SFA(Sales Force Automation)は、営業部門における情報管理や業務プロセスを自動化し、営業活動を促進するための営業支援システムです。近年では規模を問わずに多くの企業が積極的に導入を進めており、効率のよい営業活動を実現しています。SFAの導入にはどのようなメリットがあり、また注意しなければならないポイントがあるのでしょうか。今回はSFAの役割と導入のメリット、導入時の注意点とともに、おすすめ14製品(2024年9月時点)をご紹介します。
目次
SFAとは?
近年注目度が高まっているSFAは、企業の活動においてどのような役割を担うシステムなのでしょうか。
SFAの概要
SFAとは「Sales Force Automation(セールス・フォース・オートメーション)」の略称であり、日本語では営業支援システムと呼ばれています。従来、企業の営業部門が行っていた顧客情報の管理や営業プロセスをシステムで自動化することで、進ちょく状況の管理やデータの蓄積、分析ができるようになります。
SFAと他のツールの違い
SFAと同時に語られるツールに、CRMとMAツールがあります。いずれも顧客情報管理に関わるツールとあることは共通していますが、使用する目的や役割は少し異なります。
CRMは「Customer Relationship Management(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)」の略称、日本語で「顧客関係管理」のための製品です。SFAが営業活動強化の目的で顧客情報を管理し活用するのに対し、CRMは顧客の満足度や関係性の継続・向上を目的にしています。
MAツールは「Marketing Automation(マーケティング オートメーション)ツール」の略称です。マーケティング活動の自動化や効率化、見込み客(リード)のデータ分析を目的にしています。顧客になる前の段階であるリードの情報が主な管理対象です。
SFA、CRM、MAツールはそれぞれ名称と役割、目的は少し異なりますが、扱う情報が近く、目指すゴールは同じです。ツール同士の連携によりさらなる効果が期待できるといえます。SFAとCRM、SFAとMAツール、あるいは全てを統合管理する製品もあります。
SFAの主な機能
営業支援を主な役割とするSFAは、具体的にどのような機能を持っているのでしょうか。
顧客情報管理機能
SFAの基本機能のひとつが顧客情報管理機能です。顧客の名前や役職など、交換した名刺の情報をデータ化し、顧客情報として管理します。過去の商談記録や担当者変更の履歴も記録できるため、自社の営業担当者が変わっても以前の情報を引き継いだ営業活動が可能です。
案件管理機能
顧客との間で進む案件の管理もSFAの機能のひとつです。商談中の案件の受注確度や受注見込額、提示した条件の情報などを一元管理できます。
行動管理機能
行動管理とは営業活動内容を数値化して管理できる機能です。営業担当者が顧客に対して行った対応を数値化することで、顧客側の検討の進ちょくを可視化しやすくなります。
予実管理機能
進行している案件の予算や実績を可視化できる機能です。現状の業績を定量的に把握できます。
レポーティング機能
SFA内に蓄積されたデータをグラフやリスト化し、レポートとして出力できる機能です。営業会議の資料として営業計画の見直しが図れるだけでなく、個人の営業成績の分析や課題発見にも利用できます。
SFAを導入するメリット・デメリット
SFAは営業プロセスを自動化できるなどのメリットがある一方、利用した結果、コスト増や人的リソースの圧迫につながる場合があります。導入前には自社にとってSFAを利用するメリットがあるかを検討しながら、極力デメリットを生じさせないような使い方や導入タイミングを図りましょう。
SFAを導入する主なメリット
SFAを導入する大きなメリットのひとつが、顧客情報の可視化です。闇雲に営業をかけるのではなく、顧客がどの程度の検討段階であるかをSFA上で確認できれば、効果が期待できる営業手法でアプローチができるようになるでしょう。
