近年、IT化を推進する企業は増加しており、それに伴って顧客管理システムであるCRMツールを導入する企業も増えています。CRMツールを導入することによって、効率的にマーケティングを行うことが可能となるため、導入を検討している方も多いのではないでしょうか。しかし、自社に適したCRMツールの選定に頭を悩ませている企業担当者の方もいらっしゃるでしょう。
本記事では、CRMの基礎知識や主な機能、選び方などについて徹底解説するとともに、おすすめのCRMツールもご紹介(全37製品/2024年10月時点)をご紹介します。
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目次
CRMツールの基礎知識
CRMツールを導入するには、CRMツールについて正しい知識を深めることが重要なポイントの一つです。まずは、CRMツールの基礎知識について詳しくご紹介します。
CRMツールとは?
CRMツールとは、顧客情報を管理するシステムやソフトウェアのことを指します。CRMは、「Customer Relationship Management(カスタマー リレーションシップ マネジメント)」の略称で、顧客関係管理と訳されます。
見込み客や取引先などに関する情報やコンタクト履歴、購入履歴などを自動で取り込み管理できるため、企業と顧客一人ひとりの良好な関係性の維持・構築につながります。また、顧客に関する情報を一元管理して活用できるため、CRMツールを用いてマーケティングやマネジメントを行うことで、顧客ごとに適したサービスや商品を提供できます。
SFAとMAとの違いは?
CRMと同様のマーケティング支援ツールの中で類似したものとして、SFAとMAが挙げられます。CRM、SFA、MAには重複する機能がありますが、それぞれ目的が異なります。
CRMは顧客情報の管理などが目的ですが、SFAは「Sales Force Automation(セールス フォース オートメーション)」の略称で、営業担当者のサポートが目的になります。見込み顧客の属性や行なった営業活動の内容、それに対する見込み顧客の反応、次に行うべきアクションなどといった営業活動をデータベース化することができます。
MAは、「Marketing Automation(マーケティング オートメーション)」の略称で、マーケティング活動を自動化することが目的です。見込み顧客の獲得から購買までのプロセスを自動的に支援することが可能です。
CRMツールの主な機能
顧客と良好な関係構築・維持するためには欠かせないCRMツールですが、一体どのような機能を兼ね備えているのでしょうか。CRMツールの主な機能として、以下の5つが挙げられます。
- 顧客情報管理機能
- 営業支援機能
- 管理効率化機能
- マーケティング支援機能
- カスタマーサポート機能
それぞれの機能について、詳しくみていきましょう。
顧客情報管理機能
顧客情報管理機能は、その名のとおり顧客の情報を管理する機能です。顧客情報管理機能を用いて管理する情報の例は、以下のとおりです。
- 顧客情報
- 商談の内容・進捗
- 問い合わせなどの活動履歴
- 案件の内容・金額・受注確度
上記のような顧客に関する全般的な情報を管理することができるため、顧客情報を複数の部署間でシェアすることが可能です。よって、商品開発に役立てたり売り上げ向上を図ったりできます。
営業支援機能
営業支援機能は、営業活動に必要な顧客情報の管理をサポートする機能です。機能の例としては、日報の作成や共有を効率化する機能、カレンダーやスケジュールを管理する機能などが挙げられます。このような機能を活用することによって、事務作業の負担を軽減し、本来の営業活動に集中することができるため、営業メンバーの業務の効率化につながります。
管理効率化機能
管理効率化機能は、顧客管理を効率化するための機能のことを指します。例えば、CRMに登録した顧客情報をもとに顧客の見込み度合いを自動で分析したり、図などによって可視化されたレポートを作成したりできる「レポート・分析機能」や、顧客に関する情報が記載されたファイルをCRM内で共有できる「ファイル共有機能」などが挙げられます。
分析・レポート機能を用いて、現状の課題を洗い出し改善施策の実施を行うことによってPDCAサイクルを回すことに役立ちます。また、ファイル共有機能はファイルを探す手間が省けるため、業務効率の改善につながります。
マーケティング支援機能
顧客にアプローチするための機能を提供するのが、マーケティング支援機能です。既存顧客や見込み客をリストアップしたり、顧客への営業活動の進捗状況やステータスを可視化したりすることができます。リストアップした情報をもとに、顧客の特性に適した営業メールを送ったり、電話をかけたりすることによって、事業成績の向上につながります。
