「案件」を増やして、ビジネスの効率化と顧客満足度向上を同時に、効率よく実現したい、商談を効果的に進めたい──。そんな需要を満たすITツールの1つに「案件管理システム」があります。この記事ではクラウド型システムを前提にした「案件管理」の基本、主な製品カテゴリー、導入で実現するメリット、導入の注意ポイント、おすすめの選定方法までを詳しく紹介します。あなたの会社とビジネスに適する案件管理システムを見つけるための一助となれば幸いです。では、早速確認していきましょう。
目次
案件管理の基礎知識
案件とは、ビジネスにおける「取引先から依頼された仕事」を指します。端的には、この案件を「増やす」「管理する」ことがビジネスの成長や躍進につながることは皆さんもよく分かっていることでしょう。以下より、「案件管理」の基礎、機能と役割、メリットや効果を簡単に解説していきます。
●案件管理とは?
案件とは「取引先から依頼された仕事」のことです。この案件を効果的に管理していく行程が「案件管理」となります。
例えば、営業担当者が顧客から問い合わせや見積もり依頼などを受けたとます。その依頼を担当者個人の経験やコツ、勘だけで受注し、その後のフォローなどまで一人で進めてしまえる敏腕営業担当者ならばともかく、現実ではチームや部、組織単位でその案件を獲得する戦略を練って進めています。
この案件を効率よく管理していくためのIT製品が「案件管理システム」です。一般的なIT製品カテゴリーとして「販売管理システム」とも呼ばれます。案件情報を適切に管理することで、「顧客との信頼関係をより深く築ける」ようになる。案件管理システムの導入で得られる効果と成果はここにあると言えます。
●案件管理を行うべき理由
案件管理の基本は「顧客情報や進捗状況などの情報を一元管理」し、営業担当者、チーム、組織など同士で「情報を共有し、活用できるようにする」ことです。
案件管理を適切に行うことで、前述した敏腕担当者のような「属人化」した活動ではなく、チームプレイの意識で顧客の情報や状況、ニーズを正しく理解し、活動できるようになります。こうしていくことで「顧客との信頼関係を築くことができる」「取引先からの問い合わせや見積もり依頼などに対して、スピーディーに対応できるようになる」「営業状況を可視化し、その後の分析や改善に役立てられる」「成約率を高める」といった効果や成果につながります。
●案件管理における重要性
案件管理は、ビジネスにおいて非常に重要な役割を果たします。
営業担当者同士、あるいはチームや組織も横断して情報を共有できれば、顧客対応がスムーズになります。顧客とより深い信頼関係を築けるようになりますし、どこよりもスピーディーに対応できるならば、ビジネスチャンスを逃すことも少なくなります。
また、営業活動をデータとして分析し「受注率が低ければ、見積もり作成時の問題点を洗い出して改善する」などといった戦略も取れるようになります。
「案件管理」を実現するIT製品カテゴリー
「案件管理」のためのITシステム/ソフトウェアには、一般的な分類として呼ばれるIT製品カテゴリー名がいくつかあり、少し分かりにくいかもしれません。ここでは、案件管理の機能を包括しつつ、一般的に分類されることが多い「IT製品カテゴリー名」をいくつかひもといて説明します。
販売管理システム
「販売管理システム」は、企業の販売活動を支援するシステム/ソフトウェアです。主に、受注、発注、入荷、出荷、売上、請求、入金などの業務を一元管理できる機能を備えます。
CRM
「CRM(Customer Relationship Management)」は、日本語で「顧客関係情報管理」といい、顧客情報を管理し、顧客との関係を「強化」していくためのシステム/ソフトウェアです。
ERP
「ERP(Enterprise Resource Planning)」は、日本語で「企業資産計画」といいます。企業全体で持っている資産──ヒト、モノ、カネ、情報を1つにまとめて管理し、有効活用していく、「業務プロセスを統合的に管理する」ためのシステム/ソフトウェアです。
SCM
「SCM(Supply Chain Management)」は、日本語では「供給フローの連鎖的管理」を行うシステム/ソフトウェアのことです。供給フローとは例えば製造業において、原材料の調達から、製造、販売までを連鎖的に一元管理する経営手法を指します。
SFA
「SFA(Sales Force Automation)」は、日本語では「営業支援・戦略自動化システム」などと訳されます。これまで個々の報告などで把握・判断していつつも「見えにくかった」営業活動を行う各メンバーの行動、商談の進ちょく状況とその結果などを「見える化」し、営業の効率や成功率、業務改善などを実現するシステム/ソフトウェアのことです。
案件管理システムの導入で得られる主なメリット
販売管理システム、CRM、ERP、SCM、SFAのいずれも、顧客や営業活動の情報を集約して管理するデータを軸に「案件管理」も包括して行う機能を備え、企業の経営効率化や業績向上に寄与しますが、それぞれは若干異なる目的と機能を持っています。それぞれのシステムがどのように企業の業務に適用されるかは、企業の規模、業種、業務内容などによるのも現状です。
ここからは案件管理を行う機能に絞り、「販売管理システム」として導入するシーンを想定して、得られる効果、メリットを解説します。
- 業務効率化
- 情報共有
- 分析による業務改善
(1)業務効率化
販売管理システムを導入することで、案件情報を一元管理し、必要な情報をすぐに見つけることができるようになります。また、チーム全体の進捗状況を把握できるようになるため、チーム全体で業務を把握し、連携していけるようにもなります。
Microsoft Excel(エクセル)/スプレッドシートを用いて既に管理しているとは思います。しかしエクセルは大量のデータや複雑な販売管理プロセスの管理までを行うには限界があります。また、手入力があるならばデータミスが発生しやすく、原則として複数人で共有し、かつ同時に作業するシーンは深く想定されていないために、ファイル破損などによる「データ消失」のリスクも相応にあるでしょう。