また、SFAに蓄積したデータ量が増えるほど分析の精度が向上し、より効果的なアプローチ方法を選択できるようになると期待できます。
SFA導入の注意点
SFAは非常に便利なツールである一方、利用には一定の費用がかかります。導入のための初期費用だけでなく、継続的に使用するための使用料が年額や月額でかかるため、企業の規模によっては財政面に大きな負担がかかるかもしれません。
また、出費が増えるだけでなく、運用初期には担当者が講習を受け、試行錯誤しながら操作を習得しなければならないといった人的リソースの面にも負担がかかります。さらには導入した後もある程度データが蓄積されるまでは分析・予測の精度が上がらないため、具体的な成果が生まれるまでには時間がかかる点は意識しておく必要があります。
SFA製品選定と「要件定義」のポイント
SFAにはさまざまな種類の製品がありますが、すべての製品が自社に適しているとは限りません。機能や価格、導入の仕方などを検討し、自社のビジネスにあった製品を選択しましょう。
自社に合った機能の有無
多くのSFAには共通する基本的な機能だけでなく、それぞれの製品ごとに特徴的な機能が備わっています。また連携できる他のシステムの種類も製品ごとに異なりますので、自社で使用しているツールとは合わないSFAも存在します。
SFAを選ぶ際には、自社の営業支援に必要な機能や連携可能なシステムを確認したうえで検討しましょう。
サービス形態
SFAの提供方法は、大きく分けて「クラウド型」と「オンプレミス型」に分類されます。
クラウド型はインターネットを介してクラウドサーバ上のシステムを使用するタイプです。インターネットがつながっている場所ならどこからでも接続できるため、外出やテレワークが多い営業部門に人気です。
オンプレミス型は、社内のサーバ内にプログラムを設置するタイプです。遠隔からのオンライン接続はできない製品も多く、使用は社内のネットワークからに限定される傾向があります。一方で、多くのオンプレミス型のシステムはカスタマイズに対応しているため、特定の業界の独自ルールに適した改修に適しています。
コストパフォーマンス
SFAの導入にはコストがかかりますが、コストがかかること自体が悪いことではありません。予算内で可能な自社が望む機能を備えたSFAの導入は、適切な選択であるといえます。基本的には多機能になるほどコストが上がる傾向がありますので、自社にとって不要な機能が少ないシステムを選ぶのがおすすめです。
一部の機能をMAツールやCRMに代用させられるなら、SFAに求める機能を減らせます。システムの選定時には、自社内のツールと機能が重複しないものを検討しましょう。
UI設計/画面デザインの分かりやすさ
営業担当の全員が使えるようにしたいなら、わかりやすいUIのシステムを選ぶのが望ましいです。従来のアナログ手法での営業に慣れている営業担当ほど、システムの導入には抵抗感を示しがちです。複雑で使いにくいUIのツールであるほど慣れるまでに時間がかかり、最終的に導入しきれないおそれがありますので、なるべく抵抗が生まれにくいUIのツールを選びましょう。
サポート体制の充実度
SFAを導入後、ベンダーから継続的にサポートを受けられるか確認しておきましょう。SFAは導入した時点で終わりではなく、その後も使い続けながら細かい調整が続きます。使い方やデータ抽出の仕方のレクチャー、システムの仕様変更など、営業支援を実現するためのサポートを継続してくれるベンダーが提供するシステムを選択しましょう。
無料トライアルの有無
SFAは決して安い買い物ではありません。また一度導入した後に問題が見つかっても、気軽に入れ替えしにくいシステムでもあります。本格的に活用をはじめる前に使い勝手を知るためにも、ぜひ無料トライアルの制度を利用しましょう。
無料トライアルの有無は、多くの場合システムの公式サイトに記載されています。ただし、公式サイトに記載がなくても、問い合わせた結果無料トライアルに対応してもらえるケースもありますので、検討中のツールがあれば一度ベンダーへ問い合わせましょう。
カスタマイズの柔軟性
営業フローが特殊な業界や企業では、一般的なSFAをそのままの仕様で使えない場合があります。自社のルールに合わせたシステムを用意したい場合は、柔軟なカスタマイズが可能なシステムを選びましょう。