メールを一斉送信できるメール「自動配信機能」や、さまざまなSNSとアカウント連携ができる「ソーシャルメディア管理機能」なども、マーケティング支援機能にあたります。
カスタマーサポート機能
カスタマーサポート機能は、カスタマーサポートを強化することができる機能です。具体的には、顧客の過去の要望や問い合わせの履歴を保存する機能が挙げられます。
顧客対応履歴を保存することによって、顧客から再度問い合わせがあった際にもスムーズな対応が可能になります。また、顧客対応履歴を社内で共有できるため、担当者が不在の時でも適切な問い合わせ対応をできるようになります。
他にも、問い合わせフォームを作成し、Webサイトを通じて顧客が問い合わせを簡単に行える「問い合わせフォーム作成機能」や、顧客が疑問を自分で解決できるFAQコンテンツを作成する「FAQ作成機能」などもカスタマーサポート機能の一部です。
CRMツールの主な分類
CRMツールは、大きく分けて以下の2つの観点から分類される傾向にあります。
- 導入目的や搭載された機能による分類
- 対象となる企業の規模による分類
それぞれの分類について詳しくご紹介します。
導入目的や機能による分類
導入目的や機能による分類は、以下の4つが挙げられます。
(1)営業サポートタイプ
営業サポートタイプとは、営業サポートがメインとなる機能が備わったCRMツールのことを指します。営業支援ツールの機能を併せ持っていることが特徴で、SFAの機能も兼ね備えるため、「CRM/SFA」と表記されることもあります。
(2)コールセンタータイプ
コールセンタータイプとは、顧客からのサービスや商品に関する電話やメールでの問い合わせを、データベースとして情報を登録し蓄積するタイプのCRMツールのことを指します。顧客一人ひとりに実施したサポート情報をデータベースとして一元管理することができるのが特徴です。
(3)マーケティングサポートタイプ
手間がかかるマーケティングに関する業務を効果的に行えるようサポートするのが、マーケティングサポートタイプです。定期的なメール発信やアンケート配布、SNSでの発信管理など、マーケティングに特化した機能を持っていることが特徴です。
(4)EC通販タイプ
EC通販タイプは、ECサイトのリピート売り上げの改善に強みを持つCRMツールのことを指します。F2転換率分析やRFM分析などといったEC通販やBtoCに特化した分析機能を実装していることが特徴です。
企業の規模別による分類
CRMツールにおいては、導入企業の規模に合わせて異なる特徴を持つサービスが展開されています。企業規模による分類は、以下の2つになります。
中小企業向け
中小企業向けのCRMツールは、必要最低限の機能が搭載されており、導入しやすい低コストの価格設定が特徴です。基本的な機能のみが備わっているシンプルなCRMツールは、中小企業向けだといえます。
大企業・グローバル企業向け
多数のアカウントで運用が可能で、豊富な機能が搭載されている特徴を持つCRMツールは、大企業・グローバル企業向けです。中には、AIをはじめとする最先端技術を用いた分析機能を搭載しているサービスもあります。ただし、豊富な機能が搭載されている分、初期費用や月額費用などのコスト面では負担が大きい傾向にあるため、注意が必要です。
CRMツールを選ぶ際のポイント
CRMツールを活用することで、業務の効率化や売り上げの向上につながりますが、導入する際にはポイントを押さえて選ぶことが大切です。CRMツールを選ぶ際のポイントとして、以下の8つが挙げられます。
それぞれのポイントについて詳しく解説します。
- 自社に合う機能の有無
- サービス形態
- コストパフォーマンス
- UI/UX
- サポート体制
- トライアルの有無
- カスタマイズ性
- セキュリティレベルの高さ
(1)自社に合う機能の有無
現在提供されているCRMツールは基本機能においては、大きく変わりはありません。基本的に顧客情報の管理や商談の進捗管理など、CRMにおいて必須となる機能は搭載されていますが、それ以外の機能や特徴については製品やサービスによって異なります。
導入要件の策定には、利用したい機能が備わっているか、自社で利用している既存システムとの連携が可能かどうかが重要なポイントとなります。豊富な機能が搭載されていても、その中に自社に適した機能がないのであれば導入しても成果を得られません。自社の課題解決につながる機能が備わっているかを確認しましょう。
(2)サービス形態
CRMのサービス形態は、インターネット経由でサーバを利用するクラウド型と、システム自体を購入して社内で運用するオンプレミス型の2種類になります。
クラウド型は、サーバを管理する必要がなく、導入にコストがかからないなどのメリットがある一方で、セキュリティはベンダーに依存することになり、カスタマイズ性が低いといったデメリットがあります。