その他にファイル単位で作成するものなので、シートの初期製作者や個別作業者の能力や作業状況などに依存する=属人化が加速してしまう可能性も高いといえます。昨今はエクセル、あるいは同等機能を持つGoogle Spredsheetsなどとともに、クラウド型共有ドライブやサービスでの利用を軸に「共有・連携」の問題はなくなりつつありますが、人的ミスに伴うデータ消失でトラブルに発展するリスクは未だ残ります。
(2)情報共有
販売管理システムを使えば、各メンバーの知識やノウハウ、進ちょく管理、タスク管理、顧客管理などをチーム全体で共有できるようになります。例えば担当者変更を行うときもスムーズに引き継げます。営業チームなどとの連携性も高まります。「業務の属人化を防ぐ」効果も大いに期待できます。
(3)分析による業務改善
適切な案件管理を行うことで、営業活動のボトルネックに気付くことができ、活動や業務改善が期待できます。
また、売上予測なども正確に把握できれば営業支援システムとしても機能し、またセールスマネージャーや経営層が自社の次の一手を迅速に検討する、アクションを起こすための意思決定の根拠する、といった経営判断の情報としても大きく機能することになります。
案件管理システム導入時の主な注意点
前述したように、案件管理の効率化を実現するIT製品はかなりたくさんあります。機能、目的や導入規模、範囲に応じて少し異なるので、そもそも自社に合うのは「どのカテゴリー」の製品なのかを定めることから少し難しいかもしれません。まず「自社の目的・希望で、どのカテゴリーの製品が適しているのか、どんな製品を導入するのがよいのか」にお困りでしたら、ITセレクトのコンシェルジュ(無料)に相談してみてください。
ここからは、案件管理システム導入・選定前に定めておきたい「準備ポイント/選び方」を3点挙げていきます。
- 自社の業務内容と規模、目的、要件を整理する
- データの取り扱いとセキュリティ対策の範囲を確認する
- 社員トレーニングの計画と準備を行う
- 無料デモ、無料トライアルを有効に活用する
●自社の業務内容と規模、目的を整理し、「要件定義」する
案件管理システムは、導入する自社の業務内容や規模に合わせて選定する必要があります。「全部入り」もありますが、余計な機能があるならばその分コストも余計にかかってしまいます。逆に「低価格」だけで見れば自社の業務内容と合わず、機能が足りないことも起こり得ます。
まず、自社の業務内容に沿って、導入目的と求める効果を洗い出し、いくつかのベンダーと相談しながら、コストパフォーマンス・ROIの考慮して計画するのが第一歩になるでしょう。
●データの取り扱いとセキュリティ対策の範囲を確認
案件管理システムには、顧客情報や案件情報など、自社とって極めて重要なデータが含まれることになります。そのため、データの取り扱い方の指針策定は「人任せ」ではいけません。極めて注意が必要であり、計画初期段階で熟慮しておくべき要素です。
具体的には、データ漏洩や不正アクセスなどのリスクを最小限に抑えるための適切なセキュリティ対策を計画しつつ、自社のニーズを改めて理解します。この上で、自社の要件として講じられる/支援してくれるシステム・ベンダーを選ぶのが肝要です。
●社員トレーニングの計画と準備
ITシステムの入れ替え、あるいは新たに導入する場合、その利用者=社員にトレーニングを行う必要もあります。システムの操作方法や利用方法を理解してもらい、正しく使ってもらうことで、はじめて新システムの効果的な活用が可能になります。導入後のサポート体制やトレーニングメニューの有無やコストも忘れずに計画していきましょう。
●無料デモ、無料トライアルを有効に活用する
IT製品、特にクラウド型のIT製品は「ハードウェアなどの機材類の調達なしに、すぐ導入できる」利点を生かし、一定期間無料で使える「無料トライアル」を用意するものも多くあります。
実際に製品を「試す」ことで、自社に適しているかどうかを見極めることができます。
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試用を通じ、操作性と機能の過不足を確かめます。特に利用者、営業担当者の感想を集めましょう。最初はこれまでの方法やツールより使い勝手が悪く感じたとしても慣れれば問題ない/むしろよく考えると効果的である、などもあるかもしれません。営業担当者には無料期間を最大限に活用してもらった上で導入の可否を判断していきましょう。
そして、不明点があれば遠慮なく製品のベンダーに問い合わせて回答を得ましょう。(1)で定めた自社の目的や要望が明確ならば、ベンダーもきっと親身になって対応してくれます。また、満足する回答が得らず、それに応えられないベンダー/製品は「縁がなかった」と判断する材料にもなります。
「選び方がわからない…」「製品が多すぎて選べない…」
「料金は結局いくらかかるのかを聞きたいだけなのだけれど…」
「いきなりベンダーに聞くと、営業電話がバンバン来そうなのでそれはちょっと……」
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販売管理システムとともに案件管理の効率化と成果増を目指しましょう
以上、案件管理の効率化に向けた「販売管理システム」の特徴と選定ポイントを解説しました。中小規模までの企業を想定した案件管理選定の基礎とともに、システムを選ぶ際には、自社のニーズに合った機能を優先したうえでコスト対効果を検討し、他のシステムとの連携やUI/UXの利便性なども評価することが大切です。案件管理システムを導入することで、「顧客関係を強化できる」「効率が向上する」「データドリブン型の戦略を実現できる」といったビジネス成長の効果も期待できます。
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