一般的にカスタマイズ性はオンプレミス型が優れていますが、クラウド型でもカスタマイズ可能なシステムがあります。
セキュリティレベルの高さ
SFAは顧客データが集積されます。万が一、取り扱う情報が外部に流出してしまった場合、会社の信用を失うだけでなく多額の損害賠償の支払いを求められる場合がありますので、セキュリティレベルの高いシステムを優先的に選択しましょう。例えば、ツールにどんなセキュリティ機能が搭載されているかでセキュリティレベルの判断ができます。データ通信の暗号化機能や不正アクセスの防止機能、権限の制御機能などの機能があるかを確認しましょう。
SFA選定・導入の注意点
SFAは営業の成果を大きく引き上げる可能性を秘めているシステムですが、使えば必ず成果が出るとは限りません。コストを掛けたSFAの導入を成功させるためにも、要点を押さえた運用を行いましょう。
導入目的を明確にしておく
なぜSFAを導入するのか、その理由は社内で共有しておかなければなりません。SFAに限らず、新しいシステムは現場にある程度の負担がかかりますが、その負担を乗り越えた先にある利益の存在や課題解決のメリットを共有しておけば、社員が導入を前向きに捉えやすくなります。
運用の定着を促す体制を整える
SFAは主に営業部門で使用されるシステムです。使い方に慣れれば各営業担当の業務効率を大きく引き上げますが、システムの導入中は慣れない業務に少しずつ対応しなければならないため、一時的に業務効率が下がるおそれがあります。
スムーズにシステムを導入するため、一時的にでも導入のための体制を整えておくのがおすすめです。一部の営業事務を専属担当者にし、SFAを利用するためのフローを確立させながら教育する役割を任せれば、営業担当への負担を増やさずに導入を進められるでしょう。
SFA導入までの一般的な流れ
SFAの導入には、一般的に以下のようなプロセスがあります。
- 自社で必要な機能を明確にする
- 製品・ツールの情報収集を行う
- 無料トライアルなどを利用して「試用」「評価」する
- 本導入スケジュールを定め、導入プロジェクトを進める
Step1. 自社で必要な機能を明確にする
導入に先立ち、導入する理由と必要な機能を明確にしましょう。「営業効率の改善」や「社内の情報共有強化」など、なぜコストを掛けてSFAを導入するのか、どのような課題を解決したいのかを明確にすれば、以降のプロセスを進める際にも方針に迷いにくくなるでしょう。
なお、可能なら検討初期の段階である程度の予算感や導入スケジュールも決めておくのが理想です。
Step2. 製品・ツールの情報収集を行う
SFAはシステムごとに使える機能が異なりますので、比較検討のために各ツールの情報収集を進めましょう。公式サイトの情報やネット上の口コミなどを参考に、数種類のツールに絞り込んだ後は、各ベンダーに資料を請求しましょう。
Step3. 無料トライアルなどを利用して「試用」「評価」する
請求した資料でシステムを比較検討した後は、無料トライアルを実施しているシステムを仮導入しましょう。実際に使ってみると想定とは違う使い勝手である場合も多いため、本格的に導入してから後悔するリスクを減らせます。
1社目のトライアルで満足できなかった場合は、2社目以降も試しましょう。その際、ベンダーへ以前に試したシステムで不満だった点を伝えると、改善点を提案してもらえるかもしれません。
Step4. 本導入スケジュールを定める
無料トライアルを経て導入するSFAを選定したなら、具体的な導入スケジュールをベンダーと相談しましょう。希望するカスタマイズの内容やボリュームによっては費用やスケジュールが大きく変わる場合がありますので、コストが膨れ上がらないように調整が必要です。
また、導入するシステムが決まった後は、なるべく早期から社員へのレクチャーを開始するとよいでしょう。その際ベンダーの教育サポートを受けられると、社員教育の期間短縮が期待できます。
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