オンプレミス型は、自社に適したカスタマイズができ、外部漏えいのリスクが少ないなどといったメリットがありますが、導入費用が多額になる傾向にあり、サーバ管理やメンテナンス費用が必要になるなどのデメリットが生じます。
それぞれのサービス形態のメリット、デメリットを理解し、自社に適したサービス形態を選びましょう。本記事では、多くの企業に当てはまる現在主流の形態となる「クラウド型」を軸に解説していきます。
(3)コストパフォーマンス
現在はクラウド型のCRMツールが主流になっていますが、クラウド型は1ユーザーごとに月額料金がかかる従量課金制が多い傾向にあります。一定のユーザー数までの利用が定額のものもありますが、利用者数が多い場合は人数無制限のプランを継続して利用となり、ランニングコストが多額になることも起こり得ます。
オンプレミス型では、サーバや周辺機器を用意する必要があるため初期費用は高額になる傾向にあります。しかし、適切に運用できる人員がいれば月あたりの費用は抑えることができるため、従業員が多い大企業の場合は、オンプレミス型はコストパフォーマンスが良いこともあります。
自社にとってのコストパフォーマンスについても、導入前にしっかり確認しましょう。
(4)UI/UX
CRMツールをせっかく導入したのに、定着しなかったり定着に時間がかかったりする原因の一つとして「使いにくい」ということが挙げられます。必要な機能は揃っているにも関わらず、ツール自体が使いにくいと効率的に顧客管理を行えません。
現場の従業員が使いやすいUI、UXのものを選ぶことが大切です。「よく使う機能にアクセスするのに手間がかからないか」「表示は見やすいか」などといった点に着目しましょう。
(5)サポート体制
導入時はもちろん、導入後のサポート体制についても確認しましょう。CRMツールを導入するとなると、従来のワークフローに変化が生じるため、安定した運用ができるようになるまで不具合が起きたり不明点が生じたりすることもあり得ます。
何かトラブルが起きた際に、電話やチャットなどで問い合わせができるかどうか確認しておきましょう。
(6)無料トライアルの有無
CRMツールの中には、一定期間無料で使える「無料トライアル」を用意する製品もあります。使いやすさや必要な機能は「実際に使ってみて」はじめて分かることも多いです。選定候補に無料トライアルが用意されていればぜひ積極的に活用しましょう。
(7)カスタマイズ性
柔軟なカスタマイズができるかという点も重要なポイントの一つです。カスタマイズができる設定についても確認しましょう。
自社の業務に適した画面設定にできると、業務ごとに必要な情報を容易に表示し、データ入力が分かりやすくなるメリットがあります。また、CRMツールを使用する部署や必要な情報が異なる業務が複数あるような場合でも業務がスムーズに行えるため、業務の効率化につながります。
(8)セキュリティレベル/対応の高さ
CRMツールには、重要な顧客情報や個人情報を保存することになるため、セキュリティレベルの高さにも注意しましょう。万が一情報漏えいしてしまった際には、企業の信頼を失いかねません。
特にクラウドサービスのCRMツールの場合は、オンライン上でデータ管理するため注意が必要です。不正アクセスなどに対して、どのようなセキュリティ対策を講じているかを把握しておきましょう。
無料もしくは低コストで運用できるCRMツール11選
利用する人数が少ない、自社に必要な機能が多くないという場合は無料もしくは低コストで運用できるCRMツールを選ぶのがおすすめです。ここでは、おすすめの無料もしくは低コストで運用できるCRMツールをご紹介します。(製品名abcあいうえお順/2024年10月時点)
Ambassador Relations Tool
特徴 | Ambassador Relations Toolは、株式会社コンファクトリーが提供しているクラウド型のCRMツールです。有料プラン3種と無料プランがあります。無料プランでも、1万人までの顧客を登録可能、1回あたり1万通までのメールを一括送信できます。そのほか、アンバサダーフォーム機能やアンケート自動集計機能、売り上げ分析機能なども利用可能です。有料プランのトライアル期間はありません。 |
ベンダーのWebサイト | https://amb-r-t.jp/ |
Freshsales Suite
特徴 | Freshsales Suiteは、Freshworks Inc.が提供しているクラウド型のCRMツールです。有料プラン3種と無料プランがあります。一つの製品の中にCRM、SFA、MAの機能がオールインワンで搭載されている点が大きな特徴です。顧客の基本情報管理機能はもちろん、見込み客管理機能、営業活動支援、データ分析機能が利用できます。トライアル期間は21日間です。 |
ベンダーのWebサイト | https://www.freshworks.com/jp/crm/suite/ |