販売管理システムとは、商品の仕入や製造、売買にともなうお金の流れや在庫の変動を管理するためのシステムです。企業が収益を得るためのお金と消費の動きを一元管理し、マーケティングや財務分析などさまざまな領域で活用できるデータを抽出します。
商品別の在庫管理や売買予測、特定の業種特有の商慣習への対応など、さまざまな管理を行いたい企業のニーズに答える販売管理システムは、どのように導入すればいいのでしょうか。今回は販売管理システムの種類と相場、導入メリット、導入事例、そしておすすめ製品をご紹介します。
目次
クラウド販売管理システムの基礎知識
販売管理システムは企業が商品を売買する際のお金の流れや在庫の変動を記録・管理するためのIT製品です。ここでは特にクラウド型/SaaS型製品において、具体的にどのような機能があり、どのような処理が可能になり、成果創出が期待できるシステムなのかを解説します。
●販売管理システムの基本的な機能
販売管理システムは、主に「販売管理」「購買管理」「在庫管理」を効率化するための機能を備えます。
販売管理機能は顧客へ提出する見積書の作成、受注管理、商品の出荷、納品書・請求管理といった商品の販売に関係する一連の流れを詳細に、かつ正確に管理する機能です。
購買管理は商品や製造用の資材の発注、仕入買掛管理、代金の支払い、入金管理など、購買に関係する業務を管理します。
在庫管理は商品や資材の購買や販売により変動する在庫数の管理や、実績分析による必要在庫数の予測を行い、在庫の過不足をなくします。「一元化された正確なデータ」で信憑管理する体制となる利点を生かし、販売管理業務に関連する、仕入管理、インボイス制度をふまえた請求書発行や契約書、電子帳簿・帳票・伝票管理のような他の業務やシステムとも密に連携を図れます。
これらの機能による情報は経営資源の最適化や経営戦略立案のためにも活用されます。例えば、SFA(営業支援ツール)、CRM(顧客関係管理)、あるいは統合基幹業務パッケージであるERPに含まれることも増えています。
●販売管理システムを導入するメリット
販売管理システムの導入により得られるメリットは、「業務フローの効率化」と「データ活用シーンの拡充」です。
紙やExcelなどの表計算ソフトウェアで行っていた旧来の販売管理に比べ、目的と機能に特化したクラウド型IT製品は非確定初期費用を抑えながら、作業に必要な工数の大幅削減と効率化、そして「正確性を高める」成果が期待できます。自動化により人為的なミスを低減でき、再作業やチェックにかかっていた時間などが不要になります。短時間で確実性の高い業務遂行が可能になるでしょう。
またツール上に蓄積された入出庫数や在庫数の変動データを分析することで、受発注や販売の予測がしやすくなり、適切な人員配置や設備投資の計画を立てられるようになるでしょう。
●販売管理システムの選定
販売管理システムは、大きく分けて以下の4種類に分類されます。
販売管理システムの種類 | 概要 |
汎用型 | 業種を問わず幅広い業務に対応 |
複数業種対応型 | 特定業種向けパッケージを組み合わせ可 |
特定業種特化型 | 業界特有の商慣習にも対応 |
販売管理特化型 | 在庫を持たない小規模ビジネス向け |
販売管理システムは企業規模や業界特化機能の有無などにより、カスタマイズ性の幅やサポート体制、製品そのものの特徴が異なることもあります。製品の選定は自社の規模や対応が必要な商習慣の有無などを踏まえて考慮し、解決したい課題に適した機能があるシステムを選びましょう。
CRM(顧客管理システム)、受発注システム、在庫管理システム、帳票システム、請求書発行システムといったように関連機能に個別特化した製品もあります。その一方で、必要な機能があらかじめ統合されている複合型のIT製品も多くあります。
なお、料金/コストを抑えたい小規模シーンやテストケース導入、あるいは機能や使い勝手をひとまず確認したいニーズに向け、製品によっては機能を抑えつつ月額無料で使える「無料プラン」や一定期間(1週間~30日ほど)無料で試用できる「無料トライアル」を用意する製品も多くあります。こういった柔軟性はオンプレミス型ではなかなかできないクラウド型の利点です。特に選定候補の製品に無料トライアルがあるならば有効かつ積極的に活用しましょう。
●販売管理システムの導入事例
楽楽販売×ドミノ・ピザ ジャパン
ピザチェーン店「ドミノ・ピザ」を展開する株式会社ドミノ・ピザジャパンは、直営店舗から本部へのバイクの修理・メンテナンス依頼をFAXで行っていましたが、1日100件にもおよぶ修理依頼を処理する必要があり、システムへの手入力や電話での依頼内容確認などで多くの工数が必要でした。
しかし、販売管理システムを導入後はシステム上で情報を共有できるようになったため、FAXでの依頼が不要に。入力の手間やミスのリカバリーに使う時間がなくなったことで、毎日3時間必要だった作業時間を10分に短縮できました。
販売プロセスを最適化する方法
販売管理システムに期待できる効果のひとつである業務効率化は、どのようなプロセスの最適化により実現できるのでしょうか。ここでは参考として、一般小売業における主要プロセスを挙げて説明します。
- 在庫管理と効率化
- 注文処理と迅速な出荷
- データ分析と売り上げ予測
在庫管理と効率化
まずは在庫管理ツール、在庫管理機能を活用し、社内に抱える在庫数を最適化しましょう。
在庫の過不足を出さず、必要なときに必要な分だけ入出庫する「JIT(Just-in-Time)」型の在庫管理を目指すのが理想です。
注文処理と迅速な出荷
見積書の作成から送付、出荷までのプロセスを販売管理システムで自動化し、顧客へのスピーディな商品提供を可能にします。人力での作業を販売管理システムに任せる範囲が広がるほど、スムーズな出荷が実現しやすくなります。
データ分析と売り上げ予測
販売管理システムに蓄積された売り上げデータを分析し、売り上げ予測を立てることで効率のいい在庫管理が可能となります。無駄な在庫を持たず、売れるときに売れるだけの在庫を確保するには、高精度なデータ分析による予測が求められます。また、分析をすることで今までみえていなかった新たな課題が見つかることもあります。属人化した作業では発覚しなかった課題を解決することで、業務効率にもつながります。
クラウド販売管理システムを活用した「より顧客満足度を高める」方法
販売管理システムを導入すれば必ず課題が解決するわけではありません。ポイントを押えた運用を通じ、販売フローの改善と顧客満足度向上を目指しましょう。
CRM(顧客関係管理)の重要性
販売管理システムとCRM(顧客関係管理)ツールを連携することで、より精度の高い顧客管理が可能となります。CRMで管理する顧客それぞれの対応履歴をベースに顧客のニーズを洗い出し、満足度アップにつながる販売戦略を立てましょう。
カスタマーサポートの改善
顧客体験の向上にはカスタマーサポートの改善が必須です。販売管理システムとカスタマーサポートを連結すれば、商品を購入した顧客を追跡しアフターフォローを行えるようになり、リピートにつながる顧客満足度を獲得できるでしょう。
リピーターの獲得とファン度(顧客忠誠度)向上
顧客満足度が向上すると、顧客のロイヤリティ(忠誠度)の向上が期待できます。商品ではなく企業のファンともいえる顧客は、売り上げを支えてくれる大事なリピーターになりますので、顧客と企業の関係を強化するキャンペーンを展開しましょう。
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