツール。一般的なリード管理に加え、詳細に管理されたセグメントごとに一部文言を変えたメールを送信できるなど、細かいリードナーチャリングが可能です。直前にフォームに入力したユーザーなど見込みが高いリードを自動的に検出し、関係者にアラートで周知する機能がある |
ベンダーのWebサイト | https://business.adobe.com/jp/products/marketo/adobe-marketo.html |